この記事では、業務中の労働災害(転倒・切創・挟まれ)や交通事故(社用車・通勤中・物損)、社内設備に関する物損など、実務で発生する事故に対する事故報告書テンプレート(Word)正しい書き方を解説します。

編集部は中小企業の総務・現場管理・CS対応の現場で初動対応・再発防止の落とし込みまで運用してきた経験をもとに、5W1H・客観性・一次情報の裏どりを重視したフォーマットを提供します。

事故報告書とは|顛末書・始末書・一般的な報告書との違い

  • 事故報告書
    発生した事実(5W1H)と初動対応客観的に伝達する社内文書です。原因仮説や再発防止策は簡潔に添えます。
  • 顛末書
    事故や不祥事の経緯・原因の詳細・再発防止の確約を本人がまとめる反省文書です。
  • 始末書
    規程違反等に対する謝罪・反省・再発防止の誓約を示す懲戒関連文書です。
  • 一般的な報告書
    業務結果や進捗をまとめる汎用報告です。

混同を避けるため、本ページでは「事故発生の事実と初動対応の共有」に特化します。謝罪や反省は顛末書・始末書で扱います。

事故報告書テンプレート(Word)

社内規程に合わせて編集して適時ご利用ください(ファイルはWord形式)

基本フォーマット(共通)

事故報告書の基本フォーマットです。必要最低限の項目だけを設定しています。

 

交通事故の例文(社用車・通勤・物損)

  • 記載例の主な項目:発生日時/発生場所/届出警察・受理番号/当事者・相手方/事故状況(見取り図)/負傷・損害/初動対応
  • 社有車・レンタカー・私有車によって報告先や賠償フローが異なるため区別して記載します。
 

業務中の事故(労災)の例文

  • 記載例の主な項目:発生日時/発生場所・工程/被災者情報/負傷部位・程度/災害発生状況/想定原因/応急処置・医療機関/再発防止策
  • 写真・見取り図・安全衛生上の是正内容(指差呼称・KYT・作業標準の改訂)を別紙で添付します。
 

事故報告書の書き方|チェックリスト

事故報告書は、必ずしも一定の書式があるわけではありません。しかし、以下のように書くことで一定の書式で提出することができます。

1. 事実を簡潔に(5W1H)

  • いつ・どこで・だれが・何を・なぜ(仮説)・どのようにを短文で整理します。
  • 主観や評価語を避け、第三者が同じ理解に至る表現を選びます。

2. 客観性の担保

  • 固有名詞・型式・図番・速度・距離・角度など定量情報を可能な範囲で記入します。
  • 受理番号、連絡先、担当者名、現場写真、見取り図を添付資料として紐づけます。

3. 迅速な提出と初動対応の明記

  • 発生直後の安全確保・救急要請・二次被害防止を先に記録します。
  • 上司・総務・安全衛生・保険会社・警察への通報フローを時系列で書きます。

4. 禁則・表現ガイド

  • 謝罪・反省・処分の所感は顛末書・始末書へ分離します。
  • 推測は「仮説」と明示し、裏づけがある情報と区別します。

事故報告書のフォーマットと必須項目

共通項目

  • 作成日/提出先/作成者(所属・氏名)
  • 文書タイトル(例:事故報告書:第〇工場 プレス機挟まれ)
  • 発生日時(〇年〇月〇日 〇時〇分頃)
  • 発生場所(住所・工程・設備・交差点名)
  • 当事者・関係者(所属・氏名・連絡先)
  • 事故の状況(時系列・見取り図)
  • 被害・負傷・損害(人的・物的)
  • 初動対応(救護・通報・隔離・停止)
  • 原因仮説・再発防止(暫定是正・恒久対策)
  • 添付資料(写真・図面・受理番号・見積・診断書)
  • 備考(特記事項)

交通事故で追記する事項

  • 届出警察署・事故受理番号・保険会社・担当者
  • 相手方情報(氏名・連絡先・車両・保険)
  • 信号・一時停止・優先関係・速度・車線

労災・社内事故で追記する事項

  • 設備名・機械番号・工具・作業手順書ID
  • 保護具の使用状況・作業前点検・教育履歴
  • 安全衛生委員会への報告・是正計画

よくある失敗と改善例

報告書では曖昧な表現を避け、客観的かつ具体的に記載することが大切です。

NG例
とても急いでいて気づかずにぶつかってしまいました。相手もたぶん見ていませんでした。

改善例
〇時〇分、制限速度40km/hの道路を法定速度内で直進中、交差点手前20m地点で右方から進入した普通車と接触。自車は第1車線、相手車は支線から進入。現場写真1〜3、見取り図Aを添付。信号は無灯(点検中)で一時停止標識あり(支線側)。

提出・保管・個人情報の取り扱い

提出先や保管方法を誤ると二次トラブルにつながるため、ルールを守ることが重要です。

  • 社内規程の提出期限・承認フローに従って提出します。
  • 個人情報・医療情報・車両番号等はアクセス権限を限定して保管します。
  • 再発防止は是正処置の責任者・期限・評価まで管理します。

事故後の再発防止フロー

事故を繰り返さないためには、原因の分析から恒久対策まで一連の流れを徹底します。

  1. 一次是正(応急)と安全確保
  2. 原因分析(4M・なぜなぜ分析・KY活動)
  3. 恒久対策(設備対策・手順改訂・教育)
  4. 効果確認(監査・ヒヤリハット共有)

関連テンプレート(目的別)

よくある質問(FAQ)

事故報告書のテンプレートはWordだけですか?
はい、基本はWord形式を提供しています。必要に応じてPDFに変換して利用することも可能です。
事故報告書と顛末書・始末書はどう違いますか?
事故報告書は事故の事実を簡潔に報告する文書です。顛末書は経緯や原因、再発防止策を詳しく説明し、始末書は謝罪や反省を示す文書です。
交通事故以外の事故にも使えますか?
はい。労災事故や物損事故など、事故の種類に合わせて項目を調整すれば利用できます。
事故報告書はいつまでに提出すべきですか?
原則として事故発生当日、または翌営業日までに提出するのが望ましいです。社内規程で期限が決まっている場合は必ず従ってください。
事故報告書に謝罪文も書いた方がいいですか?
いいえ。事故報告書はあくまで事実を報告する文書です。謝罪や反省は必要に応じて顛末書や始末書に記載します。

まとめ

事故報告書は、事故があったことを速やかに報告するためのビジネス文書です。

そのため、事故を隠したりごまかしたりすることなく5W1Hを意識して簡潔に記述することが大切です。冗長になるので、謝罪や反省の弁などは必要ありません。謝罪などが必要な場合は、始末書や顛末書などの別の文書を作成します。

事故報告書の例文とテンプレートも掲載しましたので、まったく同じケースはありませんが参考にして事故報告書を作成してください。