この記事では、実務でのデータ分析・資料作成の現場で散布図を多用している編集部が、エクセルの散布図(分布図・相関グラフ)の作り方を初心者の方にも再現しやすい手順で解説します。

見栄えを整えるフォントや配色、回帰直線(近似曲線)・相関係数・R²の表示まで、プレゼンでそのまま使える完成形に仕上げます。


エクセル散布図を最終的に以下のように作成します。
散布図の修正図

散布図とは(分布図との違いも解説)

散布図は、2つの数値変数の関係性(相関)を点で可視化するグラフです。横軸(X)と縦軸(Y)に異なる変数を配置し、傾向・外れ値・クラスターを直感的に把握できます。

散布図の特徴

・相関関係の強さと方向(正・負・無相関)を一目で確認できます
・外れ値や群(クラスタ)の発見に役立ちます
・回帰分析・予測の前段での探索的データ分析に最適です

「分布図」「ヒストグラム」「バブルチャート」との違い

分布図(一般語):
分布の様子を示す図の総称として使われます。

ヒストグラム:
単一変数の度数分布を棒で表現します

バブルチャート:
散布図の各点の大きさに3つ目の数量を載せたグラフです

散布図サンプルデータ

下記は「価格(X)」と「売上数(Y)」の仮想データです。テンプレートにも同梱しています。

価格 売上数
800 95
900 88
1000 82
1100 70
1200 63
1300 54
1400 45
1500 40

 

エクセル散布図の作り方(Excel)

プレゼンに使えるエクセル 散布図 作り方を手順で解説します。

STEP1 データを用意します

X列(横軸)とY列(縦軸)を隣同士に配置します。見出し名も入れておくと後工程が楽になります。

エクセル 散布図 サンプルデータ(価格と売上数)

STEP2 標準の散布図を挿入します

範囲選択 → 挿入 → 散布図 → マーカーのみを選びます。

エクセル グラフ 散布図 の挿入手順
エクセル 散布 図 初期状態

STEP3 グラフタイトルを編集します

ダブルクリックで編集して目的が伝わる短い名詞句にします。不要な場合はDeleteで削除します。

散布図 タイトル 例:価格と売上数の相関

STEP4 軸ラベル(単位つき)を表示します

グラフ右の「+」→ 軸ラベルにチェック。単位や期間を必ず明記します(例:価格(円)、売上数(個/日))。

エクセル 散布図 軸ラベルの追加

STEP5 軸ラベルの体裁を整えます

フォントとサイズを調整し、縦軸ラベルは縦書きにします(読みやすさ向上)。

推奨:メイリオ 18pt(見出し), 11pt(目盛)

エクセル 散布図 縦軸ラベルを縦書きにする

STEP6 目盛線と目盛の方向を調整します

初期の主/補助目盛線は外して見通しを良くし、軸の目盛は外向きにして読みやすくします。

散布図 目盛線の非表示
エクセル 散布図 軸の書式設定(目盛 外向き)

STEP7 軸のフォント・数値形式を整えます

目盛のフォントを整え、必要に応じて桁区切り・小数桁数・表示単位(千・万)を設定します。

散布図 目盛フォントの整え方
エクセル フォント設定ダイアログ

STEP8 マーカー(点)の形・大きさ・色を変更します

見やすさが最優先です。形は丸、サイズは6〜8pt程度がおすすめです。色は1色に統一し、透明度を少し上げると重なりが分かりやすくなります。

エクセル 散布図 データ系列の書式設定(マーカー)
エクセル 散布図 マーカーの種類とサイズ変更
エクセル 散布図 作り方 完成例(近似線なし)

STEP9 凡例・グラフエリアの最終調整を行います

凡例は不要なら削除し、必要な場合はグラフ外側に配置します。背景の塗りは白、枠線は細めにすると資料になじみます。

STEP10 近似曲線(回帰直線)を追加します

グラフの「+」→ 近似曲線 → 線形を選びます。線色・線種はマーカー色とコントラストが出るように設定します。

エクセル 近似曲線(相関グラフ)を追加
エクセル グラフエリアの書式設定(線のスタイル)
エクセル 散布図 回帰直線 デザイン変更後

回帰直線・相関係数・R²の表示

近似曲線を選択 → 近似曲線の書式設定 → グラフに数式を表示グラフにR²値を表示 にチェックします。予測の前方/後方補外に数値を入れると線を原点付近まで延ばせます(データに応じて調整)。

近似曲線の書式設定:数式・R²・補外の設定
エクセル 散布図 近似曲線を伸ばして完成

散布図のタイトル例(相関グラフ向け)

散布図のタイトルは「何と何の関係か」を一目で伝えることが大切です。可能であれば単位や期間も入れると、読み手にとって分かりやすくなります。以下に相関グラフで使いやすいタイトル例を示します。

  • 価格(円)と売上数(個/日)の関係|相関分析
  • 広告費(万円)とCV数の相関|回帰直線・R²表示
  • 来店回数(月)と購入単価(円)の関係|外れ値ハイライト
  • 学習時間(h)とテスト得点(点)の散布図|サンプル
  • 温度(℃)と不良率(%)の相関|工程データ
使い回しできる型
[Xの指標(単位)]と[Yの指標(単位)]の関係|[対象・期間/注記]

PowerPointで散布図を作る方法(パワポ)

挿入 → グラフ → 散布 → 任意のスタイルを選択します。データシートが開くのでExcel同様にX・Y列へ数値を入力します。仕上げは線幅・フォント・余白を調整し、スライド全体のレイアウトと一貫性を持たせます。

よくあるつまずきと対処

点が一直線に並ぶ/片側に寄る
XとYが同じ列を参照していないか、桁や単位が混在していないかを確認します

軸が思うように伸びない
軸の最小値・最大値を固定し、主要目盛間隔を手動で指定します

外れ値でスケールが壊れる
外れ値の妥当性を検証し、説明目的に応じて別図に分けるか、対数目盛を検討します

凡例が邪魔
系列が1つなら凡例は削除して問題ありません

散布図テンプレート

プレゼンで使える体裁に整えたエクセル 散布図 テンプレートを無料配布します。xlsx形式(Excel 2013以降)で利用できます。

散布図 テンプレート プレビュー(Excel サンプル)

よくある質問(FAQ)

散布図とは何ですか?分布図との違いはありますか?
散布図は2変数の相関を点で示す図です。分布図は広く分布の様子を示す図の総称で、検索上は散布図を指している場合もあります。単一変数の分布を見るならヒストグラムが適切です。
エクセルで散布図を作る最短の手順は何ですか?
X列とY列を並べて選択し、挿入→散布図→マーカーのみを選ぶだけです。軸ラベルやフォントの調整は後から行います。
回帰直線とR²をグラフに表示できますか?
はい。近似曲線を追加し、「数式を表示」「R²値を表示」にチェックします。補外値で線の長さも調整できます。
散布図のタイトルはどう付ければよいですか?
目的と変数名が伝わる短い名詞句が適切です(例:価格と売上数の相関)。単位を軸ラベルに入れてタイトルは簡潔にします。
PowerPoint(パワポ)でも散布図は作れますか?
挿入→グラフ→散布から作成できます。データの編集はExcel同等のシートで行えます。
複数カテゴリを色分けできますか?
できます。カテゴリごとに系列を分け、各系列のマーカー色を変更します。凡例でカテゴリ名を表示すると分かりやすいです。

まとめ

・散布図は2変数の関係を直感的に把握でき、外れ値と傾向の発見に有効です
・エクセルでは挿入→散布図で作成し、軸ラベル・フォント・マーカーを整えるだけで資料品質に近づきます
・回帰直線とR²を表示すると、相関の強さを説明しやすくなります
・テンプレートを活用することで、毎回同じ体裁に整える手間を省くことができます