雇用契約書(通常勤務版はこちら)

このページの対象
フレックスタイム制の導入・運用に特化した雇用契約書の雛形(清算期間・総労働時間・コアタイム/フレキシブルタイム・時間外労働の算定など)に焦点を当てて解説します。
フレックスタイム制に対応した雇用契約書のWord雛形(コアタイム・フレキシブルタイム欄つき)

フレックスタイム制の基礎(契約で押さえる要点)

  • 清算期間
    清算期間内の総労働時間を定め、期間末に超過分を時間外として精算します。
  • 総労働時間
    清算期間全体での所定労働時間の総枠を明示します。
  • 1日の標準労働時間
    有給・欠勤控除等の基準となるため明記します。
  • コアタイム/フレキシブルタイム
    出勤必須時間帯と、始業・終業を自由に選べる時間帯を設定します。
  • 時間外労働の扱い
    清算期間の総枠超過分を時間外とし、割増計算の基準を示します。

テンプレート概要(フレックスタイム制専用)

Wordで編集しやすいフレックスタイム制専用の雇用契約書です。清算期間と総労働時間、1日の標準労働時間、コアタイム/フレキシブルタイム、みなし労働時間、時間外・深夜・休日労働の取扱い、勤怠報告方法などを明確にできます。

ファイル名 koyou_flex.docx
ファイルタイプ ワード
対応バージョン word2013以降
想定用途 フレックスタイム制を適用する正社員・契約社員の雇用契約
主な特徴 清算期間・総労働時間・コアタイム/フレキシブルタイム・勤怠報告・時間外計算の明記
データ利用規約
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・テンプレートのご利用によるトラブルの対応やサポートはしておりません。

雛形の主な記載項目と書き方

1. 適用範囲と雇用区分

フレックスタイム制の対象者と雇用区分を明確にします。部署や職種で対象を限定する場合は具体化します。

2. 清算期間と総労働時間

清算期間(例:1か月)と、その期間の総労働時間(例:160時間)の算定根拠を記載します。

3. 1日の標準労働時間

欠勤控除や年休換算に使う基準(例:1日8時間)を設定します。

4. コアタイム/フレキシブルタイム

コアタイムの有無、時間帯(例:10:00〜15:00)と、フレキシブルタイムの範囲(例:6:00〜22:00)を明示します。

5. 勤怠報告・承認フロー

勤怠システム、打刻方法、遅刻・早退・私用外出の申請ルール、月次承認の締切を定めます。

6. 時間外・深夜・休日労働の取扱い

清算期間末での超過判定、深夜(22:00〜5:00)割増、休日出勤の承認要件を明記します。

7. 年次有給休暇の付与・取得

時間単位年休の運用可否、付与日や取得方法、承認期限を定めます。

8. 中途入社・休職復帰時の按分

清算期間途中の入退社・休復職時の総労働時間の按分ルールを記載します。

9. 規程との関係

就業規則・給与規程・人事評価規程との関係、解釈の優先順位を示します。

記載例(抜粋)

清算期間・総労働時間の定め(例)
本契約における清算期間は各月の1日から末日までとし、当該清算期間の総労働時間は160時間とします。清算期間末に総労働時間を超過した時間は時間外労働として取り扱います。
コアタイム・フレキシブルタイムの定め(例)
コアタイムを10時から15時まで、フレキシブルタイムを6時から22時までとします。始業・終業時刻は従業員の裁量により上記範囲内で選択するものとします。
勤怠報告(例)
従業員は所定の勤怠システムにより毎日打刻し、月末締切までに上長の承認を受けるものとします。

運用上の注意点とよくある失敗

  • 清算期間末の超過精算漏れ
    月末締めでの総枠超過の判定と割増計算を固定化します。
  • 基準日・標準時間の未定義
    有休・欠勤の基準(1日の標準労働時間)を契約で明示します。
  • コアタイムの実態不一致
    会議常態化で実質固定化しないよう、会議運用も見直します。
  • 深夜・休日の無承認運用
    事前承認フローと36協定の範囲管理を徹底します。
  • 勤怠システム設定の不整合
    清算期間単位の超過判定ができる設定を確認します。

関連リンク

よくある質問(FAQ)

清算期間はどのくらいに設定すればよいですか?
月次締めで勤怠や給与と合わせる運用が多いです。まず1か月で始め、運用が安定してから見直す方法をおすすめします。
コアタイムなし(フルフレックス)でも使えますか?
はい。コアタイム欄を「なし」とし、フレキシブルタイムの範囲のみを設定すれば対応できます。
時間外労働はどのように計算しますか?
清算期間の総労働時間が所定の総枠を超えた分を時間外とし、割増賃金を計算します。深夜・休日の割増も別途適用します。
年次有給休暇はどのように扱いますか?
1日の標準労働時間を基準に控除・付与を行います。時間単位年休の運用可否は就業規則と併せて明記します。
中途入社や休職復帰時の総労働時間はどうなりますか?
在籍日数に応じて清算期間の総労働時間を按分する方法を契約に記載しておくと実務がスムーズです。

編集・運用のヒント(実務担当者向け)

フレックスタイム制を導入しても、実際の運用が適切でなければ制度の効果が発揮されません。以下では、契約書を活用した後に実務担当者が気を付けるべき運用上の工夫や注意点をまとめました。

  • 勤怠システム設定
    清算期間単位の超過判定、フレックス専用のコア/フレキ設定、深夜自動判定の有無を確認します。
  • 会議設計
    コアタイム内に主要会議を集約し、柔軟性を損なわない運用にします。
  • 評価指標
    労働時間より成果物やKPIに紐づく評価軸を明文化します。