社内文書や会計関連のフォーマット設計に携わってきたBizroute文書チームの実務経験にもとづき、収支報告書テンプレートを無料ダウンロード可能で紹介します。
町内会・PTA・子ども会・イベント会計などで使える予算・増減・繰越対応の雛形に加え、書き方、運用ルール、チェックリストまで一括でチェックできます。
収支報告書テンプレート(無料)
すべてExcel形式。計算式入りで自動集計に対応。団体名や科目名は自由に変更できます。
予算・増減管理型(予実・差額の可視化)
・収入総額/支出総額/差引残高を上部で集約
・科目ごとに予算額・実績額・増減を一目で比較
・年間の予実管理や監査用の配布に最適
・科目ごとに予算額・実績額・増減を一目で比較
・年間の予実管理や監査用の配布に最適
収入・支出を別表管理(差引収支の算出)
・収入/支出を別シートで管理し、最終的な差引収支を算出
・日付×科目×金額で明細を積み上げる運用に対応
・備考欄付きで総評・監査コメントの追記が可能
・日付×科目×金額で明細を積み上げる運用に対応
・備考欄付きで総評・監査コメントの追記が可能
繰越金あり(前期→次期の自動計算)
・前年繰越から次期繰越を自動計算
・明細行を多めに確保し、領収書等の裏付けと突合しやすい構成
・収入合計=支出合計+次期繰越の整合性チェックに便利
・明細行を多めに確保し、領収書等の裏付けと突合しやすい構成
・収入合計=支出合計+次期繰越の整合性チェックに便利
飲み会・イベント向け(会費/繰越対応)
・男女別会費、前回繰越、実支出を管理し、差額を次回へ繰越
・小規模イベントや懇親会の会計報告に最適
・小規模イベントや懇親会の会計報告に最適
収支報告書の書き方と運用ルール
基本構成(見出し・期間・担当者・備考)
- タイトル/表紙:
収支報告書(団体名・会計年度)/例:〇〇自治会 2024年度 収支報告書 - 対象期間:
会計年度を明記(例:2024年4月1日~2025年3月31日) - 作成情報:
作成日・会計担当者名・連絡先・版数(v1.0 など) - 承認欄:
会長・監査役などの署名/押印欄を用意 - 区分:
収入の部/支出の部/差引残高(次期繰越)を見出しで明確化 - 備考欄:
未収・未払、前受金、特記事項(寄付の用途限定など)、監査コメントを記載 - 表記ルール:
金額は円・3桁区切り、税込/税抜のどちらかで統一、マイナスは「▲」表記など事前定義 - ファイル運用:
ファイル名規則(YYYY_団体_収支報告_vX.xlsx)を決め、旧版はアーカイブ
備考テンプレ(コピペ可)
・未収:
〇月会費 △件 合計12,000円(翌期回収予定)
・未払:
〇月広報費 8,800円(翌期支払予定)
・指定寄付:
防災目的 30,000円(用途限定のため繰越)
・監査所見:
証憑突合済/数式改変なし/現金実査一致
・未収:
〇月会費 △件 合計12,000円(翌期回収予定)
・未払:
〇月広報費 8,800円(翌期支払予定)
・指定寄付:
防災目的 30,000円(用途限定のため繰越)
・監査所見:
証憑突合済/数式改変なし/現金実査一致
記入手順(収入→支出→合計)
- 収入の部:
科目ごとに予算額・実績額を入力し、増減は数式で自動算出
例:会費/補助金/寄付金/雑収入 など。科目追加時は「科目メモ」に定義を追記 - 支出の部:
科目ごとに予算額・実績額を入力し、増減を自動算出
例:行事費/消耗品費/印刷費/通信費/保険料 など。領収書No.欄を設けて突合性を担保 - 合計・繰越:
収入総額/支出総額を確認し、差引残高=次期繰越として表示
繰越金は「前年繰越+当期差額=次期繰越」の連続性が崩れないかチェック
- 現金主義/発生主義の選択:
多くの町内会・PTAでは実務上「現金主義」が運用しやすい。未収・未払が多い場合は備考で注記 - 日付の扱い:
実入出金日で統一(口座引落日は通帳記載日に合わせる) - ファイル保護:
数式セルは保護、入力セルのみ編集可。データ検証(ドロップダウン)で科目のゆれを防止
運用チェックリスト(監査・公開前)
- 科目のゆれ:
会費/会員費・寄付/寄附 など表記統一。年次比較軸が崩れていないか - 繰越の整合:
前年繰越→当期差額→次期繰越の連続性、数式手入力の痕跡がないか - 銀行残高一致:
帳簿の期末現金・預金残高が通帳残高と一致(未記帳手数料の有無を確認) - 証憑突合:
領収書/請求書の番号・日付・金額が明細と一致(不備時は備考に理由を記載) - 公開用整形:
個人情報・口座番号はマスク、必要に応じて金額を千円単位に丸める - 表記統一:
金額の桁区切り、税込/税抜、期間表記(西暦/和暦)、日付フォーマットを統一 - 版管理:
配布前に版数更新・変更履歴(何を誰がいつ直したか)を記録 - 監査署名:
監査済スタンプ/署名を確認。未監査での外部公開は避ける - 数式検証:
小計・合計の範囲漏れや追加行の取りこぼしがないか(SUM範囲を動的範囲に) - アクセシビリティ:
印刷時に1~2ページに収まる設定、見出し・余白・フォントサイズを調整
よくあるミス
・行の追加で合計範囲がズレる/数式を上書きしてしまう
・科目の新旧名が混在して年次比較が困難になる
・繰越金の根拠(現金・普通預金・定期の内訳)が示されていない
・行の追加で合計範囲がズレる/数式を上書きしてしまう
・科目の新旧名が混在して年次比較が困難になる
・繰越金の根拠(現金・普通預金・定期の内訳)が示されていない
実務Tips(Excel)
・入力セル=淡色、計算セル=濃色で視覚分離/入力ミス防止
・科目は「別シートのマスタ」をデータ検証で参照(表記ブレ防止)
・セルコメントで「科目定義」「証憑の保管場所」をメモ化
・合計行はテーブル化して自動拡張、関数はSUMIFSで科目集計を安定化
・入力セル=淡色、計算セル=濃色で視覚分離/入力ミス防止
・科目は「別シートのマスタ」をデータ検証で参照(表記ブレ防止)
・セルコメントで「科目定義」「証憑の保管場所」をメモ化
・合計行はテーブル化して自動拡張、関数はSUMIFSで科目集計を安定化
用途別のカスタマイズ例
収支報告書テンプレートは、用途別に以下のようにカスタマイズすることができます。
町内会・自治会
- 科目例:自治会費、行事収入、防災費、回覧費、寄付金
- 行事単位の小計行を追加し、年次比較の視認性を向上
PTA・子ども会
- 科目例:会費、拠出金、行事費、記念品、保険料
- 保護者向け配布用にサマリー欄(要点・前期比)を追加
イベント・飲み会
- 男女別会費、参加人数、自主財源を明記
- 次回繰越の扱い(保管方法・管理者)を備考に記載
収支報告書テンプレートの記入例
具体的な収支報告書の記入例は以下のようになります。
収入の部
- 今期に入る予定の項目と金額「予算額」を記入し、実際に入った金額「収入額」を記入します。
- 予算額と収入額の差額を「増減」欄に計算します。
- 特筆すべき事項があれば、「備考」欄に記入してください。
支出の部
- 今期に出る予定の項目と金額「予算額」を記入し、実際に出た金額「支出額」を記入します。
- 予算額と支出額の差額を「増減」欄に計算します。
- 特筆すべき事項があれば、「備考」欄に記入してください。
合計欄
収入と支出欄をすべて埋めれば、エクセルで入力した場合、「収入総額」「支出総額」「差引残高」はすべて自動で算出、表示されます。「差引残高」が次年度の繰越金となります。
よくある質問(FAQ)
収支報告書テンプレートは無料・登録不要で使えますか?
はい。Excel形式のテンプレートを無料でダウンロードして利用できます。商用・業務利用も可能ですが、再配布・販売はご遠慮ください。
どのテンプレートを選べばいいか迷います(町内会/PTA/イベント)
予実の比較を重視→「予算・増減管理型」、明細を積み上げたい→「収入・支出を別表管理」、前期からの繰越がある→「繰越金あり」、小規模イベントや飲み会→「飲み会・イベント向け」がおススメです。
対応バージョンは?Mac版Excelでも使えますか?
Excel 2013以降で動作確認済みです。Windows/MacどちらのExcelでも利用できます。Googleスプレッドシート等の互換環境では印刷レイアウトや関数の結果が一部異なる場合があります。
予算と実績の差(増減)は自動で計算されますか?
SUM/SUMIF/SUMIFSなどの関数で自動計算します。数式セルは保護し、入力セルのみ編集できるよう設定することを推奨します。
前年からの繰越金はどこに入力しますか?
「繰越金あり」テンプレートの繰越欄に前期繰越を入力してください。前期→当期→次期の連続性が崩れないよう、確定後の値は変更履歴を残してください。
勘定科目を追加・名称変更したいのですが。
科目欄に行を追加して名称を編集してください。年次比較のために表記ゆれ(例:会費/会員費)を避け、科目マスタを別シートで管理するのがおすすめです。
領収書や請求書との突合はどのように行えばいいですか?
明細行に「領収書No.」「伝票番号」「取引日」を記録し、金額・日付・相手先が一致するか確認します。不一致がある場合は備考欄に理由を記載してください。
現金主義と発生主義のどちらで記録すればよいですか?
町内会・PTA等では運用のしやすさから現金主義が一般的です。未収・未払が多い場合は発生主義を検討し、テンプレートの備考に運用方針を明記してください。
印刷時に1〜2ページに収めたいのですが設定は?
ページレイアウトで用紙サイズをA4、余白を狭めにし、拡大縮小を「1ページに収める」または「幅1×高さ1」に設定してください。ヘッダーに団体名・会計年度を入れると配布がスムーズです。
合計が合わない(差引残高が合わない)ときの対処は?
① 追加行が合計範囲に含まれていない ② 数式セルを上書きしている ③ 半角/全角や通貨記号混在で数値認識されていない—の3点を確認してください。必要に応じて範囲をテーブル化し自動拡張を有効にしてください。
編集時の改ざん防止やミス防止の方法は?
数式セルをロック、入力セルのみ解除しシート保護を掛けます。データの入力規則(プルダウン)で科目を固定し、ファイル名に版数(v1.2など)を付けて更新履歴を残してください。
PDFで配布したい/オンラインで共有したい。
Excelの「名前を付けて保存>PDF」で書き出せます。オンライン共有はOneDrive/Googleドライブ等を利用し、編集権限を限定して配布用はPDF化を推奨します。
テンプレートにマクロは入っていますか?セキュリティは安全ですか?
マクロは使用していません(.xlsx)。標準関数のみで動作します。ダウンロード後は必要に応じてシート保護やパスワード保護を設定してください。
監査や総会に提出する際のポイントは?
期首〜期末の対象期間、作成日、会計担当、承認欄(会長・監査)の有無を確認。繰越金の整合性と証憑突合の完了、個人情報のマスキングを行ってから提出してください。
関連リンク
まとめ
今回は、収支報告書のエクセルテンプレートを紹介しました。
収支報告書は、会社以外の自治会や子供会などでも使用し、予算の使用報告にはよくつかわれる文書です。自分の団体の目的に近いテンプレートをダウンロードして合うように修正して使用してください。