資金繰りは、手持ちのキャッシュを不足させないためにとても重要です。資金繰り表を作成することで、入金や支払いの流れが一目でわかるようになります。
今回は自動計算付きの資金繰り表テンプレートやフォーマット、作り方を紹介します。エクセルで資金繰り表を作成して事業に必要なキャッシュの流れを把握してみてください。
資金繰り表とは
資金繰り表とは、会社のお金の流れを把握するための表です。
具体的には、「いつ」「いくら」のお金が入ってくるのか、「いつ」「いくら」のお金が出ていくのかを把握することで、将来の資金不足を防ぎ、適切に資金管理を行います。
会社が倒産する一番の理由は赤字で事業がうまくいかなくなることよりも、手持ちの現金がなくなり支払いができなくなることです。そういった事態を回避するためにも、資金繰り表を作成して、いつ資金がなくなりそうか、借り入れなども含めて計画することが大切になってきます。
資金繰り表の種類
資金繰り表は、以下の2つの種類があります。
1. 簡易版資金繰り表
簡易版の資金繰り表は、「売上」「仕入」「経費」などの主要な項目のみを記載したシンプルな資金繰り表です。作成が簡単で、資金繰りの大まかな流れを把握したい場合に役立ちます。
2. 詳細版資金繰り表
詳細版の資金繰り表は、「売掛金」「買掛金」「預貯金」「借入金」など、より詳細な項目を記載した資金繰り表です。簡易資金繰り表よりも精度の高い予測が可能で、資金繰りのリスクをより詳細に把握したい場合に役立ちます。
資金繰り表の作り方
資金繰り表は、以下のような手順で作成することができます。
1. 資金繰り表のフォーマット
資金繰り表のフォーマットは、以下の項目を記載します。資金繰り表は、月単位、週単位、日単位など、必要な期間で作成することができるので、必要な期間を作成します。
日付
項目
金額
資金収支
2. 各項目の金額を記入
各項目の金額は、収集した情報に基づいて記入します。
売上
売上は、「売上台帳」や「請求書」に基づいて記入します。現金売上と売掛金に分けて記入します。
仕入
仕入は、「仕入台帳」や「支払書」に基づいて記入します。現金仕入と買掛金に分けて記入します。
経費
経費は、「経費台帳」や「領収書」に基づいて記入します。
その他の収入
その他の収入は、「借入金契約書」や「補助金交付決定通知書」に基づいて記入します。
その他の支出
その他の支出は、「借入金返済計画」や「税金申告書」に基づいて記入します。
3. 資金収支の計算
資金収支は、以下の式で計算します。
資金収支 = 売上 + その他の収入 - 仕入 - 経費 - その他の支出
資金収支がプラスであれば、資金が流入していることを意味し、資金収支がマイナスであれば、資金が流出していることを意味します。
資金繰り表テンプレート
自動計算付きのエクセル資金繰り表テンプレートを2種類紹介します。
シンプルな収支と借入計画なども記入できる資金繰り表と、同じ項目で予定と実績を管理できる予実欄がついたタイプです。
シンプル
シンプルな資金繰り表テンプレートです。売上や売掛金回収などの収入、人件費、材料費などの経費を記載する支出欄と借入の調達や返済を管理して資金の流れを一覧で見ることができます。支出の項目については、自分の事業用に変更してもいいでしょう。
自動計算する箇所は、収入計、支出計、財務支出、合計収支、次月繰越金などの合計欄と各項目の年間合計です。
予実あり
上記の資金繰り表と項目の内容は同じですが、テンプレートに予算欄と実績欄が追加されているので予想に対して実際はどうだったのかを常に把握することができます。
こちらのテンプレートも収入計、支出計、財務支出、合計収支、次月繰越金などの合計欄と各項目の年間合計を自動計算します。
テンプレートの使い方
実際に資金繰り表をテンプレートから作る方法について説明します。
基本的には、毎月の収入(売上、売掛金回収など)と支出(人件費、材料費、外注費など)を入力していくことで、自動的に資金繰り表が完成します。
それぞれの入力項目を細かく見ていきます。
月初繰越残高
4月だけは前記の繰越金額を手で入力します。その後の月は、収支を入力すると自動的に計算されて次の月に表示されます。
各月の表示はデフォルトで4月~翌3月までになっていますが、これはあなたの対象年度に合わせて変更してください。
収入欄
収入欄は、実際に現金を受け取った、振り込みされた場合の金額を記入していきます。売掛金や手形などすぐに現金にできないものは除きます。それぞれの収入を分けて記載するのは多少手間がかかりますが、現金収入の内訳がわかるようになるのでできるだけ分けて記載した方がいいでしょう。
現金売上
現金で売り上げた金額を入力します。直接受け取った現金の他、銀行振込もここに入力してください。
売掛金回収
売掛金が入金された場合に記入します。
手形割引
手形割引によって、手形を現金化した場合に記入します。
受取利息・配当金
銀行預金からの利息や、株式の配当金などを記入します。
その他収入
売上や利息ではない、その他の雑収入があればこちらに記入します。
支出欄
支出欄は、当月に支払が発生した項目を科目ごとに分類して記入していきます。仕分けるのに手間がかかるなら科目ごとにわけずに支出としてもまとめても構いません。
人件費
正社員やパートなどの人件費を記入します。
材料費
製品を製造するときに消費する資材などの購入費を記入します。
外注費
正社員やパート以外の法人や個人に作業を外部委託した外注費用を記入します。
地代家賃
建物や土地などの費用を記入します。
水道光熱費
水道光熱費を記入します。
通信費
郵便、宅配便、電話、ネットなどの通信に使用した費用を記入します。
旅費交通費
交通費や出張費などの費用を記入します。
支払手数料
銀行手数料や士業への依頼など手数料にかかった費用を記入します。
その他経費
上記の項目に当てはまらない雑費を記入します。
調達
「調達」は、借り入れによって調達した現金の内訳を管理するための項目です。現在どのぐらいの借り入れがあるのかがわかるようになります。
短期借入金
短期借入金を調達した場合の入金額を記入します。
長期借入金
長期借入金を調達した場合の入金額を記入します。
返済
借入金の返済状況を記入する項目です。毎月の返済計画がわかるので、いつ資金がショートするのか次はいつ借り入れすればいいのかがわかるようになります。
短期借入金
短期借入金を返済した金額を記入します。
長期借入金
長期借入金を返済した金額を記入します。
合計収支
経常収益と財務支出を加算した金額が算出されます。これで実際に該当月に収支がどの程度プラスかマイナスかがわかるようになります。合計収支は自動計算されます。
次月繰越金
次月繰越金は、月初繰越残高と合計収支の合計です。合計収支がプラスなら次月への繰越金は増え、逆にマイナスの場合は今月より減ってしまいます。
ここまで資金繰り表をテンプレートから作る方法を紹介しました。
資金繰り表を使って計画を作成すると自分で考えていたときよりも支出が多かったり、収入が少なくなったりします。そのため、若干厳しめに作成した方が早めにリスクを回避できます。
まだ事業を始めていない場合は収入や支出を正確に予測することは難しいですが、予実管理の方を使って予測の数字を入力して実績と比べることで徐々に資金繰りを正確に把握できるようになってきます。
参考リンク
日本政策金融公庫のホームページで、資金繰り表の簡易・詳細テンプレートと作成手順及び記載例などがエクセル形式でダウンロードできます。
日本政策金融公庫 資金繰り表
まとめ
この記事では、資金繰り表の作り方やエクセルテンプレートや作り方について紹介しました。
資金繰り表は、一度作成してしまえば終わりではありません。はじめは計画として概算で入力しておいて、はっきりと収支がわかってきた段階で正確な資金繰りの数字にすることです。