見積書を送付する際には、必ず送付状(カバーレター)を添えることがビジネスマナーです。

本記事では、実務経験に基づいて見積書送付状の正しい書き方と文例を解説し、すぐに使える無料テンプレートを紹介します。

「失礼にならない表現は?」「FAX送信状と何が違う?」といった疑問も解消できる内容です。

見積書の送付状が必要な理由

  • ビジネスマナーとして信頼感を高める
    見積書に送付状を添えるのは、社会人としての基本的なマナーです。
    単に書類を送るだけでは事務的な印象を与えてしまいますが、送付状を付けることで「丁寧に対応している」という信頼感を相手に与えることができます。特に初めての取引先や重要な商談では、送付状があるかないかで評価が変わることもあります。
  • 送付書類の内容や意図を簡潔に伝えられる
    見積書送付状には「何を送ったのか」「どのような依頼に基づくものか」を明記します。
    これにより受け取った相手がすぐに内容を理解でき、社内での回覧や承認もスムーズになります。特に複数の見積もり依頼や資料が並行している場合、送付状は混乱を防ぐ大切な役割を果たします。
  • 誤送信や誤解を防ぐ安全ネットとして機能する
    送付状には「見積書1通在中」などの記載を入れるのが一般的です。
    これにより「書類が不足していないか」「依頼内容と一致しているか」を受け手側がすぐ確認できます。結果として誤送信や誤解を防ぎ、トラブル防止につながります。郵送・FAX・メールいずれの方法でも、送付状は確認リストの役割を果たすのです。

見積書送付状と一般的な送付状の違い

1. 送付する書類の内容

一般的な送付状は「契約書」「請求書」「資料」など幅広い書類に使えますが、見積書送付状はその名の通り見積書を同封していることを明示します。

また、単に「見積書をお送りします」と書くだけでなく、「〇月〇日に依頼いただいた工事見積書です」といった概要を簡潔に添えるのが特徴です。

2. 目的

通常の送付状は「書類を確かにお送りしました」という通知が中心ですが、見積書送付状の目的はさらに一歩進みます。

相手に見積書を確認・検討してもらい、商談や契約へつなげるための役割を持っています。 そのため、依頼や提案の流れがスムーズに伝わるよう配慮することが重要です。

3. 書き方

一般的な送付状は定型的な挨拶や送付内容の記載で十分ですが、見積書送付状では見積内容に沿った文章が求められます。

例えば「先日ご依頼いただいたシステム開発の見積書を送付いたします」といったように、依頼内容と結び付けた表現を入れることで、受け手が内容をすぐ理解できるようになります。

見積書送付状の基本構成と書き方

見積書送付状は、以下の項目を盛り込むと相手に伝わりやすく失礼のない文書になります。

  • 日付:文書作成日を記載し、送付時期を明確にする
  • 宛先(会社名・担当者名):正式名称と役職を正しく記載する
  • 差出人(自社情報):会社名・住所・電話番号などを明記する
  • タイトル:例「見積書送付のご案内」など、ひと目で目的が分かる表題を付ける
  • 本文:冒頭の挨拶文、見積書送付の旨、結びの言葉を簡潔にまとめる

見積書送付状の文例(サンプル)

見積書の送付状は、決まったフォーマットというのはありません。ただし、ある程度はビジネス文書に沿った形式で作った方が相手から好感を持たれるでしょう。

送付状に記載する文章は相手との関係によっても変わってきますが、基本的には日付、宛先、差出人に挨拶文+見積り送付のお知らせ+結びの言葉を書きます。

見積書発送の日付
宛先
差出人
タイトル
本文
記~以上

 
下記は見積書を送付する際のサンプル例文です。上記で解説した基本的なフォーマットはおさえてあるので、そのまま使うこともできますし、自分の業態や相手との関係などを踏まえて修正して使用することも可能です。

見積書の送付のご案内

 
拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご愛顧を賜り厚く御礼申し上げます。
 さて、先日ご依頼いただきましたお見積書を送付させていただきます。ご確認のうえ、ご検討くださいますようお願い申し上げます。
 なお、何かご不明な点がございましたら、ご遠慮なくお問いあわせください。
 それでは、ご検討のほどよろしくお願いいたします。

敬具  
見積書    1通
以上  

見積書送付状のテンプレート集

郵送用テンプレート

住所電話番号などを記載するスペースがないバージョンです。定期的に見積書をやり取りしているお得意様に送付する際に利用できます。

FAX送信用テンプレート

メール送信用テンプレート

メールで送る場合は、添付ファイルに見積書をつけ、本文を送付状の代わりにします。以下のように簡潔にまとめると良いでしょう。

件名:見積書送付のご案内
本文:いつもお世話になっております。先日ご依頼いただきました見積書を送付いたします。ご確認のほどよろしくお願いいたします。

よくある質問(FAQ)

見積書送付状は必ず必要ですか?
法的な義務はありませんが、ビジネスマナーとして添えるのが一般的です。送付状があることで「丁寧な対応」という印象を与え、取引先との信頼関係を築きやすくなります。
見積書送付状と普通の送付状は何が違いますか?
普通の送付状は契約書や請求書など幅広い書類に使いますが、見積書送付状は見積内容に直結した文面である点が特徴です。目的は「見積の検討依頼」を伝えることであり、商談をスムーズに進める役割があります。
見積書送付状の書き方に決まりはありますか?
厳密な決まりはありませんが、日付・宛先・差出人・件名・本文(挨拶+見積送付の旨+結び)を盛り込むのが基本です。本文はシンプルかつ丁寧にまとめましょう。
見積書送付状はメールでも必要ですか?
はい。メールの場合は本文を送付状の代わりとして使います。件名を「見積書送付のご案内」とし、本文で「ご依頼の見積書をお送りいたします」と簡潔に伝えるのが適切です。
送付状なしで見積書だけ送るのは失礼ですか?
失礼にあたる可能性があります。特に初めての取引先や重要な案件では、送付状を添えることで誤解防止・信頼性向上につながります。
見積書送付状の文例はどんなものがありますか?
「拝啓 時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。さて、先日ご依頼いただきました見積書を送付いたします。ご検討のほどよろしくお願いいたします。」といった定型文がよく使われます。本ページのテンプレートを参考にすれば安心です。

まとめ

見積書の送付状の文例と、テンプレートを紹介しました。

見積書の送付状は、郵送で送付する場合だけではなく、FAXやメールで送る場合でも作成した方がよいでしょう。テンプレートを使えば、一般的な送付状のレイアウトがわかるので少しの修正でオリジナルの見積り送付状を作成できます。

見積り送付状に関係するビジネス文書としては、以下のようなものもあるので参考にしてください。

一般的な送付状との使い分け

本ページは「見積書送付状」に特化しています。
契約書・請求書・各種資料など見積書以外の書類送付については、汎用の送付状テンプレートを参照してください。

本ページ(見積書送付状)の対象

  • 見積依頼に対して回答する際の送付状
  • 商談・契約につながる価格提示や条件提示を伴うケース
  • 郵送・FAX・メールなど見積書送付専用の文例やフォーマット

汎用「送付状テンプレート」ページの対象

  • 契約書・請求書・案内資料など幅広い書類を送る場合
  • 社内・社外いずれにも使える一般的な送付状のフォーマット
  • 業種を問わず定型的に使えるシンプルな文例を探している場合