内定通知書は、企業が採用を正式に伝える文書です。

人事担当として多くの採用現場を経験してきた立場からも、正しい内定通知書の発行は応募者に安心感を与え、企業の信頼性を高める大切なステップであると実感しています。

この記事では、内定通知書の役割や構成、書き方の注意点を解説しながら、すぐに使えるテンプレートを紹介します。新卒・中途・インターン・リモートワークなど、採用形態ごとの違いも整理しているので、ぜひ参考にしてください。

内定通知書テンプレート一覧

内定通知書は採用区分によって内容や強調する項目が異なります。以下のテンプレートを用途に応じて活用してください。

中途採用用 内定通知書

転職者向けに使えるシンプルな内定通知書です。給与や待遇面を中心に記載するのが特徴です。

中途採用向け内定通知書テンプレート Word

詳細条件付き 内定通知書

配属部署、勤務地、休日休暇、賃金、賞与などを詳細に明記するフォーマットです。条件を明確にすることでトラブル防止につながります。

中途採用向け内定通知書テンプレート03

 

新卒採用用 内定通知書

応募や来社に対するお礼の言葉を含め、新卒者向けに柔らかい表現を使うケースが多いです。

条件明記型の内定通知書テンプレート Excel対応

 

インターンシップ用の内定通知書

インターンシップ用の内定通知テンプレートです。挨拶文や全体的な書式は新卒や中途と変わりありませんが、インターンシップ期間や勤務時間などを明記しています。

新卒採用 内定通知書テンプレート 例文あり

 

リモートワーク用 内定通知書

在宅勤務者向けに勤務形態や通信費の扱いなどを明記した書式です。

リモートワーク内定通知書テンプレート 無料DL

内定通知書の基本構成

内定通知書は、以下の項目で構成すると、実務でも活用しやすく、内容が明確になります。

宛名と日付

候補者の氏名・住所、発行日を明記します。氏名の表記ゆれがないか確認します。

タイトル(文書名)

文頭に内定通知書と明示します。採用内定であることが一目で分かるようにします。

本文の基本要素

内定通知の明記

採用選考の結果、貴殿を採用内定とする旨を簡潔に示します。

入社予定日

入社年月日、集合時刻、集合場所、初日の持ち物を明記します。変更があり得る場合は連絡手段も記載します。

配属部署・勤務地

予定部署、就業場所(テレワークの有無)、転勤可能性の扱いを示します。

給与・待遇・勤務条件

基本給、各種手当、所定労働時間、休日休暇、試用期間、所定外労働の有無、社会保険加入有無などを明記します。表形式にすると読みやすくなります。

署名・押印

代表者または人事責任者の署名と社印で正式文書としての信頼性を担保します。

内定通知書の書き方

内定通知書は「読み手が迷わない構成」と「数値・期日の具体化」が重要です。

文書の形式・フォーマット

  • A4縦を基本とします。自社レターヘッドを使用すると公文書性が高まります。
  • 宛名・日付・文書名は冒頭に配置します。本文は見出しや段落で整理します。
  • 条件項目は箇条書きまたは表で統一します。注記は脚注で補足します。

文章作成のポイント

  • 結論先行で内定の事実を明記します。
  • 入社予定日、勤務地、賃金、試用期間、提出書類、連絡窓口を具体的に書きます。
  • 確定事項と予定事項を区別し、変更時の連絡ルールを示します。
  • 候補者への敬意を込めた語調で統一します(ですます調)。

例文(新卒・中途・インターン別)

新卒向け例文
選考の結果、貴殿を弊社の新卒採用において採用内定といたします。
入社予定日は○年○月○日です。配属予定は○○部を予定しています。
詳細な勤務条件および提出書類は同封資料をご確認ください。

中途向け例文
このたびの中途採用選考の結果、貴殿を採用内定といたしました。
入社予定日は○年○月○日です。
勤務条件(給与・勤務時間・休日等)の概要は下記のとおりです。
詳細は別紙「労働条件通知書」をご参照ください。

インターン向け例文
インターンシップ選考の結果、貴殿を受入内定といたします。
実施期間は○年○月○日から○年○月○日まで、実施場所は○○オフィス(またはオンライン)です。
活動内容・日数・時間および交通費等の取り扱いは別紙をご確認ください。

内定通知書の注意点

内定通知書は、採用候補者への案内だけでなく、条件を最初に提示する大切な書類なので、記載する内容や扱いには十分注意しましょう。

誤解を避けるための表現

  • 「予定」「見込み」などの語は乱用せず、確定事項のみを明示します。
  • 内定承諾の期限、提出書類の締切、連絡方法を具体化します。
  • リモート勤務やフレックスなどの運用ルールは別紙参照の旨を添えます。

法的リスクへの配慮

  • 内定は「始期・解約権留保付労働契約」と見なされることがあるため、内定を取り消す際は慎重に行う必要があります。
  • 最終的な労働条件の確定は労働条件通知書等で行います。内定通知書には概要のみを記載します。
  • 個人情報の取り扱いと提出書類の保管方針を明示します。

候補者とのトラブル防止策

  • 条件の変更可能性がある事項は「別紙の最新版を優先」と記します。
  • 問い合わせ窓口(担当部署・メールアドレス・電話)を記載します。
  • 書面とメールの両方で通知し、相手が受け取ったことを確認します。

関連する書式(役割が異なる文書)

運用のコツとチェックリスト

内定通知書は一度作成したら終わりではなく、更新や確認が欠かせません。 以下のチェックリストを活用して、実務での運用に役立ててください。

  • 入社予定日・試用期間・各種手当は数値で記載します(例:所定労働時間1日8時間、試用期間3か月)
  • 提出書類(住民票記載事項証明書、年金手帳の基礎年金番号確認、雇用保険資格喪失確認書など)の一覧を別紙化します。
  • テンプレートは部門共通の最新版を管理し、版数と更新日をフッターに表示します。

よくある質問(FAQ)

内定通知書と内定承諾書はどう違いますか?
内定通知書は企業から候補者へ内定を正式に伝える文書です。一方、内定承諾書は候補者がその内定を受諾する意思を示す文書です。
内定通知書はメールで送っても問題ありませんか?
メールで送付するケースもありますが、正式な証拠性を高めるためには書面での発行をおすすめします。両方を併用するとより安心です。
内定通知書のテンプレートはWord以外にもありますか?
はい。Wordに加えてPDFやExcel形式でも利用できるテンプレートを用意しています。編集や印刷環境に合わせて選択してください。
内定通知書に記載すべき最低限の項目は何ですか?
必須項目は「内定の通知」「入社予定日」「勤務地・配属部署」「給与・待遇」「連絡先・担当者情報」です。詳細条件は労働条件通知書で補足します。
内定通知書を修正・更新する場合の注意点はありますか?
最新版であることを明記し、版数や更新日を管理してください。古いテンプレートの使い回しは条件の誤記や候補者とのトラブルの原因になります。

まとめ

内定通知書は採用活動の最終段階で必要となる重要書類です。正しいフォーマットと内容で発行することは、候補者への信頼構築につながります。この記事で紹介したテンプレートを活用し、自社に合った内定通知書を作成してください。