3C分析では、顧客、競合、自社といった要素を調査しビジネスを効果的に進めます。3つの要素を整理して分析できるので事業の特徴を明確にすることができます。
この記事では、マーケティングや新規事業の企画で定番の3C分析を、現場でそのまま使えるPowerPointテンプレートとともに解説します。
編集部は日々のサイト運営や施策検討の中で3Cを起点にSWOTやSTP、4P、KPI設計へと接続してきました。実務でつまずきやすいポイントやチェックリストも含め、初心者でも正しく進められる手順をまとめています。
3C分析テンプレート(PowerPoint・無料ダウンロード)
3C分析は「顧客(市場)」「競合」「自社」という3つのCの関係性を整理できればよいため書式は自由です。以下では4種類のレイアウトを用意しました。プレゼンや社内提案書にそのまま貼り付けてお使いください。
3C分析とは(基本と狙い)
3C分析は、Customer(顧客・市場)、Competitor(競合)、Company(自社)の3視点から環境を把握し、勝ち筋を見つけるためのフレームワークです。
市場規模や成長性、顧客ニーズ、競合優位、参入障壁、自社のケイパビリティなどを俯瞰し、次の施策につなげます。新規事業の仮説出しや既存事業の再点検、プロダクトのポジショニング検討に有効です。
3C分析を使う場面
- 新規事業・新製品の検討を始める前に前提をそろえたいとき
- 競合が増えシェア変動の要因を整理したいとき
- SNSや広告の戦略を見直し、ターゲットと訴求を再定義したいとき
- 意思決定会議で現状と課題を短時間で共有したいとき
3C分析のやり方(ステップとチェックリスト)
3C分析は「仮説を立てる → 情報を集める → 3つのCを突き合わせる → 施策に落とす」の順で進めます。各ステップで目的をはっきりさせ、下のチェックリストに沿って抜け漏れを防ぎます。
ステップ1:顧客(Customer)を定義します
まず、誰に価値を届けるのかを具体化します。市場の大きさと成長性、意思決定の流れ、購入前後の行動を言語化します。
- 市場規模・成長率・季節性(BtoB/BtoC、主要セグメント、地域)
- ペルソナ・ジョブ(課題・不満・購入動機・意思決定プロセス)
- 購買チャネル・情報接点(検索、SNS、展示会、紹介)
- 価格許容度・切替コスト・解約理由
ステップ2:競合(Competitor)を把握します
次に、顧客が比較する選択肢を洗い出します。価格や機能だけでなく、導入容易性や評判などの非価格要因も比較します。
- 直接競合・代替品・内製化の存在と構成比
- 価格帯・機能比較・ポジショニング(ベンチマーク表を作成)
- 参入障壁(規制、資本、ネットワーク効果、スイッチングコスト)
- 口コミ・評判・サポート品質・配送リードタイムなどの非価格要因
ステップ3:自社(Company)を棚卸しします
自社の強みと制約を同じ粒度で整理します。価値の源泉とボトルネックを数値と事実で確認します。
- ブランド資産・技術優位・販売網・オペレーション能力
- 原価構造・粗利・在庫回転・LTV/CAC・解約率
- リソース制約(人員・設備・資金・法務・品質体制)
- 他社が模倣しづらい唯一性(強みの源泉)
ステップ4:3つのCの関係を交差させます
顧客の痛み、競合の弱み、自社の強みが重なる部分を見つけて、勝ち筋の仮説を作ります。矛盾や未検証部分はメモして次の検証項目にします。
ステップ5:戦略へ接続します
見つけた仮説をターゲットと提供価値に落とし込み、打ち手とKPIに接続します。四半期ごとの実行計画まで決めて、定点で見直します。
- STP(セグメンテーション・ターゲティング・ポジショニング)
- 4P(製品・価格・流通・プロモーション)とKPI設計
- ロードマップ(四半期ごとの実行計画・リスクと代替案)
事例イメージ(簡易)
3Cの考え方を実務でイメージしやすいように、BtoBとBtoCの例を並べて整理します。いずれも「顧客 → 競合 → 自社 → 打ち手」の順で読み解くと全体像がつかみやすいです。
BtoB SaaSの例(中小製造業向け)
- 顧客:
中小製造業で間接業務を効率化したい層です。月額は1〜3万円程度まで許容します。 - 競合:
大手は高機能・高価格で導入に時間がかかります。乗り換えのハードルがやや高いです。 - 自社:
即日導入と電話サポートに強みがあり、既存テンプレートとの連携が豊富です。 - 打ち手:
小規模工場に向けて「即日稼働」「既存Excelとそのまま連携」を前面に訴求します。
飲食店(BtoC)の例
- 顧客:
駅近で手早く昼食を取りたい層です。価格は〜1,000円で、混雑回避を重視します。 - 競合:
全国チェーンが強い一方で画一的です。個店はSNS発信が弱く情報が届きにくいです。 - 自社:
提供が早く、野菜多めの健康メニューを開発できます。オペレーションの工夫が可能です。 - 打ち手:
13時以降の回転率向上を狙い、ヘルシー訴求とモバイルオーダー導入を組み合わせます。
よくある失敗と注意点
失敗の多くは「事実の抜け漏れ」と「戦略への未接続」に集約されます。下記を意識すると、3C分析の現状認識と戦略仮説(STP・4P・KPI)の精度を高められます。
- 顧客不在:
自社と競合の比較ばかりで顧客の仕事(ジョブ)を見ていないです。回避策:ペルソナの意思決定プロセスと失注理由を必ず書き出します。 - データ根拠不足:
市場規模や成長率を感覚で書いてしまいます。回避策:一次情報や公的統計、既存の販売データで数値を裏取りします。 - 粒度の不一致:
顧客は具体、競合は抽象など粒度がバラバラです。回避策:3つのCを同じ単位(期間・価格帯・セグメント)でそろえます。 - 戦略未接続:
3Cで終わり、STPや4P、KPIに落ちていないです。回避策:最後に「ターゲット・提供価値・主要KPI・次アクション」を1枚に要約します。
よくある質問(FAQ)
まとめ
3C分析は、「Company(自社)」「Customer(顧客・市場)」「Competitor(競合)」の3つの要素を分析して事業の全体像を把握し、ビジネスを効率的に進めるマーケティングフレームワークです。
3Cを明確にすることで、販売戦略や事業戦略でどのように進めるかの道筋が見えてきます。
今回は、3C分析の4種類のパワーポイントテンプレートを紹介したので、プレゼン作成の際の参考資料として活用してください。