システム開発やインフラ設計の現場で数多くの構成図を作成してきた文書設計・ITインフラ専門チームが、実務経験をもとに作成したシステム構成図テンプレートをご紹介します。
要件定義・設計書・プレゼン資料など幅広い用途に対応し、Web・DB・APサーバ構成やAWSアーキテクチャなど、実務ですぐ使える図面例を掲載。さらに、効率的な作成のコツやフリーアイコン集、おすすめ作図ツールも。
システム構成図とは?用途と重要性
全体像を可視化して関係者間の認識を統一
システム構成図は、サーバやネットワーク機器、ソフトウェアの配置や接続関係を図示することで、システム全体の構造をひと目で理解できます。
開発者、運用担当者、経営層など、関係者間の情報共有や意思決定を円滑にします。
要件定義や設計書の基盤として活用
要件定義フェーズや基本設計書の作成時に、システム構成図は基盤資料として活用されます。
新規開発だけでなく、既存システムの改善提案や移行計画書にも不可欠な要素です。
トラブルシューティングや運用マニュアルにも有効
障害発生時の原因切り分けや復旧作業では、システム構成図が迅速な対応を支えます。
また、運用マニュアルや教育資料として活用することで、業務引き継ぎの効率化にもつながります。
システム構成図テンプレート一覧(無料ダウンロード可)
Web・DBサーバ構成図(簡易モデル)
社内にWebサーバとDBサーバを構築してインターネットからの会員登録やサービスの提供、社内からはログの分析やサービスの更新などを行うという、よくあるシステムの構成図です。
中小企業や自社で情報システム部門をもたない会社ではWebサーバーを持たない場合も多いので、レンタルサーバーなどの外部サーバーでこれと同じような構成で運用していることが多いでしょう。
図の作成に再配布ができないサイトのアイコンを使っているので、PDFでの配布になります。アイコン使用先:シルエットイラスト
Web・DB・APサーバ構成図
社内にWebサーバーとAPサーバー、DBサーバーを構築してインターネットからの会員登録やサービスの提供、社内からはログの分析やサービスの更新を行うタイプのシステム構成図です。
再配布可のサイトのアイコン(ICON HOIHOI)を使用しているので、パワーポイントテンプレート自体をダウンロード可能です。
ロードバランサ構成図
社外からのアクセスにロードバランサを介してWebサーバやAPサーバに振り分ける形式のシステム構成図です。サービスを提供するWebサーバやAPサーバには複数台のサーバを設置しDBサーバにそれぞれアクセスします。
社内業務システム構成図(架空例)
社内システムの構成を図で表したシステム構成図です。
ハブを介して出荷情報や在庫情報、売上予測、社員管理などの各サーバにアクセスする形式です。拠点が離れた部門同士でもルータを介して同じシステムにアクセスできるようになっています。
ログ処理システム構成図
こちらも架空のシステムですが、サーバーにアクセスがあった際のログを処理して高負荷などの場合にアラートをメールで知らせるなどの機能があります。
システム自体は外部と処理をするシステム、アクセスするクライアントで分けられています。
AWS構成図(アーキテクチャダイアグラム)
AmazonのAWSを使ったアーキテクチャダイアグラム説明用のAWS構成図です。標準的な社内システムから外部のネットワークへの接続を簡易的に表現しています。こちらはフリーアイコンのダウンロード場所の紹介です。
https://aws.amazon.com/jp/architecture/icons/
システム構成図のアイコン集
システム構成図を描くときに、アイコンは必須ですがパワーポイントやエクセルには抽象的な図形しか挿入できません。
そこで、外部のフリーアイコンを使用しますが、なかなか自分の好みのアイコンが見つからないという人も多いのではないでしょうか?
ネットワーク機器・サーバ・PCなどのフリーアイコン
PCやネットワーク機器など、システム構成図を描くのに便利な無料のアイコンは以下の記事で紹介しています。システム構成図だけでなく、ネットワーク図やプレゼン資料などにも使えるので是非利用してみてください。
商用利用可能なアイコンの選び方
クイックチェック
- 用途許諾:
商用利用OKか(社外配布/顧客案件/有料資料に使えるか) - クレジット:
表記が必須か(必要なら表記文面の指定は?) - 再配布:
テンプレートやPPTに同梱して配布できるか - 改変可否:
色・サイズ・線幅・トリミング等の編集が可能か - ブランド利用:
AWS/Azure/GCP等のロゴ・サービスアイコンは各社ガイドラインに準拠できるか - 配信形態:
Web公開、PDF化、動画・スライドへの組込み可否 - ライセンス表記:
CC0/CC BY/独自ライセンスなど、種類と条件を記録
- 「商用可」でも再配布NGでテンプレ同梱不可のケース
- 無料だがクレジット必須/リンク必須を見落とす
- ブランド・サービス名のロゴ扱い(商標)に該当し、ガイドライン違反になる
システム構成図の作成手順とポイント
ステップ1:目的とスコープを明確化
- 対象読者:
経営層/発注者/開発者/運用担当など、誰が見る図かを決める - ユースケース:
要件定義・設計書・プレゼン・運用マニュアル・監査対応など用途を限定 - 粒度:
高レベル(論理構成)か、詳細(物理構成/機器型番/ゾーニング)かを定義 - 範囲:
含める領域(オンプレ/クラウド/拠点間/外部SaaS)と除外範囲を明示 - 前提・制約:
冗長化方針、SLA、セキュリティポリシー、命名規則などを整理
ステップ2:必要な要素・機器を洗い出す
- クライアント:
ユーザー端末、モバイル、社内端末/社外端末の区別 - アプリ層:
Web/AP、バッチ、ジョブ管理、コンテナ/サーバレス(関数)の有無 - データ層:
RDB/NoSQL/キャッシュ(Redis等)/メッセージング(Kafka/SQS等) - ネットワーク:
VPC/VNet、サブネット、DMZ、FW/WAF、LB、VPN/DirectConnect - 外部連携:
SaaS、決済/認証、外部API、監視/ログ/アラート - 運用/セキュリティ:
IDaaS、鍵管理、監査ログ、バックアップ/DR
接頭辞(例:
WEB-xx
/ APP-xx
/ DB-xx
)、図形色の意味、通信方向の矢印スタイルを先に決める
主要な通信(例:80/443、3306、22、ICMP)は矢印近くに小さくラベル配置
ステップ3:論理構成と物理構成を整理
- 論理構成:
レイヤ(クライアント/アプリ/データ/運用)とデータフローを俯瞰 - 物理構成:
実サーバ/インスタンス/ゾーン/リージョン、接続機器を具体化 - 対応付け:
論理要素→物理リソースのマッピング表を作成(例:Service A → APP01/02
) - 冗長化と境界:
LB、AZ/リージョン冗長、DMZ/Privateの境界、FW/WAFの位置を明確化 - セグメント/ルート:
サブネット・ルートの流れと、外部接続(VPN/専用線)を線種で区別
ステップ4:可読性を高めるデザインの工夫
- レイアウト:
左→右/上→下にフローを統一。グリッド整列・均等間隔で視線誘導 - 配色ルール:
レイヤ別に色分け。意味のある色だけを使う - 線と矢印:
直線/曲線を用途で統一。クロスを避け、ジャンプ記号で重なり回避 - ラベル:
接続名・プロトコル・ポート・環境(Prod/Dev)を最小限で明示 - アイコン:
サイズ・線幅を統一。凡例を図中またはキャプションに配置 - アクセシビリティ:
文字サイズ12pt以上、コントラスト比、PDF/印刷での可読性を確認
システム構成図の作成ツール
システム構成図が簡単に作成できる初心者にもおすすめのツールを紹介します。システム構成図は、必ずこれを使うというルールはないので、自分が使いやすいツールを見つけてください。
Cacoo
Cacooは、ブラウザ上で利用できるオンラインツールです。図や線を描くのは直観的にできるので、慣れればパワーポイントよりも使いやすいかもしれません。
draw.io
「draw.io」は、オンラインで簡単にシステム構成図を作成できる作図ツールです。できた図は、PDFや画像ファイルでGoogleドライブやOneDriveに保存したりローカルにダウンロードすることもできます。
Visio
Windowsの作図ツールではMicrosoftのVisioがあります。Visioには図の作成に必要なステンシルやテンプレートが豊富なのでシステム構成図だけでなく、アーキテクチャ図やUML図、 ソフトウェア構成図なども簡単に作成することができます。
他のツールとの違いは、Office製品なのでソフトを購入してインストールする必要があります。
https://www.microsoft.com/ja-jp/microsoft-365/visio/flowchart-software