この記事では、個人事業主や小規模事業の経理担当者の方向けに、銀行口座の入出金を正確に管理するための預金出納帳テンプレートをご提供します。

長年、中小事業の支援で行ってきた記帳指導・通帳突合の運用ノウハウに基づき、Excel・スプレッドシートでそのまま使える4種類のフォーマットと、毎月の締め処理・残高一致の確認手順、仕訳の考え方まで解説します。

預金出納帳とは|現金出納帳との違い

  • 対象資金
    預金出納帳は銀行口座(普通・当座など)の入出金を記録します。現金出納帳は手元の現金(レジ・小口)を対象にします。
  • 記録の根拠
    預金出納帳は通帳(明細)を根拠に、振込・引落・振替を中心に管理します。現金出納帳は領収書・レシート・仮払清算書を根拠に管理します。
  • 運用単位
    預金出納帳は口座ごとに1冊作成します。現金出納帳は現金箱ごと・小口ごとに作成します。
  • 締め処理
    預金は月次で通帳残高と突合(照合)し一致させます。現金は実地有高と現金実査で一致させます。

預金出納帳テンプレート(Excel・スプレッドシート対応)

全テンプレートで入金・出金・残高は自動計算です。銀行口座名・期間・開始残高を設定するだけで使い始められます。
預金出納帳テンプレート A4縦|シンプル形式・残高自動計算・通帳突合向け
預金出納帳テンプレート01 A4縦 シンプル

預金出納帳テンプレート A4縦|科目欄あり・仕訳補助に便利・銀行口座管理
預金出納帳テンプレート02 A4縦 科目欄あり

預金出納帳テンプレート A4縦|摘要欄広め・明細が多い方向け・入出金管理
預金出納帳テンプレート04 A4縦 科目欄あり

預金出納帳テンプレート A4縦|上部合計欄付き・月次集計が速い・残高確認
預金出納帳テンプレート05 A4縦 上部合計欄

預金出納帳の基本|書き方と記入ルール

1. 日付と順序

  • 入出金があった実際の日付を記載します。
  • 同日でも取引ごとに1行で記録します(通帳明細に合わせると突合が容易です)。

2. 必要項目と意味

  • 日付
    通帳記帳日ではなく処理日基準で統一します(ズレがある場合は摘要に備考を残します)。
  • 科目
    売上・仕入・外注費・水道光熱費・通信費・支払手数料・租税公課・雑費など、会計ルールに合わせます。
  • 摘要(内容)
    振込元・振込先、請求番号、カード引落名など、のちの照合に必要なキーワードを入れます。
  • 入金/出金
    通帳の増減に合わせて金額を記入します。
  • 残高
    前行残高+入金−出金で自動計算します。
  • 繰越
    期首や月初は前期末(前月末)残高を繰り越します。

3. 記入例

預金出納帳の記入例|通帳明細に合わせた日付順・取引単位の記録

毎月の運用手順|通帳突合・締め・残高一致

  1. 月初に繰越設定
    前月末残高をテンプレートの開始残高に設定します。
  2. 日次の記帳
    振込・引落・振替を取引単位で登録します。インターネットバンキングのCSVがあれば取り込みます。
  3. 通帳突合
    月末に通帳の最終残高と預金出納帳の残高を照合し、一致を確認します。
  4. 差異の洗い出し
    未記帳・二重計上・日付ズレ・手数料計上漏れをチェックします。
  5. 月次締め
    一致後にファイル名へ年月を付与して保存し、翌月へ繰越します。

仕訳の考え方(代表例)

取引 借方 貸方 摘要の書き方
売上入金(振込) 普通預金 売上高 ○月分請求No.123 〇〇株式会社より入金
仕入代金の振込 仕入高 普通預金 仕入代金 〇〇商事 請求No.456
口座振替(クレカ引落) 通信費 等 普通預金 カード会社名 ○月利用分
他口座へ資金移動 普通預金(受入側) 普通預金(支払側) 自社間振替 〇〇銀行→△△銀行
振込手数料 支払手数料 普通預金 振込手数料 ○○銀行

よくあるミスと回避ポイント

  • 二重計上
    通帳CSV取り込み後に手入力を重ねないよう重複チェックを行います。
  • 日付ズレ
    売上計上日と入金処理日を混同しないよう、摘要に請求月や伝票番号を残します。
  • 手数料漏れ
    振込・入金手数料は都度「支払手数料」で記録します。
  • 他口座振替の片側漏れ
    出金側と入金側を両方記録し、摘要に「自社間振替」と明記します。

よくある質問(FAQ)

預金出納帳は口座ごとに作成する必要がありますか?
口座ごとに1冊作成します。複数口座を1冊で管理すると通帳突合が困難になり、差異の原因が特定しづらくなります。
通帳残高と預金出納帳の残高が合いません。どこから確認すべきですか?
まずは当月の入出金を上から順に突合し、未記帳・二重計上・手数料計上漏れ・日付ズレを点検します。差額が手数料相当であることも多いです。
個人のクレジットカード引落を事業口座から支払った場合はどう処理しますか?
事業関連分のみを経費計上し、個人的利用分は「事業主貸」等で分離します。カード明細を根拠に摘要へ利用内容を残します。
保管期間は何年ですか?
一般に7年間の保管が求められます。紙の通帳と合わせて、CSVデータやエビデンス(請求書・領収書)も保管しておくと安心です。
現金出納帳との違いが検索上で混在しないようにするにはどうすればよいですか?
本ページでは銀行口座の入出金・通帳突合・振替を中心に扱い、現金の管理は別ページに分けます。内部リンクのアンカーテキストも「銀行口座の記録」「通帳突合」など預金固有の語を使います。

まとめ

  • 預金出納帳は銀行口座の入出金を口座単位で管理し、通帳突合で毎月の残高一致を確認します。
  • テンプレートを使えば、入金・出金・残高が自動計算され、締め処理が効率化します。
  • 摘要に検索できるキーワード(請求番号・振込元等)を入力しておくと、仕訳作成がスムーズです。