手書きの請求書でも、請求書として必要な項目がそろっていれば、そのまま使うことができます。書式を決めた法律はありません。100円ショップや文具店で売っている請求書用紙も同じく通用します。
このページでは、最初に記入見本をお見せします。
そのあとで100均の用紙に書く順番、金額の書き方、書き間違えたときの直し方と進みます。インボイス登録をしている方は、用紙に欄がない項目を自分で書き足すことになるので、後半の「インボイス登録をしている場合に書き足す項目」まで目を通してください。
手書き請求書の記入見本

見本の欄ごとに、何をどう書くかを表にしました。
| 欄 | 書く内容 | 書き方のコツ |
|---|---|---|
| 宛名 | 相手の会社名または氏名 | 会社は「株式会社」を略さず正式名で。会社宛てなら「御中」、個人名なら「様」 |
| 発行日 | 請求書を書いた日 | 取引先から締め日の日付を指定されたら、それに合わせる |
| 請求番号 | 自分で決める通し番号 | 手書きでも振っておくと、問い合わせのときに話が早い |
| 件名・品目 | 何の代金か | 「10月分 チラシデザイン」のように、月と中身を入れる |
| 数量・単価・金額 | 品目ごとの計算 | 1行書くたびに電卓で確かめる |
| 小計・消費税・合計 | 税抜きの合計、消費税、税込みの合計 | 合計は「¥」で書き始めて「-」で閉じる |
| 振込先 | 銀行名・支店名・口座の種類・口座番号・名義 | 名義はカタカナで。通帳やキャッシュカードを見ながら写す |
| 支払期限 | いつまでに払ってほしいか | 「11月30日」のように日付まで書く |
| 発行者 | 自分の氏名・住所・電話番号 | 印鑑は、相手から求められたときに押せば足ります |
手書きの請求書でも問題なく使える
請求書の形を決めた法律はないので、手書きかパソコンで作ったかで扱いが変わることはありません。相手に伝わってほしいのは、誰が・誰に・何の代金を・いくら・いつまでに、の5つです。これが読み取れれば請求書として成り立ちます。
気をつけたいのは相手側の事情です。
会社によっては、経理の流れに合わせて請求書の書式を指定してくることがあります。毎月やり取りする相手なら、最初の請求の前に「手書きの請求書でも大丈夫ですか」と聞いておくと、あとで出し直しになりません。
インボイス登録をしている人は、もう少し決まりがあります。登録番号や税率ごとの消費税額が抜けていると、受け取った会社が消費税の控除を受けられなくなるからです。手書きでも項目を書き足せば対応できます。
100均の請求書用紙で書く手順
100円ショップや文具店の請求書用紙は、宛名・日付・品目・金額の枠が最初から印刷されています。空いたところを埋めていけば、それらしい請求書になります。複写式の用紙なら、1枚書くだけで控えも手元に残ります。
ただ、請求書だけの用紙がいつも置いてあるとは限りません。
以前、編集部でダイソーの請求書用紙を探したことがあります。そのとき売り場にあったのは、納品書を書くと下の請求書にも写る、納品書と請求書が一体になった複写式のものだけでした。登録番号を書く欄もなかったので、結局買わずに帰っています。
品ぞろえは店や時期によって変わるはずです。買う前に「請求書だけの用紙か、納品書とセットか」「登録番号の欄があるか」の2点を見ておくと、買ってから困ることは減ります。
書く順番は次のとおりです。
- 宛名と発行日を書く
- 品目・数量・単価を書き、1行ずつ金額を出す
- 小計・消費税・合計を書く
- 振込先と支払期限を書く
- 自分の氏名・住所・電話番号を書く(押印は必要なときだけ)
- 控えに写っているか確かめてから、1枚目を切り取る
用紙によっては振込先の欄がありません。そのときは備考欄か、品目欄の下の空いた行に書いておけば大丈夫です。個人的には、合計を書く前に一度検算する習慣をつけておくと楽だと思います。合計を書いてから間違いに気づくと、その1枚はまるごと書き直しです。
金額の書き方と値引きの入れ方
数字は算用数字で書き、3桁ごとにカンマを入れます。合計金額は「¥」から書き始め、最後に「-」を付けておきます。前後に数字を書き足される余地をなくすためで、「¥33,000-」のような形です。
値引きがあるときは、品目の下に「値引き」の行を1つ足します。金額の前に「△」を付けると、マイナスの意味になります。
| 品目 | 数量 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|
| チラシデザイン | 1 | 30,000 | 30,000 |
| 値引き | △1,000 | ||
| 小計 | 29,000 | ||
| 消費税(10%) | 2,900 | ||
| 合計 | ¥31,900- |
消費税は、値引きを引いたあとの金額にかけます。値引き前の30,000円で計算してしまうミスは、手書きだとけっこう起こりがちです。
インボイス登録をしている場合に書き足す項目
編集部が見たダイソーの用紙もそうでしたが、市販の請求書用紙には登録番号の欄がないものがあります。税率ごとに金額を分ける欄も、付いていないことがあります。こうした用紙を適格請求書として渡すなら、次の項目を余白に書き足してください。
| 書き足す項目 | 書く場所の例 |
|---|---|
| 登録番号(Tと13桁の数字) | 自分の氏名の横か下 |
| 税率ごとの合計金額と税率 | 合計欄の下に「10%対象 ¥○○」「8%対象 ¥○○」 |
| 税率ごとの消費税額 | 上の行の横に並べる |
| 軽減税率の対象品目 | 品目の横に「※」を付け、欄外に「※は軽減税率対象」と書く |
消費税の1円未満の端数は、1枚の請求書につき税率ごとに1回だけ処理します。品目ごとに切り捨ててから合計する書き方は認められていません。電卓で計算していると、ついやってしまうところです。
登録をしていない個人や免税事業者は、そもそも登録番号がないので書く必要はありません。
記載する項目の詳細は、国税庁のタックスアンサー(No.6625)で確認できます。
書き間違えたときの直し方
金額を間違えた場合は、新しい用紙に書き直すほうが無難です。訂正印で直した金額を受け付けない会社もあり、差し戻されると支払いが翌月の締めまでずれることがあります。
住所の番地や品目名の誤字など、金額以外の間違いなら、二重線で消して近くに正しい内容を書き、訂正印を押す方法で直せます。修正液や修正テープは使わないでください。元に何が書いてあったか分からなくなり、かえって疑われます。
書き損じた用紙は捨てずに、「書き損じ」と書いて控えと一緒に取っておきましょう。請求番号が1つ飛んでいても、あとで説明がつきます。
使うペンと控えの残し方
鉛筆や、こすると消えるタイプのボールペンは向きません。あとから消えたり、書き換えられたりするおそれがあるからです。黒の油性ボールペンを選んでおけば、まず問題は起きません。複写式の用紙なら、筆圧を少し強めにすると控えまでくっきり写ります。
複写式でない用紙は、渡す前にコピーを取るか、スマホで撮っておきます。インボイス登録をしている事業者は、渡した請求書の写しを7年間保存することになっているので、控えはまとめてファイルしておくと安心です。
手書きよりExcelやツールのほうが楽な場合
毎月同じ相手に請求している。品目が10行を超える。税率が2つ混ざる。このあたりに当てはまるなら、手書きよりExcelのテンプレートのほうが早く終わります。計算式が入っているので、検算の手間もいりません。
よくある質問
手書きの請求書は相手に失礼になりませんか?
失礼にはあたりません。きちんと読める字で書いてあれば、受け取る側が困ることはほとんどありません。
気になる場合は、最初の取引のときに一言確認しておけば十分です。
印鑑は押さないといけませんか?
法律上の決まりはありません。適格請求書の記載事項にも、印鑑は入っていません。
ただ、押印を求める会社もまだあります。相手の指定に合わせるのがいちばん手間がかかりません。
宛名は「御中」と「様」のどちらですか?
会社名や部署名だけなら「御中」、個人名を書くなら「様」です。
「株式会社○○ 経理部 山田様」のように担当者名まで書くときは「様」だけにして、「御中」は付けません。
個人から個人への請求書も手書きでいいですか?
問題ありません。家族や知人に立て替えた分を請求するくらいなら、何の代金か、合計、払ってもらう方法が分かれば足ります。
決まった形がほしい場合は、個人から個人への請求書テンプレートを印刷して手書きで埋める使い方もできます。