この記事ではエクセルでガントチャートを作る方法5種類とそれぞれの特徴を紹介します。マクロを使わず週単位や月単位、年単位と自由にカスタマイズできるので、記事を参考に見やすいガントチャートを作成してください。

※ この記事のガントチャートはexcel2013で作成しています。他のバージョンでも大きく違いはありませんが、若干ダイアログなどの文言が異なる場合があります。

ガントチャートの作り方(エクセル)

エクセルでガントチャートを作る方法

  1. 手書き(セル塗潰し)
  2. 手書き(図形描画)
  3. 条件付き書式
  4. 関数
  5. グラフ

この他にもVBAを使用して自動化したガントチャートを作るという方法もありますが、今回はできるだけ手間をかけずに作りたいのでVBAを利用した方法は除きます。

VBAで時間をかけてガントチャートを作るならクラウド型のツールの方が機能も多く使いやすいです。

方法別 ガントチャートの特徴

作成方法別の完成後のサンプル画像と特徴を紹介します。

手書き(セル塗潰し)

手書き(セル塗潰し)でのガントチャートサンプル
手書きでセルを塗りつぶしバーを描く形式です。すべてのバーを描く手間はありますが全体の修正には強く、カスタマイズをしてもファイルがおかしくなりにくいです。

手書き(図形描画)

手書き(図形描画)のガントチャートサンプル
手動で矢印などの図形を使ってバーを描くやり方です。こちらもバーを描く手間がありますが、タスクによって色や図形を変えたりできるのでカスタマイズ性は高いです。

条件付き書式

条件付き書式のガントチャートサンプル
一度条件式書式を作成すれば後は日付の指定だけでチャートを自動作成できるので便利です。色分けや複雑なことをしようとするとエクセルに慣れていないと難しいです。

関数

関数のガントチャートサンプル
こちらも条件付書式と同じように数式を使ってバーを描く方式です。見た目があまりよくないことと、カスタマイズするのに関数を調整しなければならないので面倒です。

グラフ

見た目は一番おしゃれにできますが、慣れるまで作るのが面倒なのとメンテナンス性がよくないのが弱点です。プレゼンや説明用資料など見た目にこだわるときに使用するといいでしょう。

各方法の手順

それぞれのガントチャートの作り方を解説します。

手書き(セル塗りつぶし)

手書きでのガントチャートは一番簡単です。タスクと開始日、終了日、カレンダーを作ればあとは手動でセルを塗りつぶします。

タスクと開始日、終了日、カレンダーを作る

スケジュール部分の範囲を選択して背景を塗りつぶします。

セルを選択して背景を塗りつぶす

同じようにタスクごとに開始日から終了日までのセルを塗りつぶしていきます。土日を色分けしたりするとカレンダー部分の日付の設定がちょっと面倒ですが、2~3か月分ぐらいでしたらそれほど時間もかからず作成できるでしょう。

当サイトでは、日付をプロジェクトの開始日を入力すると自動的にカレンダー部分の日付と土日の色分けを作成してくれるテンプレートも配布しているので作成がたいへんだという方は利用してみてください。

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タスクの日程を手書きで塗りつぶしたガントチャートは以下のようになります。

簡単なチャートなので複雑なことはできませんが、担当者ごとに分けたり、作業間の関連を追加したりすると手動の方が柔軟でやりやすいと感じるでしょう。

手書き(セル塗潰し)でのガントチャートサンプル

手書き(セル塗潰し)のメリット
・エクセル初心者でも簡単に作成できる
・色の塗り分けも自由
手書き(セル塗潰し)のデメリット
・タスクが多いと書くのが面倒
・修正が多いと手間がかかる

手書き(図形描画)

図形描画を使った手書きでのガントチャートの作り方です。上記のセルの塗りつぶしと同じようにタスクと開始日、終了日、カレンダーを作り、図形描画でバーを描いていきます。

タスクと開始日、終了日、カレンダーを作る

挿入 → 図形 → 矢印(右)でバーを描いていきます。図形は矢印ではなく単なる直線などでも構いません。
矢印の図形を選択

あとは、図形のコピーを駆使してスケジュールどおりに線を引いていくだけですが、手動のため普通の人は図形の太さが変わってしまいます。

図形の太さが変わる

図形の太さを揃えたい場合は、図形を右クリックして「図形の書式設定」を選びます。

図形の書式設定を選択

書式設定から「サイズ」→「高さ」を同じ数値にすると揃います。多くのバーがあると修正に時間がかかるので図形を揃えたい場合は注意してください。

図形の書式設定から高さを揃える

完成した図形を使ったガントチャートです。細かいカスタマイズも可能ですが、かっこよく仕上げることもできますがデザインに凝ると時間が多くかかるので、どこまで時間をかけられるか次第です。

手書き(図形描画)のガントチャートサンプル

手書き(図形描画)のメリット
・エクセル初心者でも簡単に作成できる
・バーの修正は伸縮するだけ
・色の塗り分けも自由
手書き(図形描画)のデメリット
・タスクが多いと書くのが面倒
・図形を大きさや位置を揃えるのが面倒

条件付き書式

次は条件付き書式を使って自動的にセルをぬりつぶす方法です。タスクの開始日と終了日を該当日の日付と比べることでセルに色をつけるという仕組みです。

バーチャートを自分で描く必要がないので多くのタスクがあるガントチャートや日付の修正は楽ですが、色分けには複数の書式が必要など初心者にはハードルが高いという問題もあります。

条件付き書式を作るには、まず初めに1つだけのセルで「条件付き書式」を設定しそれをカレンダーのセル全体にコピーします。

1つのセルに「条件付き書式」を設定するには、ホームメニューから「条件付き書式」→ 新しいルールを選択します。

条件付き書式の選択

「数式を使用して、書式設定するセルを決定」を選び以下の数式を入力します。

=AND(設定するセル位置 >= 開始日のセル位置, 設定するセル位置 <=終了日のセル位置) セル位置

今回の例だと、以下のようになります。

設定するセル位置=O5
開始日のセル位置=I7
終了日のセル位置=L7

=AND(O$5>=$I7,O$5<=$L7)

O5の5の前に$、I7,L7の前に$がついているのは固定の意味です。このセルをコピーしていくと$のついていない部分だけがセルに合わせて変更されるので O5, P5, Q5と5の位置は固定したまま隣のセルに書式をコピーできます。

意味がわからない場合は、とりあえず自分の自分のセル位置を当てはめて数式をつくればOKです。

数式を設定したら、「書式(F)...」ボタンから背景色を塗りつぶす設定を入れます。

塗りつぶし設定

一つのセルで「条件付き書式」を設定したら、そのセルの右下をマウスでポイントしカレンダー部分のセルにすべてコピーしていきます。すべてのセルにコピーできれば、開始日と終了日に値を入れるとバーが自動的に出るようになります。

セルに書式をコピー

完成したガントチャートは以下のようになります。手動でセルを塗りつぶす方法と見た目は同じです。担当者やステータスで色分けをする場合などは、さらに条件で書式を設定しなければならないので結構大変です。

条件付き書式のガントチャートサンプル

条件付き書式のメリット
・日付を入力するだけでバーが描ける
・バーの修正が楽
条件付き書式のデメリット
・色の塗り分けが面倒
・計算式を作る必要がある

関数

関数をつかってセルの塗りつぶしや図形を描くことはできないので、※や■といった文字をガントチャートのバーに見立てます。

自動でバーを作成してくれるので入力や修正が楽ですが、あまりカッコよくはないのであくまで代用品的なイメージです。計算式を入れる必要があるので自分で自由にカスタマイズするには初心者には難しいかもしれません。

作り方は、設定するセルに以下の数式を入力します。
=IF(AND(設定するセル位置 >= 開始日のセル位置,設定するセル位置 <= 終了日のセル位置),"設定する文字","")

関数のガントチャート 数式の設定

今回の例だと、以下のようになります。

設定するセル位置=O5
開始日のセル位置=I7
終了日のセル位置=L7

=IF(AND(O$5>=$I7,O$5<=$L7),"■","")

上記の数式のように「設定するセル」の横位置に$を付ける(O5 → O$5)、開始日と終了日の縦位置に$をつける(I7 → $I7, L7 → $L7)とこのセルの数式をコピーしたときにうまく設定できます。

数式を入力したら、縦、横のセルにコピーしていきます。

関数でガントチャートをつくる 数式のコピー

数式をカレンダー部分のセルにすべてコピーすれば開始日、終了日に日付を入れることで設定した文字が表示されます。完成したガントチャートは以下のようになります。

関数のガントチャートサンプル

関数のメリット
・日付を入力するだけでバーが描ける
・バーの修正が楽
関数のデメリット
・計算式を作る必要がある
・見た目があまりよくない

グラフ

エクセルの積み上げ横棒グラフを利用することで、ガントチャートをつくることもできます。グラフで作成すると見た目がおしゃれになるのでプレゼンや顧客への説明用資料などで使えそうです。

ガントチャート用のグラフではないので多少工夫が必要になりますが、そこまで複雑ではないので慣れるまでが多少面倒なぐらいです。タスクの追加や削除も少し失敗すると作り直しになるので、カスタマイズは難しいかもしれません。

グラフでガントチャートを作る方法は、今までのようにカレンダー部分はいりません。必要なのは、タスク名、開始日、終了日、工数を記入した表です。そこからグラフ機能をつかって作成します。

グラフ機能でガントチャートを作る 最初の表

始めに開始日だけで積み上げ横棒のグラフを作ります。

積み上げ横棒でグラフを作る

次に各工程の日数をグラフに追加します。

工数を貼り付ける

次に1日ごとの補助線を引くために、横軸を右クリックして補助目盛を追加します。

補助目盛線の追加

日付に軸を揃えるため、最小値を最小の開始日-3日、最大値を最大の終了日+3日に設定します。最小値、最大値はシリアル値で表示されますが自動で変換されるので通常の日付形式「XXXX/XX/XX」で入力して大丈夫です。

また、目盛を1週間(7日)、補助目盛を1日にするためそれぞれに目盛に7.0,補助目盛に1.0を入力します。

軸の書式設定を入力する

ガントチャートにするには、上下が逆になっているので向きを変えます。今度は、縦軸を右クリックして軸の書式設定を表示します。軸の書式設定から、「最大項目」、「軸を反転する」にチェックすると正しい向きになります。

グラフの向きを変える

最後に「開始日」の系列のグラフの色を「塗りつぶしなし」に設定するとガントチャートになります。

塗りつぶしなしに設定

それぞれのバーの色を変えるには、バーをクリックし再度クリックすると1つだけバーが選択できるようになるので右クリックして、塗りつぶしで色をつけてください。

グラフで作成したガントチャートは以下のようになります。色の変更も簡単でみためもいいですが、タスクの追加やカスタマイズは手間がかかります。

グラフ機能を利用したガントチャートサンプル

グラフのメリット
・見た目が優れている
・ファイルサイズが軽い
・色の塗り分けもできる
グラフのデメリット
・作成までの手間がかかる
・予定と実績、グループ分けなど複雑なチャートは作れない
・タスクの追加など修正が面倒

おすすめは手動での作成

今回は、エクセルでガントチャートを作る方法を6パターン紹介しました。

作ってみて感じたのは、どの方式でも作成は簡単だけど自分でカスタマイズしたり、複雑なガントチャートにしようとすると計算式が壊れたりしてファイルの全体の修正が面倒です。

条件付き書式や関数を入れても劇的に楽になるというわけでもないので「手動が一番コスパがいいのでは...」と感じました。

プロジェクトの規模やどのようなガントチャートが必要かでこの辺は変わってくるので、今回紹介した方法を比べてみてどの方式で作るのが合っているか検討してみてください。

関連リンク

ガントチャート以外のWBSや時間単位、日単位のスケジュール管理については以下の記事が参考になります。テンプレートはすべてフリーでダウンロードできます。