突然の異動や退職が決まると、まず手が止まりやすいのが業務引継書です。
ふだんの仕事は頭に入っていても、いざ文章にしようとすると「どこまで書けばいいのか」「後任者は何を知らない前提で読むのか」で迷います。月末処理、取引先との約束ごと、共有フォルダの場所、システムの操作手順。自分では当たり前でも、後任者にとっては最初のつまずきになることがあります。
このページでは、退職・異動・休職・担当変更のときに使える業務引継書テンプレート(引き継ぎ資料)を、Excel・Word・PDF形式で無料配布しています。業務を一覧で整理したい場合はExcel、手順や注意点を文章で残したい場合はWord、印刷して確認・保管したい場合はPDFが使いやすいです。
引き継ぐ業務を文章や表で残し、後任者が読み返せる資料を作るためのテンプレートを掲載しています。退職前に「何を引き継ぐか」を先に洗い出したい場合は、退職時の業務引継ぎチェックリストを使うと整理しやすいです。
業務引継書テンプレートの選び方
業務引継書は、形式や用途によって使いやすいものが少し変わります。まずは、いま作りたい引き継ぎ資料に近いものを選んでください。
| 探しているもの | 向いているテンプレート | 使う場面 |
|---|---|---|
| Excelで業務を一覧にしたい | Excel版 業務引継書 | 複数業務をまとめて引き継ぐとき、上司が進捗を確認したいとき |
| Wordで文章として残したい | Word版 業務引継書 | 手順、注意点、取引先ごとの事情を少し丁寧に書きたいとき |
| 印刷して確認・保管したい | PDF版 業務引継書 | 引継ぎ完了後の控え、上司や後任者との読み合わせ |
| 退職前に引継ぎ漏れを確認したい | 退職時の業務引継ぎチェックリスト | 退職日までに、業務・資料・取引先・未完了案件を洗い出すとき |
| 当日の連絡事項を渡したい | 申し送り書 | シフト交代、当番交代、店舗や受付の一時的な連絡 |
| 作業の流れも一緒に残したい | 業務フロー付きの引継書 | 受付、確認、入力、承認など、手順の順番で迷いやすい業務 |
Excelは、業務が多いときに向いています。Wordは、操作手順や注意点を少し丁寧に残したいときですね。PDFは、引継ぎ完了後に「この内容で渡しました」と残す場面で使いやすいです。
退職時は、最初から業務引継書を書き始めるより、先にチェックリストで「何を渡すか」を洗い出した方が進めやすいです。月末処理、取引先対応、共有フォルダの場所、システム権限などを確認してから、説明が長くなる業務だけ業務引継書にまとめる流れが現場では使いやすいです。
業務引継書テンプレート(Excel無料)
Excel版は、業務名、担当者、期限、資料の場所、確認状況を一覧で見たいときに使いやすい形式です。退職日や異動日までに複数の業務を渡す場合や、管理側が「どこまで引き継ぎが終わっているか」を確認する場面にも合います。
業務が多いと、文章だけでは全体像が見えにくくなります。先にExcelで業務を並べておくと、「これは月次業務」「これは年1回だけ」「これは後任者ではなく上司確認」と分けやすいです。
業務引継書テンプレート(Word・PDF無料)
Word版は、文章で説明する引き継ぎ資料に向いています。取引先ごとの注意点、操作手順、月末処理の流れなど、表だけでは伝えにくい内容を書きたいときに使いやすいです。
PDF版は、引継ぎ完了後の保存用として使えます。印刷して上司や後任者と読み合わせる場合にも便利です。Wordで作成して、最終版をPDFにして残す流れでも問題ありません。
目的別の業務引継書テンプレート
引き継ぎの内容は、部署や仕事の種類でかなり変わります。営業なら取引先との経緯、製造なら作業手順や確認項目、サービス業なら接客ルールやシフトまわり。汎用テンプレートで足りない部分は、目的別テンプレートを選ぶと書きやすいです。
プロジェクト引き継ぎ書
進行中のプロジェクトを引き継ぐときに使うテンプレートです。進捗状況、次の作業、担当者、期限を書いておくと、後任者が途中から入っても全体の流れを追いやすくなります。
月曜の朝に「この案件、今日からお願いします」と渡されると、後任者はまず状況確認から始めることになります。資料の場所と次のアクションだけでも書いてあると、かなり助かるはずです。
営業向けの引き継ぎ書
営業の引継ぎでは、商談履歴だけでなく、取引先との距離感も残しておきたいところです。見積の提出日、決裁者、過去に嫌がられた連絡方法、次回訪問で話す内容。こういう細かい情報がないと、後任者は同じ確認をもう一度することになります。
このテンプレートは、顧客情報、商談状況、案件の見込み、次回対応をまとめるときに使えます。
製造業向け引き継ぎ書
製造現場では、手順の抜けが品質や安全に直結します。作業の順番、確認する数値、使う工具、止めてはいけない工程、いつも音が変わるタイミング。現場でしか分からないこともあります。
このテンプレートでは、作業手順、注意事項、確認項目、イレギュラー対応をまとめられます。新人や他ラインから来た担当者に渡す場合は、少し細かめに書いておく方が安心です。
サービス業向け引き継ぎ書
サービス業では、接客手順やシフトのルールが口頭で回りがちです。開店前に確認すること、常連のお客様への対応、予約変更が入ったときの流れ、クレーム時に呼ぶ人。忙しい時間帯ほど、こういう情報が欲しくなります。
このテンプレートは、接客ルール、シフト管理、店舗内の確認事項、スタッフ間の連絡内容を残すときに使えます。
業務引継書とは
業務引継書とは、担当者が異動・退職・休職などで業務を離れるときに、業務内容や進捗状況、関係者、手順、注意点を後任者へ伝えるための文書です。
口頭の説明だけでも、その場では伝わったように感じます。ただ、翌週になって実際に作業を始めると、「あのファイルはどこだっけ」「この取引先には誰から連絡するんだっけ」と止まることがあります。
業務引継書は、そのときに見返すための資料です。前任者の頭の中にある仕事を、後任者が読める形にする。少し地味ですが、担当者が変わる職場ではかなり効きます。
引き継ぎが必要になる背景には、特定の担当者だけが手順や判断基準を知っている状態があります。こうした状態を減らす考え方については、属人化を防ぐ方法(中小企業の経費削減ガイド)でも詳しくまとめています。
テンプレートを使う前に決めておくこと
テンプレートを開く前に、先に決めておきたいのは「何を文章で残すか」です。
全部を書こうとすると、引継書は長くなります。逆に、業務名だけ並べると後任者が動けません。現場では、この間を取るのが少し難しいですね。
まずは次の3つを決めておくと書きやすいです。
- 後任者は誰か。新人なのか、経験者なのか
- どの業務を詳しく書き、どの業務は一覧だけにするか
- 上司や管理側が確認する項目はどこか
新人向けなら、社内用語やシステム名も少し説明した方が親切です。経験者向けなら、細かい操作よりも、取引先ごとの注意点や例外対応を厚めに書く方が合います。
退職時は特に、引継書を書き始める前に退職時の業務引継ぎチェックリストで項目を洗い出しておくと楽です。いきなり文章にするより、まず業務名を並べる。ここから始める方が、抜けに気づきやすいです。
業務引継書の書き方
業務引継書は、最初からきれいな文章にしようとすると進みにくいです。まずは箇条書きで出して、そのあと後任者が読める形に整えるくらいで十分です。
- 担当している業務をすべて書き出す
- 日次・週次・月次・年次に分ける
- 業務ごとに、手順・期限・関係者・資料の場所を入れる
- 未完了案件と次の対応を別でまとめる
- 後任者と一緒に読み合わせ、分かりにくい箇所を直す
テンプレートを使う前は、思いついた順に説明してしまいがちです。使うときは、表や見出しに沿って埋めるので、「月末処理を忘れていた」「この取引先だけ例外がある」と気づきやすくなります。
個人的には、最初に「業務名」だけ全部入れてしまう方が楽です。文章はあとで足せます。白紙の状態で文章を書き始めるより、だいぶ気が楽になります。
業務フローも残したい場合
業務によっては、文章だけでなく「どの順番で進むか」も残した方が伝わりやすいです。たとえば、受注処理なら、受付、在庫確認、見積作成、承認、発注、納期連絡という流れがあります。
この流れが抜けると、後任者は途中で「次は誰に確認するんだろう」と止まりやすくなります。Excel版のテンプレートを使う場合は、次のような項目を追加しても使いやすいです。
| 項目 | 書く内容 |
|---|---|
| 工程 | 受付、確認、入力、承認、連絡など、作業の順番 |
| 担当者 | 各工程を担当する人、確認する人 |
| 使用資料 | システム名、Excelファイル、紙資料、共有フォルダ |
| 判断する箇所 | 金額差異、納期変更、承認待ち、例外対応など |
| 止まりやすい箇所 | 確認漏れが出やすい工程、前任者が迷った箇所 |
完全なフローチャートにしなくても、表で順番が分かれば十分な場面もあります。急ぎの引継ぎでは、細かい図を作るより「次に何をするか」が見える方が助かります。
業務引継書の記入例
たとえば、営業事務の担当者が退職する場合は、次のように書いておくと後任者が動きやすいです。
| 項目 | 記入例 |
|---|---|
| 業務名 | 月末請求書の確認と送付 |
| 実施タイミング | 毎月25日以降。月末最終営業日までに送付 |
| 手順 | 販売管理システムから請求データを出力し、金額と宛先を確認。確認後、PDFで取引先へメール送付 |
| 資料の場所 | 共有フォルダ:営業事務/請求書/当月分 |
| 注意点 | A社は月末ではなく25日締め。送付前に営業担当へ一度確認する |
| 確認者 | 営業部長、経理担当 |
「A社は25日締め」のような例外は、前任者にとっては当たり前でも、後任者は知りません。こういう小さいメモがあるだけで、引継ぎ後の確認メールが減ります。
業務引継書に入れておきたい項目
業務引継書には、業務の説明だけでなく、後任者が実際に動くための情報を入れておくと使いやすいです。
| 項目 | 書く内容 | 書き方の目安 |
|---|---|---|
| 業務概要 | 何のための業務か、誰に関係する業務か | 最初に1〜2文で全体像を書く |
| 作業手順 | 実際の進め方、使う資料、確認順 | 画面を見ながら追える順番で書く |
| 実施時期 | 毎日、毎週、毎月、年1回など | 「月末」だけでなく、締切日も入れる |
| 関係者 | 社内担当者、取引先、確認者 | どんな場面で連絡する相手かも添える |
| 資料の場所 | 共有フォルダ、ファイル名、紙資料の保管場所 | 「共有フォルダ」だけで終わらせない |
| 注意点 | よくあるミス、例外処理、判断に迷う場面 | 前任者が一度迷ったことを書く |
| 未完了案件 | 現在の状態、次にやること、期限 | 「対応中」ではなく次の行動まで書く |
業務引継書でよくある詰まり
「請求処理」「顧客対応」とだけ書いても、後任者は動けません。いつ、どの資料を見て、誰に確認するのかまで書くと使える引継書になります。とはいえ、全業務を細かく書くと大変なので、月末処理や取引先対応など、止まると困る業務から厚めに書くとよいです。
引継書に「共有フォルダ参照」とだけ書いてあるケースは多いです。後任者は朝からフォルダを開いて探すことになります。フォルダ名、ファイル名、更新するタイミングまで入れておくと、探す時間が減ります。
通常手順は書いてあっても、「この取引先だけ締切が違う」「この書類だけ上司確認が先」といった例外が抜けることがあります。実務では、むしろ例外の方で止まります。ここは少し丁寧に書いた方がいいです。
引継書を渡した日より、後任者が実際に作業した日によく質問が出ます。可能なら、引継ぎ後1週間くらいで短い確認時間を入れておくと、細かいズレを直しやすいです。
業務引継書とチェックリストの違い
業務引継書とチェックリストは、似ていますが役割が違います。
| 種類 | 目的 | 向いている使い方 |
|---|---|---|
| 業務引継書 | 業務内容や手順を文章で残す | 後任者があとで読み返す資料、社内提出用の引き継ぎ資料 |
| 業務引継ぎチェックリスト | 引き継ぐ項目の漏れを確認する | 作成前の棚卸し、上司や後任者との確認 |
先に業務引継ぎチェックリストで項目を出し、そのあと業務引継書に詳しく書く流れが自然です。いきなり文章で書くより、抜けに気づきやすいと思います。
業務引継書と申し送り書の違い
業務引継書と申し送り書も、現場では少し混ざりやすい書類です。どちらも「次の担当者に伝える」ために使いますが、期間と内容が違います。
| 種類 | 使う場面 | 書く内容 |
|---|---|---|
| 業務引継書 | 退職、異動、休職、担当変更 | 担当業務、手順、関係者、未完了案件、資料の場所 |
| 申し送り書 | シフト交代、当番交代、当日の連絡 | 当日の状況、注意事項、未対応の連絡、次の担当者への伝言 |
業務引継書は、担当者が変わるときに業務全体を渡すための資料です。一方で、申し送り書は「今日の遅番に伝えること」「明日の担当者に見てほしいこと」のように、短い期間の連絡で使います。
店舗や介護、受付、シフト制の職場では申し送り書の方が使いやすい場面もあります。逆に、退職や異動で業務を丸ごと渡す場合は、業務引継書にまとめた方があとから確認しやすいです。
業務マニュアルとの違い
業務マニュアルは、業務の標準的な手順をまとめる資料です。担当者が変わらなくても使います。
一方、業務引継書は、担当者が変わるタイミングで「今どこまで進んでいるか」「誰に何を渡すか」「次に何をするか」を伝える資料です。
| 種類 | 主な内容 | 使うタイミング |
|---|---|---|
| 業務マニュアル | 標準手順、操作方法、ルール | 日常業務、教育、作業の標準化 |
| 業務引継書 | 担当業務、進捗、未完了案件、関係者、注意点 | 退職、異動、休職、担当変更 |
マニュアルがある場合でも、引継書には「現在の状況」を書きます。ここを分けておくと、後任者が迷いにくいです。
カスタマイズ例
テンプレートは、そのまま使ってもいいですが、自社の業務に合わせて少し直すと使いやすくなります。
得意先リスト、訪問履歴、見積中の案件、次回連絡日、決裁者、競合情報を追加します。営業は人間関係の情報も残したいので、「連絡時の注意」欄があると助かります。
使用システム、共有フォルダ、書類の保管場所、月末処理、よくある問い合わせを入れます。事務は「いつも通り」の中に細かい判断が多いので、例外処理も少し書いておくと安心です。
工程フロー、作業手順、確認する数値、注意する音や状態、部材の在庫確認を入れます。現場でしか分からない感覚的なことは、言葉にしにくいですが、短いメモでも残しておく価値があります。
引継ぎ完了日、確認者、未完了項目、リスク、後任者の理解状況を見られるようにします。担当者任せにせず、最後に管理側が確認する欄を残しておくと使いやすいです。
よくある質問(FAQ)
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まとめ
業務引継書は、きれいな文章を作るための書類ではありません。後任者が迷わず業務に入るための、かなり実務的な資料です。
まずはテンプレートを開いて、自分が担当している業務名を並べてみてください。そこから、期限、資料の場所、関係者、注意点を足していくと、引き継ぎ資料として形になります。
月末処理や取引先対応のように、止まると困る業務から書く。これだけでも、後任者の不安はかなり減るはずです。
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■ 著者
Bizroute編集部(株式会社エクシア)
■ 監修
株式会社エクシア
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