損益計算書(P/L:Profit and Loss statement)は、企業の経営状況を正しく把握するために欠かせない財務諸表です。一定期間における「収益」「費用」「利益」をまとめ、経営判断や融資の審査、投資家への説明資料としても活用されます。

損益計算書を正確に作成すると、会社の課題がはっきり見えてくるので、今後の事業計画を立てやすくなります。ここでは無料で使えるエクセル損益計算書テンプレートを紹介し、書き方や活用のポイント、よくある注意点まで解説します。

損益計算書とは?

損益計算書は、企業や個人事業主が「どれだけの利益を生み出したか」を明確にするための書類です。決算時の提出書類であると同時に、日常の経営管理や将来シミュレーションにも活用されます。

損益計算書の主な項目(基本構造)

  • 売上高
  • 売上原価
  • 売上総利益
  • 販売費および一般管理費
  • 営業利益
  • 経常利益
  • 税引前当期純利益
  • 当期純利益
実務経験コメント
中小企業の融資面談では営業利益経常利益、さらに前期比の推移を担当者に特にチェックされます。テンプレートに毎月のデータを記載し、四半期・年次での増減要因(原価・販管費・特別損益)を説明できるようにしておくと審査や、社内での説明がラクになります。

損益計算書テンプレート(エクセル無料DL)

用途別に選べる2形式
簡易版:小規模・初めての方向け。科目を最小限にして素早く作成。
年度比較版:複数年度を横並び比較。推移の可視化やコスト削減検討に。

簡易版テンプレート

基本的な項目のみを盛り込んだ損益計算書です。小規模事業やシンプルな決算用に最適で、必要に応じて行を追加して科目を増やせます。

損益計算書テンプレート 簡易版 A4縦 エクセル無料ダウンロード
損益計算書テンプレート01 A4縦版

年度別テンプレート

複数年度の収益・費用を比較できるフォーマットです。売上や経費の推移を可視化することで、中長期的な経営計画やコスト削減の検討に役立ちます。シミュレーションとしても活用可能です。

年度別損益計算書テンプレート A4横 エクセル比較用 無料ダウンロード
損益計算書テンプレート02 A4 横版

損益計算書テンプレートの記入例(サンプル付き)

入力の流れ(最小手順)

  1. 売上高・売上原価を入力
    売上総利益が算出
  2. 販管費
    (人件費・広告宣伝・通信・水道光熱 等)を入力
  3. 営業利益→経常利益→当期純利益の順に確認

※ 数字はダミー。自社の科目・勘定体系に合わせて行を増減してください。

Excel・Word・PDF・スプレッドシートの違いと使い分け

形式 特長 向いている用途
Excel 自動計算・行追加が容易。集計・比較がしやすい。 日常運用・年度比較・試算
Word レイアウト調整・配布用の整形が簡単。 社内配布・印刷提出
PDF 改ざん防止・閲覧専用に適する。 最終版の共有・外部提出
Googleスプレッドシート クラウドで共同編集・履歴が残る。 遠隔チーム運用・承認フロー
変換のヒント
Excel版をWordに貼り付け/リンクし版下を整える、またはPDFとして出力して提出用に固定するのが実務では一般的です。スプレッドシートで共同編集する場合は、権限設定と版管理のルールを決めておくと安全です。

損益計算書と他の財務諸表との関係(財務三表)

書類 見るポイント 主な活用
損益計算書(P/L) 期間損益(収益−費用=利益) 採算性・収益性評価、予実管理
貸借対照表(B/S) 決算日の資産・負債・純資産 安全性・資本構成・支払能力
キャッシュフロー計算書(C/F) 営業・投資・財務CFの現金増減 資金繰り・投融資余力の確認

実務での使いどころ(融資・税務・経営会議)

損益計算書は作成して終わりではありません。融資申請や税務申告、経営会議などの現場で活用されます。用途ごとの視点を知ることで、より効果的に運用可能です。

  • 融資審査
    営業利益・経常利益の安定性、販管費の増減理由を説明
  • 確定申告
    個人事業主の青色申告で収支の根拠書類に
  • 経営会議
    予算対比(予実)やKPIと接続し改善点を特定
  • 投資家・株主
    中長期の収益性や成長性を説明

損益計算書テンプレートの使い方(3ステップ)

テンプレートは初めてでも使いやすいようにシンプルに設計しました。基本的には流れに沿って入力すれば、短時間で損益を把握できるようになります。

  1. 売上・売上原価を最初に確定(在庫評価や仕入計上の基準を統一)
  2. 販管費の集計ルールを明確化(人件費・広告費・サブスク等を整理)
  3. 利益の推移を確認し、来期の予算/コスト削減に反映

よくある失敗と注意点

テンプレートは、設定や入力方法を誤ると正確な経営判断ができません。ありがちなミスを事前に知っておき、精度の高い損益計算書を作成してください。

- 科目の内容を会社独自のものに合わせず、そのまま利用する
- 数字の入力ミスにより利益計算が不正確になる
- キャッシュフロー(資金繰り表)と連動させず単体で利用する

※ 損益計算書だけでは、会社の現金の動きはわかりません。現金の流れを正確に把握するには、現金出納帳やキャッシュフロー計算書と合わせて確認することをおすすめします。

よくある質問(FAQ)

損益計算書テンプレートはExcelだけですか?
当サイトの損益計算書テンプレートはExcel形式で提供しています。WordやPDF形式をご希望の場合は、Excel版を編集した後にPDF形式で保存することが可能です。
損益計算書テンプレートは無料で利用できますか?
ユーザー登録不要で無料ダウンロード可能です。個人事業主から法人まで幅広くご利用いただけます。
年度別損益計算書テンプレートの使い方は?
年度ごとに売上や経費を入力することで、複数年の比較ができます。中長期的な経営計画の検討やコスト削減の分析に便利です。
損益計算書と貸借対照表の違いは何ですか?
損益計算書は一定期間の収益・費用・利益を示す書類で、貸借対照表は決算日時点の資産・負債・純資産を示す書類です。経営分析では両方をあわせて確認することが重要です。
自社の科目がテンプレートと合わない場合はどうすればいいですか?
Excelの行を追加・編集して自社の科目に合わせてカスタマイズしてください。業種によって必要な経費や収

まとめ

損益計算書は、企業や個人が一定期間事業を行った際に「収益」「費用」「利益」の3つの要素から損益を計算します。

計算された損益は、売上から売上原価を差し引いた「売上総利益」を筆頭に「営業利益」「経常利益」「税引前当期純利益」「当期純利益」を計算することができます。

今回は、2種類の損益計算書のエクセルテンプレートを紹介しました。費用の項目については、会社によって科目の内容が異なる場合があるので、自社の科目に合わせて使用するといいでしょう。