業務上のトラブルやクレーム対応、取引ミスの説明など、原因や対応策を第三者に正しく伝えるために経緯報告書が使われます。
私たちは、これまで中小企業支援や業務フロー改善の現場で、数多くの経緯報告書の作成支援を行ってきました。
このページでは、実務経験に基づく経緯報告書の書き方のポイントと、すぐに使えるテンプレート(Excel・Word) を無料で提供しています。初めて作成する方でも安心して使えるよう、例文や書き方の解説、よくあるミスの回避方法も掲載しています。
実務者コメント
社内トラブルの報告やクレーム処理の過程で、再発防止策まで丁寧に整理した経緯報告書が必要になることが多く、実際に作成や添削に関わってきました。今回紹介するテンプレートはそうした現場ニーズをもとに作成しています。
経緯報告書テンプレート【無料ダウンロード】
経緯報告書は、法的に決まったフォーマットはないためレイアウトを自由に作成することができます。ただし会社で経緯報告書の規定の書式がある場合はそれに従って作成してください。
無料で使える経緯報告書テンプレートの特徴
このページで配布している経緯報告書テンプレートは、Word形式で自由に編集できる無料テンプレートです。業務上のトラブルやミス、クレーム対応などで、事実を正確かつ簡潔に報告したい場合に最適な構成になっています。
主な特徴
A4サイズ・Word形式で印刷や編集がしやすい
時系列で記載できる構造のため、読み手にも分かりやすい
社内向け・社外向けどちらにも対応可能な汎用的フォーマット
原因分析・対応策・再発防止策などの項目を初期配置済み
会社ロゴ・印影・備考欄なども自由にカスタマイズ可能
ビジネス現場での実務経験をもとに作成しているため、初めて経緯報告書を作成する方でも書きやすく、相手に伝わりやすい設計になっています。
テンプレートの主な記載項目と構成
経緯報告書のテンプレートには、問題の発生から対応、再発防止策までを論理的かつ時系列で記載できる項目があらかじめ用意されています。以下は主な構成項目です。
項目名 | 内容の説明 |
---|---|
【1】件名 | 例:「◯◯に関する経緯報告書」など明確なタイトルを記載 |
【2】発生日時・場所 | トラブルや問題が発生した日付・時間・場所など |
【3】発生事象の概要 | 何が起こったのかを簡潔に要約 |
【4】詳細な経緯 | 発生から現在までの流れを時系列で記載 |
【5】原因分析 | ヒューマンエラー・システムミス・連携不足などの要因分析 |
【6】対応内容 | 行った処置や関係者への連絡・修正対応など |
【7】再発防止策 | 今後の対策・チェック体制の見直し・教育など |
【8】作成者情報 | 所属部署・氏名・作成日など |
このような構成により、誰が読んでも理解できる報告書を短時間で作成できます。Word文書で内容はすべて編集です。企業ごとの運用ルールに応じてカスタマイズしてください。
Word経緯報告書ダウンロード
汎用(社内向け)
社内向けの経緯報告書テンプレートです。社内向けなので、宛先と主文が社内用に特化されています。
社内でのトラブル
社内向けの経緯報告書テンプレートです。ネットワークエラーに関するサンプルの例文が記載されています。トラブルに時間的な経緯を書く場合には、時系列で問題と対応を書いていく方法もあります。
納品遅れ
社内向けの経緯報告書テンプレートです。納品遅れに関する経緯を報告するサンプルが記載されています。
商品の破損
納品した商品に破損があった場合の社外に対する経緯報告書の例文サンプルです。商品の破損に関する経緯や対応方法などを報告しお客様に経緯を報告します。
・「経緯」が感情的・主観的に書かれてしまい、読み手に伝わりづらい
・原因分析が浅く、再発防止策の説得力が不足している
・時系列が不明確で、読み手が混乱する
経緯報告書の正しい書き方
基本構成と書くべき内容
経緯報告書を作成する際は、以下の4つの要素を意識して構成すると、相手に伝わりやすくなります。
何が起きたのかを1~2行で簡潔にまとめます。
発覚から対応までの流れを、日付とともに整理します。
ヒューマンエラーやシステム不備など、発生原因を客観的に特定します。
実現可能な対策や今後の改善策を具体的に示します。
実際の記載例|トラブル報告のサンプル
2025年5月10日、A社向けに商品Xを出荷する予定だったが、誤って商品Yを送付
発覚は同月12日で、原因は倉庫内の棚番号の誤認によるピッキングミス
直ちに正しい商品を再送し、在庫管理体制を見直した
書くときに注意すべきポイント
- 主観や感情的な表現は避け、事実のみを記載する
- 「誰が悪いか」より「何が起きたか」を明確に伝える
- 原因や再発防止策は曖昧にせず、具体的に書く
よくある質問(FAQ)
経緯報告書と関連のあるビジネス文書
関連テンプレートとの違い
顛末書との違い
顛末書は、社内の規定違反や業務ミスなどに対して「責任の所在・処分検討」のために作成されることが多い文書です。
一方、経緯報告書は、より事実ベースの時系列整理と、対応策の記録に特化しています。
始末書・報告書との使い分け
文書名 | 主な内容 | 使用目的 |
---|---|---|
経緯報告書 | トラブルや問題の経緯・対応・再発防止 | 社内外への報告 | 始末書 | 自らの過失に対する反省と謝罪 | 社内処分や謝罪文書 | 報告書 | 会議や業務進捗などの報告 | 一般的な業務連絡文書 |
まとめ
・経緯報告書は、問題の発生から対応までを時系列で正確に伝える重要なビジネス文書
・Word形式テンプレートを無料提供。すぐに使えて編集も簡単
・顛末書・始末書との違いを理解して、正しく使い分けましょう
監修・執筆者について
山中 恵(ビジネス文書専門ライター)
中小企業の帳票作成や業務マニュアル整備を10年以上支援。特に、**トラブル対応文書(経緯報告・顛末書・始末書)**の作成・テンプレート化を多数手掛け、業務の効率化と再発防止支援に貢献しています。
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