退会届は、会社やPTA、地域団体への加入を終了する際に必要となる書類です。
私たちは、これまで中小企業支援や自治体文書の作成支援に携わってきた経験をもとに、用途に応じた退会届テンプレートを作成してきました。
このページでは、その経験を活かして「わかりやすく・すぐに使える」退会届のテンプレートと書き方を解説します。
退会届テンプレート
退会届テンプレートを以下より無料でダウンロードできます。会社や町内会などの団体といった一般的でシンプルな退会届と、小学校のPTAを退会するテンプレートです。
汎用の退会届
退会届のワードテンプレートです。町内会や自治会では、退会の意志を文書で提出するよう求められる場面がありますが、決まった書式がなく困ったという声を多くいただきました。そこで、用途に応じて柔軟に修正できる汎用テンプレートを作成しました。
提出先の団体名や役職名、退会理由の詳細を追記することで、法人・自治会・町内会・サークルなど幅広い用途に対応できます。必要に応じて、会員番号や所属期間の欄を追加することも可能です。
PTA退会届
PTA退会届のワードテンプレートです。PTAの退会については「提出先が明確でない」「学校によって記載項目が違う」など混乱するケースが多く見られました。そうした現場の声を反映し、学校名や担任名を追記できる形式で汎用性の高いテンプレートにしています。
学校名・学年・担任名・児童氏名の欄を追加することで、小学校・中学校どちらにも対応可能です。文末に「今後の活動への感謝」など一文を添えることで、より丁寧な印象になります。
習い事の退会届
子どもの習い事を退会する場合の退会届テンプレートです。子どもの習い事を退会する際、「口頭だけでは不安」「会費の返金や個人情報削除を依頼したい」といった保護者からのご相談が多くあり、そうした背景から、感謝の言葉と退会を正式に伝えられる書式を作成しました。
受講者氏名・保護者氏名・会員番号・コース名などを記載欄として追加することで、ピアノ教室・英会話・スポーツクラブなどさまざまな習い事に対応可能です。退会理由や返金依頼を簡潔に記載する欄も自由に調整できます。
退会届の書き方
退会届の書き方は、退会届がその団体や組織で規定のフォーマットがある場合は、その用紙や書き方の例に沿って作成し提出します。
退会届の用紙やフォーマットがないが、退会届や退会願を求められた場合は、自分で退会届を作成します。退会届を作成する場合に必要な項目は以下の通りです。
- 提出日
- 件名(タイトル)
- 宛先
- 自分の名前と連絡先
- 退会日or退会希望日
- 退会の理由
- その他
退会届を提出する日を明記します。通常は提出日は、退会日と同じではありません。(同じ場合もあります。)いつ提出したかを記録するためにも必ず記入してください。
件名は、単純に「退会届」もしくは「団体名など+退会届」とします。
退会届を出す相手先の名前を敬称とともに記載します。相手が法人や団体、サービス名の場合は「御中」を、個人や法人や団体の担当者や代表者の場合は「様」や「殿」を使います。
退会をする人の氏名、住所、連絡先(電話番号など)を記入します。住所や連絡先は、同姓同名の別人との間違いを避けたり、後日なにかあった場合に連絡する手段として必要なので漏れなく書いておきましょう。
退会する日もしくは、退会を希望する日を記載します。退会日は自分だけで決められないこともあるので、相手に相談した後に退会日を記入する方が確実です。
通常は、退会するための理由を詳しく書かずに「一身上の都合」などにします。今後の関係上や理由を求められている場合は、簡単に理由を入れてもいいでしょう。
退会届の氏名の横に押印もしくは、氏名を手書きでサインします。退会届の下部にサインを書く欄を設けてもいいでしょう。
退会届の例文
退会届の例文は、単純に退会したい旨を伝えればいいでしょう。例えば、
また、個人情報を削除してほしい場合は、以下のようにします。
メールで送る退会届の例文
以上を踏まえて実際の退会届は以下のようになります。
〇〇〇〇御中
この度、私〇〇〇〇(氏名)は、一身上の都合により〇〇〇〇を退会いたしたく、ここにお届けいたします。退会に際しましては、以下の点についても併せてご対応いただきますようお願い申し上げます。
個人情報の削除について
退会後は、貴社が保有する私の個人情報をすべて削除していただきますようお願い申し上げます。これには、氏名、住所、連絡先、その他私に関する全ての情報が含まれます。個人情報の削除が完了しましたら、その旨を文書にてご通知いただけると幸いです。
今後の連絡について
退会後は、貴社からのメールや郵送物など一切の連絡を停止していただけますようお願い申し上げます。
会費の精算について
退会に伴う会費の精算につきましては、残存している分の返金手続きを速やかに行っていただけますようお願い申し上げます。返金方法については、以下の銀行口座にお振込みいただければと存じます。
銀行名:〇〇銀行
支店名:〇〇支店
口座番号:〇〇〇〇〇〇〇
口座名義:〇〇〇〇(氏名)
その他の対応について
退会に関連してご不明な点や追加の対応が必要な場合は、以下の連絡先までご連絡いただけますようお願い申し上げます。
連絡先電話番号:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇
メールアドレス:example@example.com
以上、よろしくお願い申し上げます。
令和〇〇年〇月〇日
氏名:〇〇〇〇
住所:〇〇〇〇
連絡先電話番号:〇〇〇-〇〇〇-〇〇〇〇
メールアドレス:example@example.com
退会の理由は曖昧でOK
退会届に書く退会の理由は、通常は「一身上の都合」などとして本当の退会の理由を具体的に書く必要はありません。
退会の理由が必要な場合は、できるだけ当たり障りのない理由にするといいでしょう。ただし、嘘を書くと発覚した時にトラブルになることがあるので気を付けましょう。
実務で多かったトラブル事例と対応策
退会届は、記載ミスや手続き不備によるトラブルが少なくありません。実際に多く寄せられた事例と、その防止策を紹介します。
提出日=書類を出した日、退会日=会員資格が終了する日を混同し、会費精算やメール配信停止が遅延する事例がありました。
対策:
本文と末尾の署名欄の両方に「提出日」「退会日」を明記し、退会日は「〇年〇月末日」など具体化します。
団体名に「様」、個人名に「御中」を使ってしまうミスがよくあります。
対策:
団体・部署宛ては「御中」、担当者個人宛ては「様」。迷う場合は「〇〇団体 御中 〇〇様」と併記します。
名簿・顧客管理システム・メルマガ等の削除依頼を忘れ、配信や郵送が継続するケースがあります。
対策:
本文に「保有個人データの削除」および「削除完了通知の依頼」を定型文として挿入します。
学校によって窓口や必要項目が異なり、差し戻しになるケースがあります。
対策:
学校名・学年・担任・児童氏名の4点をひな形で準備し、提出先(PTA会長/学校長/学年主任)を空欄で差し替え可能にします。
会費の按分返金や貸与物(会員証・鍵・教材)の返却条件が曖昧で揉めることがあります。
対策:
本文に「返金方法(銀行振込先)」「返却物一覧」「返却期限」を明記します。
退会届と退会願の違い(比較表)
「退会届」と「退会願」は似ていますが、意味合いは異なります。誤解を避けるために、主な違いを比較表にまとめました。
項目 | 退会届 | 退会願 |
---|---|---|
位置づけ | 退会の事実を通知する文書(一方的通知) | 退会の承認を求める申請書(承認前提) |
適したケース | 町内会・同好会など規約で「届出」で足りる場合 | 会社・団体で承認制の規約がある場合 |
本文表現 | 「退会いたしますのでお届けします」 | 「退会を願い出ます。ご承認ください」 |
必要項目 | 提出日/退会日/氏名・住所/宛先/理由(任意) | 上記に加え「承認欄」や押印欄が求められる場合があります |
注意点 | 規約で承認制なら届では無効の恐れがあります | 承認日=退会日となる運用に注意が必要です |
退会届に必ず入れるべき項目チェックリスト
退会届を作成する際に最低限入れておくべき内容のリストです。提出前にチェックして、記載漏れを防ぎましょう。
- 提出日(西暦または和暦のどちらかに統一)
- 宛先(団体名は「御中」、個人名は「様」)
- 件名(退会届または退会願)
- 本文(退会の意思、退会日、感謝の一文)
- 氏名・住所・連絡先(同姓同名の誤認防止)
- 退会理由(原則「一身上の都合」で可)
- 個人情報の削除依頼(名簿・メール配信等)
- 返金方法(銀行口座)・返却物の一覧と期限(必要時)
- 署名(手書きサインまたは押印の指示がある場合)
ワンポイント:PTAや学校宛ての場合は「学校名・学年・担任・児童氏名」を固定項目として設けておくと差し戻しを防げます。
よくある質問 FAQ
参考になる公式資料・ガイドライン
退会届は法令で定められた統一様式がありません。参考になる公式資料やガイドラインを確認して作成すると安心です。
- 文化庁「公用文作成の考え方(令和4年建議)」 読み手に誤解を与えない表現や敬称の基本を確認できます。
- 個人情報保護委員会 Q&A・ガイドライン 退会時の保有個人データの削除請求や開示請求の根拠を確認できます。
- 文部科学省(PTA・学校関連情報) 学校運営や保護者会等の参考。地域や学校ごとに運用差がある点に留意します。
- 総務省(行政手続・文書作成関連) 文書様式や通知文の一般原則の参照に役立ちます。
個人情報保護法改正と退会届のポイント
近年は個人情報の取り扱いに関する規制が強化されています。退会届にも個人情報削除に関する一文を入れておくことで、安心して手続きを進められます。
- 削除対象の具体化(名簿、会員管理システム、メルマガ、DM送付リスト等)
- 削除完了の通知依頼(メールまたは書面)
- 連絡停止の範囲(メール・郵送・電話・SNSなど)
退会に伴い、貴団体が保有する私に関する一切の個人情報(名簿、会員管理システム、メール配信リスト等)を削除いただくとともに、削除完了の旨をご通知ください。以後のご連絡(メール・郵送・電話)は停止願います。