これまで中小企業の給与管理や帳票設計を手がけてきたビジネス文書専門チームが、法令に準拠した賃金台帳テンプレートを無料公開します。
労働基準法で作成が義務付けられている賃金台帳は、社会保険・雇用保険の手続きや労働基準監督署の確認時に必要不可欠な書類です。
この記事では、日給・時間給・パート用まで対応したExcelテンプレートと、作成・管理のポイントをわかりやすく解説します。
賃金台帳テンプレート(Excel形式)
1か月単位で入力し、1年分を管理できるエクセル賃金台帳テンプレートを無料ダウンロードできます。
一般的な賃金台帳
小計欄と合計欄、控除や支給額を自動計算する賃金台帳テンプレートです。年度が変わった場合、ファイルをコピーして違う年度にすることで毎年に賃金台帳を作成することができます。

日給・時間給用
日給や時間給の契約になっている社員向けの賃金台帳テンプレートです。毎月の労働日数や時間を集計し、控除を計算することができます。

パート・アルバイト用
パートやアルバイト向けの賃金台帳テンプレートです。労働日数や時間を記録できるほか、残業代や手当なども計算することができます。控除は労働者によってことなるので、項目を自分で設定することができます。

賃金台帳とは
賃金台帳は、社員・役員・アルバイトなど全従業員の給与支払い状況を記録する書類で、労働基準法(第108条)で作成義務が定められています。様式第20号を参考に必要項目を満たせば、縦・横どちらの形式でも作成可能です。
賃金台帳の作成は義務であり、労働基準法によって定められています。
賃金台帳の書き方と必須項目
賃金台帳には、法律で定められた以下の項目を必ず記載します。これらは労働基準法の遵守だけでなく、給与計算や社会保険手続きの正確性を保つためにも重要です。
- 氏名
従業員のフルネーム - 性別
男女別の記載 - 賃金計算期間
集計対象となる期間(例:4月1日〜4月30日) - 労働日数
その期間に働いた日数 - 労働時間数
総勤務時間 - 時間外労働時間数
残業時間 - 休日労働時間数
休日に勤務した時間 - 深夜労働時間数
22時〜翌5時の勤務時間 - 基本給
契約に基づく基本給与 - 各種手当
役職手当・通勤手当など - その他賃金
臨時ボーナスや特別支給分 - 控除額
社会保険料や税金などの差引額
任意で所属部署・職名・社員コード・標準月額報酬などを加えると、社内での賃金管理や照会がスムーズになります。
賃金台帳の主な活用シーンと運用のコツ
社会保険・雇用保険の加入手続きに活用
正確な労働日数や報酬額が記録されていれば、加入申請や更新時の書類作成がスムーズになります。
労働基準監督署の調査対応
調査時には過去の賃金台帳の提示を求められることがあります。日頃から正確に記録し、年度ごとに整理して保管しましょう。
労務トラブル防止・証拠保全
未払い残業や労働時間に関するトラブルが発生した場合、賃金台帳が重要な証拠となります。記載漏れや誤記はリスクとなるため、定期的なチェックが必要です。
作成時の注意点とよくある失敗
- 必須項目の記載漏れ
労働基準法で定められた項目(氏名・性別・労働日数・労働時間・賃金計算期間など)が欠けていると、法令違反となる可能性があります。特に残業時間や休日労働時間は漏れやすいので注意が必要です。 - 控除計算の誤り
社会保険料・所得税・住民税などの控除額を誤って入力すると、給与額が不正確になり、後日修正や差額支給が発生します。エクセルの自動計算式を活用する場合も、控除率や計算式の設定ミスに気を付けましょう。 - 年度切替の管理ミス
新しい年度になっても前年のファイルを上書きしてしまうケースがあります。過去の賃金台帳は労働基準法で3年間の保存義務があるため、必ず年度ごとにファイルを分け、フォルダやファイル名に年度を明記して管理してください。
よくある質問(FAQ)
まとめ
今回はエクセル版の賃金台帳テンプレートの書き方とフォーマットなど紹介しました。
賃金台帳は法的に作成が義務付けられていますが、社会保険の加入時や労働基準監督署でもチェックされるため、かなり重要な書類といえます。
社会保険への加入は、今後も一層厳しくなってきたので、1人社長や小規模な会社であっても賃金台帳を作成して管理しておかなければなりません。