始末書を書くとき、迷いやすいのが「どんな書き方が正しいのか」「どこまで具体的に書くべきか」という点です。

このページでは、始末書の基本構成と書き方のルールを解説し、さらに状況別に使える例文をまとめています。

遅刻・無断欠勤・接客クレーム・備品破損など、職場で起こりやすいケースを、そのまま書き換えて使える文章例/書き方の注意点/修正ポイントまで解説しました。

【実務経験コメント】
中小企業支援や文書レビューの現場で数多くの始末書に携わり、その中でわかったのは、形式よりも「事実と再発防止策の整理」が重要だということです。このページでは、例文に沿って読み進めるだけで、必要事項を整理できるように構成しています。

目次

始末書の基本構成(共通フォーマット)

どのケースの始末書でも、基本となる構成は共通です。状況が異なっても、文書の流れは次の4つを順番に押さえることで、読み手に伝わりやすく整理された始末書になります。

【結論】始末書の基本構成は「事実 → 謝罪 → 原因 → 再発防止策」
どんなケースでも、この流れを崩さないことが重要です。

① 事実の記載(いつ・どこで・何が起きたか)

まずは、事実関係を主観を入れず時系列で記載します。感情表現や言い訳よりも、客観的な情報を中心にまとめます。

  • 発生日時・場所
  • 関係者・影響範囲
  • 具体的な被害・遅延の有無

例:「○月○日、○○会社の案件で納品データを誤って削除しました。」

② 謝罪(誰に対して、何を謝罪するのか)

具体的に謝罪対象を明示します。「迷惑をかけました」ではなく、何に対して責任を感じているのかまで記載するのがポイントです。

  • 会社・部署・上司・顧客・関係者など
  • 影響が生じた内容の明示

例:「会社および関係部署の皆様に多大なるご迷惑をおかけしました。」

③ 原因・責任の明確化

原因を客観的に整理し、自身の判断や行動のどこに問題があったかを示します。「忙しかった」「誤解した」などの理由だけにせず、改善可能なポイントまで落とし込みます。

  • 準備不足・確認不足・理解不足
  • ルールの確認漏れ・事前相談不足

例:「確認作業を怠り、差し替え前のファイルを送付してしまいました。」

④ 再発防止策の提示

再発防止策は、抽象的な表現ではなく、行動レベルで具体的に記載します。

  • 再発防止策を段階的に整理
  • 改善後の運用ルールも明示
  • 必要に応じて第三者の確認や承認方法も書く

例:「今後は必ず上長に事前確認を依頼し、提出前にチェックリストを活用します。」

【実務からのアドバイス】
この4項目を順番に書き進めると、どんな事例でも必要事項が埋まります。
テンプレートを使う場合も、必ずこの構成に沿って内容を書き換えてください。

次は、状況別テンプレートの例文を、この構成にあてはめて解説します。

勤怠・勤務態度に関する始末書の例文

寝坊による遅刻の始末書【例文】

寝坊・二度寝・目覚ましの設定ミスなど、自己管理不足による遅刻のケースで使える例文です。

私は、〇〇年〇月より〇ヶ月にわたり、自らの不注意により始業時間に度々遅刻をしてしまいました。

これは、社会人としての自己管理の欠如に起因するものであり、深く反省しております。また、この度の度重なる遅刻により、会社ならびに職場の皆様へ多大なるご迷惑をおかけしましたことを、重ねて心よりお詫び申し上げます。

今後は、自己管理を徹底し、常に余裕をもって行動することを心がけ、二度とこのようなことのないよう業務に精進してまいる所存でございます。

書き方のポイント

  • 「一度の遅刻」か「度重なる遅刻」かを明確にする
  • 原因(寝坊・体調管理不足・夜更かしなど)はぼかさず簡潔に書く
  • 再発防止策(就寝時間の見直し・アラーム設定・家族への協力依頼など)を具体的に示す

事故による無断欠勤の始末書【例文】

通勤途中の事故や急病等により、結果として「無断欠勤」となってしまったケースの例文です。

このたび、令和〇年〇月〇日(〇)に通勤途中で交通事故に遭い、救急車で病院へ搬送されました。

幸い大きな怪我ではございませんでしたが、医師の提案により念のため一日入院して経過観察を受けておりました。病院にいる間、会社へ連絡を入れるべき状況ではありましたが、事故の際に携帯電話が破損したため、結果的に連絡を取ることができませんでした。

本件は交差点横断中の事故であり、相手方にも過失はございましたが、私自身の確認不足も一因であったと認識しております。その結果、無断欠勤という形となり、社内の皆様や取引先にご迷惑をおかけしましたことを、心より深くお詫び申し上げます。

書き方のポイント

  • 「無断」になった理由(連絡手段がなかった、意識がなかった等)を具体的に説明する
  • 事故の責任割合よりも、「連絡できなかった事実」と「今後の連絡体制」を重視する
  • 次回同様の事態があった際の連絡方法(家族・同僚への依頼など)まで書いておく

勤務時間外のアルバイトの始末書【例文】

就業規則で副業が禁止されているにもかかわらず、了承を得ずにアルバイトをしていたケースの例文です。

私はこの度、勤務時間外にアルバイトを行っていたことが会社の就業規則に違反する行為であると認識し、深く反省しております。ここに謹んでお詫び申し上げます。

経緯を申し上げますと、私は20XX年X月X日より勤務時間外に別のアルバイトを開始いたしました。しかしながら、会社の就業規則において勤務時間外であってもアルバイトを禁止していることを十分に理解せず、この規定に反する行為を行ってしまいました。家計の事情を理由に安易にアルバイトを始めてしまいましたが、会社の規定を軽視した結果、会社の信頼を損ね、他の従業員への悪影響を及ぼす恐れを生じさせることとなり、誠に申し訳なく思っております。

今後は、このような行為を二度と繰り返すことのないよう、会社の就業規則を厳守し、適切な労働時間の中で職務に専念してまいります。また、信頼回復に努めるとともに、自己管理を徹底し、職場の秩序維持に貢献していく所存でございます。

書き方のポイント

  • 「就業規則違反」であることを明確に認める
  • やむを得ない事情があっても言い訳口調にならないよう注意する
  • 今後は社内ルールに則り、事前に会社へ相談することを書く

物損・設備・備品に関する始末書の例文

鍵の紛失の始末書【例文】

会社の鍵・セキュリティカード・入退室用ICカードなど、管理が厳格な物品を紛失した場合の例文です。

私は、〇〇年〇月〇日帰宅後、会社の通用口の鍵を紛失してしまったことに気づきました。通用口を施錠した後に立ち寄った場所や利用した交通機関へ確認を行い、さらに警察署へ遺失物届を提出いたしましたが、現在に至っても発見には至っておりません。

鍵の持ち出しや取り扱いに細心の注意を払うべきことは当然でありながら、このような事態を招いてしまったことに弁明の余地はなく、すべて私の責任でございます。心より深く反省申し上げます。

書き方のポイント

  • 紛失に気付いた時点からの対応(探した場所・届出先)を具体的に記載する
  • 鍵・カードの重要性を理解していることを示す一文を入れる
  • 今後の管理方法(持ち出しルール・保管場所など)を明確にする

ノートパソコン破損の始末書【例文】

会社から貸与されているPC・タブレット等を落下・水濡れなどで破損してしまった場合の例文です。

私は、〇〇年〇月〇日、打ち合わせのため取引先へ移動中に、会社より貸与されているノートパソコンを不注意により破損させてしまいました。

この結果、会社に多大なるご損害を与えるとともに、課内の皆様にも余計なご迷惑をおかけすることとなり、深く反省しております。誠に申し訳なく、ここに心よりお詫び申し上げます。

今後は、ノートパソコンを携帯する際には必ず保護ケースを使用し、細心の注意を払って取り扱うことで、二度とこのような不注意を繰り返さぬよう努めてまいる所存でございます。

書き方のポイント

  • 破損時の状況(移動中・作業中など)を具体的に書く
  • 情報漏洩の有無を、別途テンプレや報告書と併せて整理する
  • 物理的な対策(ケース・置き場所)まであると説得力が増す

接触事故(車両)の始末書【例文】

社用車・営業車での接触事故など、業務中の自動車事故に関する始末書の例文です。

私は、令和〇年〇月〇日午後二時頃、〇〇市内の弊社子会社「〇〇」へ商品を配送中、駐車場に駐車していた車両に接触事故を起こしてしまいました。

本件は、駐車の際に私の注意力が不足し、背後の確認を怠ったことに起因するものでございます。幸い、相手車両には乗員はおらず人身への被害はございませんでした。また、私自身十分に減速しておりましたため、双方の車両に生じた損害も軽微であり、先方とは示談が成立しております。

しかしながら、本事故により関係各位には多大なるご迷惑とご心配をおかけしましたこと、ここに深くお詫び申し上げます。今後は二度とこのような不始末を起こすことのないよう、細心の注意を払って運転に臨み、職務に励む所存でございます。

書き方のポイント

  • 人身事故か物損事故か、怪我の有無を明確にする
  • 保険会社・警察への連絡状況は報告書やチェック欄で管理する
  • 再発防止のためのルール・社内教育などにも触れる

不良品の製造に関する始末書【例文】

製造現場・工場などでの操作ミスにより、不良品やロスが発生したケースの例文です。

私は、令和〇年〇月〇日午前十一時頃、作業中に機械を誤作動させた結果、〇個の不良品を発生させてしまいました。

本件は、私自身の集中力を欠いたことに起因するものであり、不注意によりこのような事態を招き、会社に多大な損失を生じさせてしまいましたことを心より深くお詫び申し上げます。

今後は、二度とこのような失態を繰り返すことのないよう、細心の注意を払い、確認を徹底したうえで業務に励む所存でございます。

書き方のポイント

  • 不良品数・ロット・ラインなど、必要な情報を整理しておく
  • 「誤作動」の原因(設定ミス・清掃不良など)を明確にする
  • 再発防止策はリストや体制とセットで記載すると効果的

事務ミス・取引先トラブルに関する始末書の例文

ファイル誤消去の始末書【例文】

サーバー・共有フォルダ等のデータを誤って削除し、業務に影響が出たケースで使える例文です。

私は、令和〇年〇月〇日午後二時頃、ファイルサーバー内のデータ整理作業中に、誤って一部のデータを消去し、業務の停滞と混乱を招いてしまいました。

この事態は、業務に対する集中力を欠いたことに起因するものであり、自らの怠慢と不注意を深く反省しております。

今後は二度とこのような不始末を起こさぬよう、細心の注意を払い、職務に取り組む所存でございます。

書き方のポイント

  • 削除したデータの種類を整理しておく
  • バックアップの有無や復旧対応は別途報告書やテンプレで管理
  • 今後の削除ルールなど運用上の対策も示す

請求書の計算ミスの始末書【例文】

取引先へ送付した請求書の金額・数量・税額などに誤りがあったケースの例文です。

私は、令和〇年〇月〇日、取引先である株式会社〇〇〇〇へ送付すべき請求書において、算定金額を誤記したまま提出してしまいました。

その結果、先方より取引の一時中断を示唆するご警告を受け、会社ならびに関係各位に多大なるご迷惑をおかけしたことを深くお詫び申し上げます。

今後は、このような不始末を二度と起こすことのないよう、細心の注意を払い、確認を徹底したうえで職務に取り組む所存でございます。

書き方のポイント

  • 「どの請求書」の「どの金額」を誤ったのかを別途整理しておく
  • 社内・先方への影響を把握したうえで謝罪する
  • 二重チェック・入力ルールなどの改善策を書き添える

納品数の誤りによる始末書【例文】

注文数量の誤確認や入力ミスによって、誤った数量を納品してしまった場合の例文です。

私は、令和〇年〇月〇日の納品作業において、注文数量を誤って確認したまま発送手続きを進め、結果として〇〇株式会社様へ不正確な数量の商品を納品してしまいました。

この不手際により、先方には再手配の負担ならびに業務の遅延を招くこととなり、深く反省しております。お客様および関係部署の皆様に多大なるご迷惑をおかけしましたこと、心よりお詫び申し上げます。

今後は、出荷前の数量確認を複数名で実施する運用に切り替え、手順や記録方法の見直しを行い、再発防止に努めてまいります。

書き方のポイント

  • 誤った数量・影響の範囲を明確に書く
  • 取引先への影響・再手配の必要など、発生した損害を書く
  • 「確認方法の改善」「ダブルチェック」など再発防止策を具体化

納期遅延による始末書【例文】

納期の管理不足や連絡遅れにより、納期を守れなかった場合の例文です。

私は、令和〇年〇月〇日に納期を迎える案件について、工程管理と顧客調整を適切に行えず、結果として納期を遵守できませんでした。

この遅延により、取引先の業務進行に支障をきたし、会社および関係部署にご迷惑をおかけしましたことを、深くお詫び申し上げます。

今後は、納期管理ツールの活用および事前共有の仕組みを強化し、トラブル発生時には速やかに上長や関係者に報告する体制を整え、再発防止に努めてまいります。

書き方のポイント

  • 遅延の理由・発生原因を具体的に示す
  • 顧客側へ生じた影響を丁寧に説明する
  • 運用ルールや進捗共有に触れると信頼性が増す

接客クレーム対応の始末書【例文】

店舗・窓口・コールセンターなどでの対応不備により、お客様からクレームを受けた場合の例文です。

私は、令和〇年〇月〇日〇時頃、接客の未熟さによりお客様に大変不愉快な思いをおかけしてしまいました。

当日は業務の多忙さを理由に、お客様からのお問い合わせに対して約十五分お待たせしたまま放置してしまい、その後応対しようとした際には、すでにお客様はお帰りになられておりました。結果としてお客様は大変お怒りとなり、当社のお客様センターへクレームのお電話をいただく事態に至りました。

本件は、私の判断の甘さと接客能力の不足が招いた不始末であり、深く反省しております。この度のことで大切なお客様の信頼を損ない、会社にも多大なご迷惑をおかけしましたことを心よりお詫び申し上げます。

書き方のポイント

  • 「対応が遅れた」「言葉遣いが不適切」など、問題のポイントを明確にする
  • お客様の感情(不快・不安・不信など)に触れた一文を入れると誠意が伝わりやすい
  • 今後の接客ルール・応対の見直しや研修参加等も書いておく

部下の不祥事に関する管理責任の始末書【例文】

部下のミスや不祥事が発生し、管理者としての指導・管理責任を問われるケースの例文です。

令和〇年〇月〇日、当営業部の鈴木次郎が、株式会社×××様からのご注文に対し誤った商品を納品してしまいました。その結果、株式会社×××様には多大なるご迷惑をおかけするとともに、自社への信頼を損ない、甚大な損害を招く事態となりました。

本件は鈴木本人の過失ではありますが、業務を管理・指導すべき立場にある私の責任もまた重大であると痛感し、深く反省しております。

今後は二度とこのような事態を繰り返さぬよう、管理体制の徹底および部下への指導強化を万全に行ってまいります。

書き方のポイント

  • 個人だけでなく、管理体制・教育体制にも問題がなかったかを振り返る
  • 「本人のミス」を強調しすぎず、管理者としての責任に触れる
  • 今後の指導方法・チェック体制を見直し、具体策を示す

営業目標未達の始末書【例文】

営業ノルマや売上目標を達成できなかった場合に使用できる、やや長めのフォーマルな例文です。

私はこの度、20XX年X月における営業目標を達成できなかったことについて、深く反省し、心よりお詫び申し上げます。

当月の営業目標としてX件の新規顧客獲得を掲げて活動いたしましたが、結果はX件にとどまり、目標達成には至りませんでした。この不達成は、私自身の努力不足および戦略見直しの甘さに起因するものであり、会社やチームへの影響を十分に考慮できなかったことを真摯に受け止めております。

自己分析の結果、以下の点が営業目標未達成の主な原因であると考えております。

【原因1.2.3】
今後の改善策として、以下を実行いたします。

【改善策1.2.3】
また、営業チームと積極的に連携し、お互いの知見や経験を共有することで、チーム全体での目標達成を目指してまいります。

書き方のポイント

  • 具体的な数値(目標・実績)は、社外閲覧の可能性があれば伏せる
  • 外部要因だけでなく、自身の行動・戦略面での反省点を必ず含める
  • 原因と改善策を「箇条書き」にすると読みやすさと説得力が増す

情報漏洩・コンプライアンス違反に関する始末書の例文

機密情報漏洩の始末書【例文】

社外持ち出し・誤送信・閲覧制限違反など、機密情報の取り扱いに関する重大なミスをした場合の例文です。

私は、20XX年X月X日、機密情報の漏洩に関し極めて重大な過失を犯しましたことを、ここに深く反省し、誠心誠意お詫び申し上げます。

私は業務を円滑に進める目的で自宅作業を選択いたしましたが、それは会社の機密情報管理規定を軽視した軽率な判断であり、結果として甚大な信頼失墜の危険を招きました。

このことを厳粛に受け止め、深く反省しております。

書き方のポイント

  • 「何を」「どこまで」漏洩させたのかは、別途報告書や社内調査で詳細整理する
  • 規定違反であることを明確に認め、軽率な判断を具体的に振り返る
  • 今後の情報管理方法(ルール・端末管理・クラウド利用など)を行動レベルで記載する

備品の私的利用の始末書【例文】

会社PC・コピー機・備品・通信回線などを、私的に利用してしまった場合の例文です。

私は、本日勤務時間中に会社のパソコンを私用目的で使用し、業務への集中力を欠くとともに、会社の規定に違反する行為を行いました。この場を借りて、深く反省し、心より謝罪申し上げます。

経緯を申し上げますと、20XX年X月X日、私は勤務時間中に会社のパソコンを用いて個人的なウェブサイトの閲覧やSNSの利用をいたしました。

一時的な気晴らしのつもりで軽率に行った行為ではございましたが、会社の規定を軽視し、職務専念の責任を怠ったものであり、結果として業務や同僚へ悪影響を及ぼす危険を招いたことを痛感しております。

私の不注意かつ軽率な行為により、職場の秩序や信頼関係を損なう恐れを生じさせてしまったことを、深く反省しております。

書き方のポイント

  • 「勤務中」か「休憩中」、「社外」か「社内」かなど状況を明確にする
  • 一時的であっても、規定違反をはっきり認める表現を入れる
  • 今後は私的利用を一切行わない、迷った場合は上長に相談することを明記

書き方のNG例と修正パターン

ここまで紹介した例文をベースにすれば、基本的な構成は大きく外れませんが、実務では次のような「よくあるNGパターン」で内容が伝わりにくくなっている始末書も多く見られます。

そのまま書き写すのではなく、自分のケースに当てはめる際に、以下のNG例に当てはまっていないかを確認してください。

NG1:あいまいで具体性のない表現になっている

「ご迷惑をおかけしました」「今後気をつけます」だけで終わっているケースです。読み手は「何が起きて、どこまで影響があったのか」が分からず、事実把握や再発防止策の検討ができません。

NG例
このたびはご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。今後はこのようなことがないように気をつけてまいります。
修正ポイント

  • 「いつ・どこで・何が起きたか」を1〜2文で具体的に書く
  • 影響範囲(社内/取引先/顧客など)を明示する
  • 再発防止策は「何をやめる/何を新たに行うか」まで具体化する

NG2:言い訳が多く、責任の所在があいまいになっている

「忙しかった」「周囲の協力が得られなかった」など環境要因ばかりを強調していると、読み手には「責任を引き受ける意思が弱い」と受け取られてしまいます。

NG例
当日は他の業務も立て込んでおり、人手不足の中で対応していたため、このような結果になってしまいました。
修正ポイント

  • 環境要因に触れる場合でも、「その中で自分がどう判断・行動したか」を中心に書く
  • 「〜のせいで」ではなく、「〜という状況の中で私が〜したことが原因」という表現に置き換える
  • 結果として生じた影響に対して、責任を負う姿勢をはっきり示す

NG3:他人やシステムのせいにしている

「後輩が」「システムの不具合で」など他者や仕組みに原因を押し付ける表現は避けるべきです。管理者や担当者としての責任が見えなくなります。

修正ポイント

  • 他者の行動に触れる場合も、「指導・確認しきれなかった自分の責任」をセットで書く
  • システム不具合等があっても、「事前テスト不足」「マニュアル確認不足」など、自分側の改善点を記載する

NG4:感情的・冗長で読みづらくなっている

反省の気持ちが強いあまり、同じ謝罪文を何度も繰り返す・感情表現ばかりが続くと、事実や原因が伝わりにくくなります。

修正ポイント

  • 「事実」「原因」「再発防止策」をそれぞれ1〜3段落程度に分けて整理する
  • 「大変申し訳なく」「心より深くお詫び申し上げます」などの表現は、文末に1〜2回程度に抑える
  • 長くなりすぎる場合は、一度声に出して読み、不要な重複を削る

始末書完成前のチェックリスト

例文を基に書き上げたら、提出前に最低限チェックしたいポイントを確認しておくと安心です。以下のチェックリストを使って、抜け漏れや誤記を防ぎましょう。

1. 構成と流れのチェック

  • 「事実 → 謝罪 → 原因 → 再発防止策」の順番になっているか
  • 同じ内容を繰り返していないか(特に謝罪表現)
  • 1文が長くなりすぎていないか(目安:60〜70字以内)

2. 事実・固有名詞・数字のチェック

  • 日付・時刻・場所・社名・氏名などに誤りがないか
  • 金額・数量・件数などの数字が、社内資料と整合しているか
  • 必要に応じて、関係部署・上司にも内容確認を依頼したか

3. 形式・社内ルールのチェック

  • 社内指定の様式(テンプレート・フォーマット)に沿っているか
  • 宛名・日付・所属・氏名・捺印欄など、必須項目が漏れていないか
  • 提出方法(紙・PDF・メール添付など)と提出先・期限を確認したか
【チェックのコツ】
自分だけで確認すると抜け漏れが起きやすいため、可能であれば信頼できる同僚や上司に一度目を通してもらうと安心です。

このページでは「文章そのもの(例文・書き方)」に焦点を当てて解説しました。実際に提出する際は、社内ルールに合ったレイアウト・様式を整えることも重要です。

このページの例文をベースにしつつ、レイアウトや項目構成を整えたい場合は、始末書テンプレート専用ページをご利用ください。

このページの基本構成と例文で文章を組み立て、仕上げの段階でテンプレートページのWordひな形(様式)に内容を反映させると、「内容」と「形式」をバランスよく整えた始末書が作成しやすくなります。