製造業とIT調達を含む100社超の見積依頼書のフォーマット作成の経験から、相見積もり・仕様確定前の打診・稟議提出用など実務で使いやすい見積依頼書テンプレートを作成しました。
数量・仕様・納期・支払条件・見積有効期限・納入場所・問い合わせ先まで漏れなく整理でき、相手先の回答スピードが上がる構成となっています。
見積依頼書テンプレート
見積りを依頼する商品の数量や単位、取引条件などを記載します。
実務上、見積書の送付依頼は単純な文面になりがちですが、購入の意志があることを明確に記載することで、相手の対応スピードが大きく変わると感じています。テンプレートではその点を意識しています。
カスタマイズのヒント
・依頼先が複数ある場合は、テンプレートをコピーして宛名だけを一括変更すると効率的です。
・社名ロゴや押印欄を追加することで、社外文書としての信頼性が高まります。
・ファイルはWord・Excel形式なので、必要に応じてフォントやレイアウトも調整可能です。
見積依頼書とは(見積書・依頼文・作業依頼書・業務依頼書との違い)
見積依頼書は、似た名称の文書と混同されやすいため、目的や役割の違いを明確にしておきます。
見積依頼書と見積書の違い
見積依頼書は「価格の提示を依頼する発注前の請求文書」です。見積書は「相手が提示する価格回答の文書」です。値引き交渉や稟議は、見積書の受領後に行います。
依頼文との違い(メール本文だけのお願い)
依頼文は挨拶と要件の自由形式です。対して見積依頼書は、数量・仕様・納期・支払条件などを定型で列挙し、見積精度を高めるための項目管理用シートです。
作業依頼書・業務依頼書との違い
作業依頼書・業務依頼書は実施の指示が主目的で、費用は確定済みまたは別契約にします。見積依頼書は費用見込みであり、契約や発注は別工程です。
書き方と必須記載項目
以下は、依頼書に必ず記載すべき項目です。抜け漏れを防ぐために確認しておきましょう
ヘッダー情報
案件名(プロジェクト名)、見積依頼番号、作成日、担当部署・担当者、連絡先(電話・メール)
宛先・条件
相手先名、窓口名、返信期限、見積有効期限の希望、見積提出方法(メール/PDF/原本)
品目・仕様
品名/型番、仕様書番号、数量・単位、想定価格帯(任意)、希望ブランドや同等品可否
納期・納入場所
希望納期、分納可否、希望納入場所(郵便番号・住所・部署名)、開梱・設置要否
取引条件
支払条件(末締翌月末振込など)、振込手数料負担、送料負担、検収基準、保証・保守の要否
見積条件の特記事項
相見積もり実施の有無、機密保持、質問受付期限、質疑応答窓口
メールで見積を依頼する文例(コピペ可)
実務でそのまま使えるメール文例を紹介します。依頼書の添付と併用するといいでしょう。
【見積依頼】〇〇案件(品目:△△/返信期限:9月20日)
本文
株式会社〇〇
営業部 △△様
いつもお世話になっております。株式会社□□の□□です。
添付の「見積依頼書」の内容にてお見積りをご提示ください。
返信期限は9月20日(金)17:00を希望いたします。
ご不明点は本メール宛にご連絡ください。相見積もりのため条件は同一で依頼しております。
よろしくお願いいたします。
株式会社□□ 購買部
担当:□□(TEL:03-XXXX-XXXX/Mail:aaa@bbb.jp)
よくあるミスと実務担当者向けチェックリスト
現場で起こりやすいトラブルを事前に防ぐため、チェックリスト形式で注意点をまとめました。
「いつまでに回答が必要か」「提示価格はいつまで有効か」を明記します。
仕様の記載ゆれ・前提抜け
型番・色・サイズ・互換条件・設置工事の有無など、見積差が出る要素を統一します。
送料・手数料・検収条件があいまい
送料負担(元払い/着払い)、振込手数料、検収合否の基準を明文化します。
窓口情報の未記載
問い合わせ先の氏名・直通電話・メール、質疑受付期限を記載します。
相見積もりのマナーと注意点
複数社から見積を取る際に配慮すべきマナーと、公正に比較するためのポイントです。
比較観点の統一
数量、納期、支払条件、保証範囲を統一し、総額だけでなく総保有コストで比較します。
機密・公正性の確保
他社の見積条件や価格の開示は避け、質問は全社へ同報で公平に共有します。
使い分け早見表
「見積依頼書」「見積書」「作業依頼書」「業務依頼書」「依頼文」の違いを一覧で整理します。
用途 | 使うべき文書 | 主な項目 | 備考 |
---|---|---|---|
価格提示を依頼 | 見積依頼書 | 数量・仕様・納期・取引条件・返信期限 | 本ページのテンプレート |
価格提示の回答 | 見積書 | 単価・金額・条件・有効期限 | 相手先が作成 |
作業の実施指示 | 作業依頼書/業務依頼書 | 作業範囲・体制・納期・検収 | 費用は別契約・別見積が前提 |
簡易にお願いだけ伝える | 依頼文(メール) | 挨拶・要件・期限 | 項目網羅性は低い |
テンプレートの使い方(編集ポイント)
自社の事情に合わせて修正しやすいよう、編集時に押さえておくべきポイントを解説します。
社内稟議・記録に使える項目名
案件名、見積依頼番号、見積分類(参考/正式)、添付仕様書名を残します。
相手先の手戻りを減らすコツ
図面や仕様書番号を併記し、代替可否や必須条件を一目で分かる配置にします。
相見積もりでの公平性
全社に同一版を送付し、版数管理(Ver.1.0等)をファイル名に付与します。
よくある質問(FAQ)
関連記事・内部リンク
- 見積書の書き方とテンプレート(価格提示を受け取る側の文書)
- 作業依頼書テンプレート(実施依頼に使う指示書)
- 注文書・発注書テンプレート(見積確定後の発注に)
- 依頼文テンプレート(通常の依頼やお願いの文書)
まとめ
この記事では、初めての人でも簡単に見積依頼書を作成できるエクセルテンプレートを紹介しました。
見積依頼書テンプレートを活用することで、数量・仕様・納期・取引条件などを明確に伝えられ、精度の向上と回答の短縮につながります。
本ページで紹介したWord・Excel・PDF形式のテンプレートは、社内稟議用の記録から相見積もりの依頼まで幅広く対応可能です。自社に合わせてカスタマイズしながら活用してください。