誓約書は、トラブルを防止したり自分の意思を明確にする目的で個人間・企業間を問わず使用される書類です。

この記事では、中小企業支援や契約書類の実務経験をもとに、目的別に使える誓約書テンプレートを紹介しています。すべて無料でダウンロード可能で、実際の現場で使用された実例をもとに構成されています。

誓約書テンプレート一覧【目的別・実務対応】

それぞれのテンプレートに記入例が付いた誓約書を無料ダウンロードできます。例文は、実際の状況によって変わりますので、環境に合わせて作成してください。

個人間の誓約書

個人間で簡単に使える誓約書テンプレートです。サンプル例文はありませんので、基本のひな形として内容を作成してください。個人間としてありますが、会社間でも基本的な書式は同じです。

 
用途:金銭の貸し借り、約束事の確認など
実務コメント:簡易なトラブル回避策として、個人で作成されるケースが増えています。
カスタマイズ例:日付・金額・連絡先を追記しておくと安心です。

夫婦間の不貞行為

夫婦間で結ぶ誓約書テンプレート(夫婦間合意契約書)です。

例文の内容は、夫婦のどちらかが職場の人間と不貞行為を行ってしまい、それを謝罪する形式です。離婚せずに再構築するため、今後は、浮気相手と今後一切関わらないことを誓う例文です。恋人間の誓約書にも応用できます。

 
用途:浮気の謝罪、今後の再発防止に関する合意
実務コメント:再構築の前提で使われることが多く、内容の明確化が重要です。
カスタマイズ例:慰謝料条項や第三者との連絡禁止条項の追加も可能。

家族間の暴力やDV

家族や親子間でトラブル(暴力行為など)を二度としないように取り決める誓約書テンプレートです。今まで行った行為に対する謝罪、今後は同じことを行わない約束や違反した場合の慰謝料などの取り決めを行います。

 
用途:家庭内のトラブル再発防止
実務コメント:児童相談所や行政とのやり取りの場面で活用されます。
カスタマイズ例:第三者の立ち会い記録を加えることで信頼性を補強できます。

金銭の支払い

お金を貸したけど、なかなか支払ってもらえない時や、そもそも借用書を交わさなかったときなどに、あとから金銭の支払いを確認するための誓約書テンプレートです。(債務承認弁済契約書)

支払の義務を確認する、支払いの方法と期日を確認する、支払いを怠った場合の約束を確認する内容の例文が記載されています。

 
用途:支払い催促・債務確認の証明
実務コメント:借用書の代わりに、支払い意思の確認として利用されることが多いです。
カスタマイズ例:分割払いの回数や期日、違約時のペナルティを明記。

イベント参加の誓約書

スポーツイベントに参加するときの誓約書テンプレートのサンプルです。

参加中の事故に対して、応急処置は行うこと、天災など不可抗力によりイベントが中止になる場合があること、盗難、紛失などの責を負わないことなどを誓約します。

 
用途:スポーツ・アウトドア・体験型イベントの安全管理用
実務コメント:主催者がリスクを明示することで、トラブルを未然に防ぎます。
カスタマイズ例:未成年の場合は保護者の同意欄を追加。

入社時の誓約書

入社時に社員に署名してもらう誓約書テンプレートです。内定承諾書もほぼ同じ形式で作成できます。

基本的には、職務規定を守り誠実に勤務すること、損害や過失の責任は個人的に負うこと、職務上の機密については口外しないということを約束する内容になっています。

パターンは2種類で、文例の内容は同じですが署名欄が上部にあるか、下部にあるかの違いです。デザインが違うというだけで、効力や内容には関係ありません。

 
シンプルな入社誓約書テンプレートです。署名欄が下部にあるパターンの記入例です。
用途:社員の職務規程遵守・機密保持の誓約
実務コメント:会社規模問わず入社時の標準書類として利用されています。
カスタマイズ例:就業規則の参照文言や、競業避止義務の明記。

退職時の誓約書

会社を退職する際に機密事項やデータ、取引先情報を外部に漏洩しないという念書を書かせる誓約書テンプレートです。テンプレートのタイトルが「念書」ですが、タイトルが異なるだけで内容は同じです。

 
用途:退職後の情報漏洩防止・企業秘密の保持
実務コメント:特に営業職・IT職などで活用されることが多いです。
カスタマイズ例:一定期間内の同業転職禁止条項を追加。

秘密保持誓約書

企業や団体などの外部に漏らしたくない情報について、口頭、書面、電子メールなど媒体を問わず漏洩することを禁止する誓約書テンプレートです。

 
用途:情報漏洩防止・外部委託時の契約補完
実務コメント:業務委託や取引開始前に交わされることが通例です。
カスタマイズ例:情報定義の範囲や有効期間の追加。

個人情報保護に関する誓約書

個人情報の利用方法、提供方法や委託に関する取り決めなど個人情報の取り扱いに関する誓約書テンプレートです。
 
用途:顧客データや従業員情報の保護に関する同意
実務コメント:個人情報保護法の改正により利用が増加しています。
カスタマイズ例:第三者提供の禁止条項などを明確に記載。

損害賠償の誓約書

損額を与えてしまった相手へ、損害賠償を支払う旨を約束するための誓約書です。
 
用途:過失・損害発生後の誓約・責任明確化
実務コメント:示談や和解時にトラブルを防ぐために活用されます。
カスタマイズ例:賠償額の分割方法や支払期限を明示。

婚前誓約書

結婚する前に、財産分与や生活費、子育てなどの取り決めを文書でしておくための誓約書テンプレートです。このテンプレートをたたき台として独自の誓約書を作成できます。
 
用途:結婚前の取り決め(財産・生活ルールなど)
実務コメント:近年、法律婚・事実婚にかかわらず作成する方が増えています。
カスタマイズ例:ペットの飼育方針や家計負担割合の明記なども。

誓約書の関連キーワード

誓約書は、契約書・念書・合意書などと並び、当事者の意思を文書にする方法です。法的効力を持つ場合も多く、検索や実務でよく使われる関連用語には次のようなものがあります。

  • 債務承認
    借金や支払義務を認める条項
  • 慰謝料
    不貞やトラブルに伴う精神的損害の賠償
  • 損害賠償
    事故や過失による金銭的補償
  • 秘密保持(NDA):
    機密情報を第三者へ漏らさない合意
  • 個人情報保護法
    顧客や従業員の情報を取り扱う際の法的枠組み
  • 労働基準法
    就業規則や服務誓約に関わる最低限のルール
  • 印紙税
    金銭のやり取りに関する契約書に課税される税金

実務でよくあるトラブル事例と解決策

誓約書はトラブル防止のために作成しますが、内容や表現が原因で逆に争いが発生することもあります。代表的な事例とその解決策を紹介します。

① 金銭支払い条件の不備

金額や支払期日を明記していなかったため、後日「分割払いなのか一括払いなのか」で争いになった。

解決策: 金額・支払方法(分割/一括)・期日・延滞時の対応(遅延損害金や強制執行)を必ず明記しましょう。国税庁の課税文書一覧を確認し、印紙税の対象かどうかもチェックすることが重要です。

② 退職後の競業避止義務の欠如

退職時の誓約書に「同業他社への転職禁止」や「顧客リスト持ち出し禁止」が明記されておらず、結果的に顧客情報が流出した。

解決策: 競業避止義務や秘密保持義務を条項化し、有効期間を設定することが有効です。労働基準法や独占禁止法とのバランスに注意し、過度な制限は避けましょう。

③ 曖昧な表現による効力不足

「常識の範囲で」「できる限り努力する」などの曖昧な表現は裁判で効力が認められにくく、相手方に責任を問えない場合が。

解決策: 「○月○日までに○円を支払う」「業務中に知り得た情報は第三者に漏洩しない」など、数値や行動を具体的に示すことで証拠能力を高められます。

④ 電子署名やメールのみでの合意

紙の誓約書を交わさず、メールや口頭でのやり取りだけで済ませた結果、合意の有無をめぐって紛争になった。

解決策: 電子署名法に準拠した電子署名を利用し、紙の署名押印と同等の効力を持たせます。リモート環境ではクラウド署名サービスを活用してください。

誓約書の種類と用途比較表

誓約書にはさまざまな種類があり、用途によって選ぶ必要があります。以下は誓約書の比較表です。

文書の種類 主な用途 典型的な条項 利用シーン
入社誓約書 社員の服務規程・秘密保持 職務規律、情報漏洩禁止 採用・内定承諾時
金銭支払い誓約書 債務の承認・支払い方法の明示 金額、期限、違約条項 貸し借りや分割払いの確認
秘密保持誓約書 情報漏洩防止 情報の範囲、有効期間 業務委託契約前
婚前誓約書 財産分与・生活ルール 家計負担割合、財産管理 結婚準備時

個人間の誓約書の書き方

個人間でもビジネス目的でも誓約書は法的に義務づけられている文書ではないので規定のフォーマットや様式はありません。そのため、一般的な様式の誓約書テンプレートを自分に合うように改変して使用するのが簡単です。

誓約書の基本フォーマット

個人間でも使える基本的な誓約書のフォーマットは以下のような形式です。この雛形を自分用に修正することで、いろいろな状況の誓約書を作成できます。

 

〇〇〇〇 殿

誓約書

 
私は、以下の事項について誓約いたします。

 

1. ・・・・・
2. ・・・・・
3. ・・・・・

 

〇〇年〇月〇日  

 
住所:〇〇〇〇〇〇〇〇〇〇
氏名:〇〇〇〇 印

誓約書の項目

誓約書に記載する各項目に対する説明です。

宛先

誓約書を提出する人を記載します。法人の場合は、会社名+代表者名、個人間の誓約書の場合は相手の氏名を記載すればいいでしょう。

タイトル

タイトルは「誓約書」と記載しますが、特に入社時の誓約書では、「服務規程の遵守」「秘密保持義務」「競業避止義務」といった項目を追加することもあります。

本文

本文には挨拶文などは必要ありません。誓約内容が1つの場合は、「〇〇について誓約いたします。」と文章内に書いても構いませんが、誓約内容が複数の場合は、箇条書きで記すことも可能です。

日付

基本的には誓約書を相手に提出する日付を記載します。誓約書を郵送する場合は、投函する日付を書きます。

誓約する人

誓約する人は手書きで住所と氏名を記入し押印します。手書きで住所氏名を記入すれば押印は必須ではありませんが、未だに慣例的に押印する場合が多いです。

誓約書作成チェックリスト

誓約書を作成するときに最低限確認しておきたいポイントをまとめました。担当者が見落としがちな点をチェックすると安心です。

  • 金額・日付・期限などの数字を正確に記載しているか
  • 当事者の氏名・住所・連絡先を明確にしているか
  • 違反した場合の対応(違約金や損害賠償)が明記されているか
  • 署名・押印がされているか
  • 保管方法やコピーの取り扱いについて合意しているか
  • 必要に応じて専門家の確認を得ているか

よくある質問(FAQ)

誓約書は自作しても法的効力はありますか?
はい。自作の誓約書でも当事者の合意内容が明確に記載されていれば法的効力を持ちます。ただし、曖昧な表現は避け、金額や日付などは正確に記載してください。
誓約書に印鑑は必ず必要ですか?
現在は署名だけでも有効ですが、実務上は押印を求められるケースが多いです。信頼性を高めるために署名とあわせて押印することをおすすめします。
誓約書に収入印紙は必要?
契約書に該当する内容を含む場合は対象です。とくに金銭の貸借や債務承認は要確認。詳細は国税庁の課税文書一覧を参照してください。
相手が誓約書に署名を拒否した場合はどうすればいいですか?
無理に署名させるのではなく、内容を見直し、再度話し合うことが重要です。場合によっては第三者の立ち会いや専門家への相談を検討してください。
電子署名を使った誓約書は有効ですか?
はい。電子署名法に基づいて正しく行われた電子署名には紙の署名押印と同等の効力があります。リモート契約やオンライン手続きでは電子署名が活用されています。

参考になる公式情報

誓約書の内容によっては法律や税務上の取扱いが関わるため、以下の公式情報を確認してください。

まとめ

誓約書は、「言った・言わない」のトラブルを防ぐための有効な手段です。状況に応じたテンプレートを活用し、署名・内容・形式に注意しながら作成すれば、法的効力を持たせることができます。

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