現場担当者・監督・協力会社向けに、建設・土木・内装などの実務で使える【工事工程表テンプレート(Excel無料DL)】を紹介。

週次・月次・年間対応で、配布用PDFとクラウド共有型スプレッドシートの両形式を用意しています。

実務経験コメント
元請・下請の混在する現場で、配筋・型枠・コンクリートなど工種別に担当が分かれていたため、本テンプレでは並行作業の衝突段取り替えの見える化に重点。工程会議での配布を前提に設計しています。
このページは
一般の「工程表」や「ガントチャート」ではなく、建設・施工管理に特化した内容に限定。工種・出来高・検査など現場固有の項目を扱います。

工事工程表とは?

建設・土木・内装・リフォームなど、現場作業の進行を一目で把握するのが、工事工程表です。着工から竣工までの流れを「工期」「工種」「担当」「天候」などの要素で整理し、現場全体の進捗を共有する目的で使われます。

建築・解体・リフォームなど現場向けの工程管理ツール

工事工程表は、オフィス業務向けとは異なり、現場の状況変化に対応することが特徴です。現場監督・職長・元請・協力会社など複数の関係者が同じ工程表を共有し、工種ごとの作業や検査予定、天候による順延などを調整します。

  • 工期・進捗を可視化し、遅延や重複作業を防止
  • 日次・週次単位で更新でき、打合せ資料としても活用可能
  • 複数の工種(仮設・基礎・内装・設備など)を横断的に管理

工事専用工程表と通常工程表の違い(現場ならではの要素を含む)

一般の「工程表」はタスクの進行を管理するためのものですが、工事専用の工程表は現場特有の管理要素を追加している点が大きな違いです。 下表のように、構成内容や記載項目がより実務に即したものになっています。

項目 工事専用工程表 通常の工程表
工期 着工日・竣工日・天候・休工日を含む 開始日・終了日のみ
工種別作業 仮設・基礎・躯体・仕上などのレーンで並列管理 タスク一覧で管理(工種区分なし)
施工管理用凡例 作業種別ごとに色分け・凡例設定あり タスクバー表示のみ(凡例なし)
発注・納品項目 資材・重機・協力会社の発注日・納期を反映 リソース管理項目なし
出来高・検査 出来高率・検査予定・是正期日を管理 未対応(メモ欄で補足)
ポイント
工事工程表は「進捗管理+現場安全+品質保証」の3要素を兼ね備えた、現場の実務に特化した工程管理ツールです。

工事工程表テンプレート(Excel・PDF)

工期や管理粒度に応じてテンプレートを選べます。祝日自動反映/休日ハッチ天候欄凡例を備え、印刷配布にも対応。

シンプル工事工程表(短期・小規模現場用)

週間工程表(1週間x2)
用途:定例会議配布/短工期/並行作業の衝突回避
  • 工種、注意点欄、休日色分け(手動)
  • 日付は手動、曜日の設定は自動

月間工程表(1ヶ月×3ヶ月)
用途:中規模〜長期工事/要員・重機手配/出来形確認
  • 日祝日は手動、進捗率、担当者、日数の記入欄
  • 日付は手動で設定(例として11月設定済み)

中長期プロジェクト向け(半年~1年管理版)

6か月工程表(半年スパン)
用途:中規模工事/改修・リフォーム/設備更新など
  • 半年間の工程を1枚に集約。基礎〜仕上げ・検査までを俯瞰管理
  • 月ごとの進捗率・主要マイルストーンを見える化
  • 各月に10日ごとの区切りあり

年間工程表(12ヶ月)
用途:長期案件の全体計画/発注計画/近隣対策の告知
  • 主要マイルストーン(地鎮祭・中間検査・引渡)のタイムライン
  • 工区別・階別の段階施工の視認性を向上

Googleスプレッドシート版(現場チームでリアルタイム共有)

クラウドで共有しながら管理したい方向けに、Googleスプレッドシート版の工事工程表を用意しています。ブラウザ上で動作し、複数の担当者が同時に編集・閲覧できるため、現場と事務所の連携がスムーズになります。

週間工事工程表(クラウド共有型)
  • 1週間単位で現場の進捗を共有・更新
  • スマホ・タブレットからも入力可能
  • 共有リンクを発行すれば、協力会社とも閲覧可

週間工事工程表をコピーして使う(Googleスプレッドシート)

月間工事工程表(全体俯瞰・共有型)
  • 1か月の作業工程を俯瞰しながら管理
  • 進捗率・発注・検査日などを一括表示
  • 更新履歴が自動保存されるため変更管理も容易

月間工事工程表をコピーして使う(Googleスプレッドシート)

Googleスプレッドシート版は、リアルタイム更新・コメント機能・アクセス権管理に対応しており、 複数拠点の現場を統一フォーマットで管理したい場合に特におすすめです。

工事工程表の作り方(実務手順)

工事工程表を作成する際は、現場の状況に合わせて工程の分解・工期設定・可視化・更新ルールを整理します。 以下のステップで進めると、無理なく進めることができます。

工程項目(例:基礎・躯体・内装・引渡し)の洗い出し

まずは、全体の工事を大きな工程ブロックに分けます。工区・工種・作業内容を明確にし、抜けや重複がないようにします。

  • 基礎工事:
    掘削・配筋・型枠・コンクリート打設など
  • 躯体工事:
    鉄骨・RC・木造など構造体の組立・立上げ
  • 内装工事:
    軽鉄・ボード・床・塗装・建具など
  • 仕上・外構:
    外壁・塗装・植栽・舗装・フェンスなど
  • 検査・引渡し:
    中間検査・竣工検査・是正・最終引渡し

特に「並行作業」になる工種(例:内装と設備)は、同じ時期に重ならないように配置すると、現場での混乱を防げます。

着工日・完了日を決める工期設定方法

次に、プロジェクト全体の着工日・竣工日を決定します。工期の設定では、季節・天候・施工手順などを考え、余裕を持った計画を立てましょう。

  • 着工日:
    地鎮祭や契約締結日など、実際の作業開始日を基準に設定
  • 完了日:
    引渡し予定から逆算し、検査・仕上・是正期間を確保
  • 休日・祝日:
    Excel関数で自動除外、または「祝日リスト」を設定

半年以上の工期では、月単位・週単位の双方で進捗を管理するのが効果的です。

色分け・凡例で進捗を可視化する工夫

工種別の色分け凡例を統一するとわかりやすくなります。 Excelの「条件付き書式」を使って、進捗の可視化をすると簡単です。

工種 色の例 意味・凡例
仮設・基礎 青系 着工初期の準備・基礎工事
躯体 緑系 主要構造の組立(RC・鉄骨など)
内装・設備 黄系 仕上げ・設備配線・点検など
検査・引渡し 赤系 竣工検査・是正・最終引渡し

凡例を工程表の上部または右下に配置しておくと、使用時に分かりやすくなります。

遅延や突発対応を反映する更新ルール

現場では、天候・資材遅延・人員変更などで計画通りにいかないことがよくあります。そのため、工程表は「一度作って終わり」ではなく、定期的な更新をしながら運用します。

  • 更新頻度:週1回(定例会議後に反映)
  • 変更箇所:バーの色変更・開始/終了日・注記の追記
  • 履歴管理:版番号(Rev)と更新日を明記
  • 遅延原因:「天候」「資材」「他業種調整」などをメモ

更新履歴を残すことで、後からのトラブル防止や出来高査定の証拠にもなります。

ポイント:
工程表は「作る」だけでなく、「運用して精度を上げる」ことが重要です。
毎週更新を習慣化することで、現場全体の見通しが安定します。

活用事例(現場別サンプル)

工事工程表は現場によって使いどころが異なります。ここでは木造・リフォーム/大型建設(民間・公共)/安全・品質の3視点で、実務に落とし込んだ活用例を紹介します。

木造住宅・リフォーム現場での管理例

小規模~中規模の改修・戸建てでは、工程の入替えと近隣調整が遅延の主因です。更新と発注・納期の見える化で手戻りを防ぎます。

  • 工程の並べ替え:
    解体→下地→配管配線→造作→内装→設備機器→竣工クリーニング。
  • 発注の前倒し:
    キッチン・ユニットバス・建具は納期が長いので、着工前に発注締切を確定
  • 近隣対策:
    騒音・搬入・駐車ルールを工程表の注記に明記し、配布用PDFに反映。
  • 写真と紐づけ:
    週番号(W1〜W8)でアルバム整理し、是正箇所の確認を迅速化。

大型建設プロジェクト(民間・公共工事)の活用例

分離発注・下請け多層構造では、工区別・階別で工程を分割し、会議体の節目(中間・出来形・完了検査)をタイムラインに載せます。

テーマ 具体策 工程表での表現
工区・階別管理 工区A/B/C・1F/2Fでシート分割、週次に集約 工区を分け、マイルストーン(◆)で連結点を表示
会議体の固定化 週例・月例・VE/設計調整の定例化 各週ヘッダに会議名を注記、要点のリンクを設定
発注・納品統制 長納期品のゲート(発注締切)設定 縦線「|」で発注日、◇で納品日を表記

工程表による安全・品質管理の実践

安全・品質活動を工程表に織り込むことで、抜け漏れを防止し、監査・是正のスピードを上げます。

  • 安全:
    高所・火気・重機作業の重なりを可視化し、危険作業は同週に重ねない運用。
  • 品質:
    配筋・防水・耐火・気密などの検査を工種間の節目に配置。写真台帳提出期限も工程上に明示。
  • 是正:
    是正締切を赤枠で表示し、進捗率≦90%かつ期限超過はアラート(条件付き書式)。

よくあるトラブルと回避策

現場で頻発する更新漏れ・フォーマット分断・粒度不統一・情報共有の滞りを、運用のルール化で防ぎます。

更新漏れ・フォーマット分断の防止

更新の遅れやコピーファイルの混在は、意思決定の遅延に直結します。最新版の一点管理が基本です。

  • 版管理:
    ファイル名にRev日付を必ず付与(例:工程表_2407_revC.xlsx)。
  • 保管先の一本化:
    共有クラウドに「最新版」フォルダを用意し、旧版はアーカイブへ自動移動。
  • 編集権限:
    編集者を限定、他は閲覧専用に。会議後に責任者が一括反映。
  • チェックリスト:
    更新日/変更点/影響工種の3点を配布前に確認。

工程の粒度をそろえて見やすく統一

粒度(細かさ)がばらつくと、問題点がわかりにくくなります。全工種で粒度を合わせます。

症状 問題点 対策
ある工種だけ日次、他は週次 同期が取れず、重機・人員が過不足 週単位に統一し、日次はサブ表で管理
作業名が抽象的 実作業が読み取れず、発注・検査の連携ミス 「配筋」「型枠」「打設」など実作業名で記載
凡例が部署ごとに違う 色の意味が共有されず誤解発生 全社凡例を[凡例]シートに定義し再利用

現場と事務所間の情報共有改善策

現場・事務所・設計監理の三者で、同じ情報に同じタイミングでアクセスできるようにします。

  • 定例セット:
    工程表(xlsx)+週報(pdf)+是正リスト(xlsx)を同一フォルダで管理。
  • リンク運用:
    工程表セルに週報・写真フォルダのリンクを設定。
  • 議事メモの一元化:
    会議ノートのURLをヘッダに固定記載。(誰でも直行可能)
  • 配布チェック:
    配布先ログ(元請/協力会社/監理)をシート末尾で管理。
ポイント:
「最新版の一点管理」「粒度統一」「リンクで往復短縮」を徹底すると、遅延要因の大半は初期に発見できます。

よくある質問(FAQ)

工程表の作成・共有・カスタマイズに関して多く寄せられる質問をまとめました。Excelとスプレッドシートの使い分け、長期管理のコツ、印刷設定や配布時の注意点など、実務担当者が迷いやすいポイントを解説しています。

ExcelとGoogleスプレッドシート、どちらが便利ですか?
オフライン運用・印刷重視ならExcel、多人同時編集・共有重視ならスプレッドシートが便利です。
無料テンプレートは自社用にカスタマイズしても大丈夫ですか?
はい。商用利用・編集ともに可能です。数式セルの削除や凡例の不整合にだけご注意ください。
月次・年次で管理したい場合のおすすめ設定は?
年次は月単位の俯瞰表、半年は週単位テンプレ、月次は日/週の詳細表がおすすめです。
祝日や天候の影響は工程表に反映できますか?
祝日は自動ハッチ、天候は専用欄で記録できます。順延ルールを注記して運用します。
発注・納期の管理も工程表に入れられますか?
はい。「発注日」「納品予定」の列を追加し、ゲートを可視化すると遅延防止に効果的です。
印刷や配布に適したレイアウトはありますか?
A3横を推奨します。ヘッダに工事名・Rev・発行日を明記し、PDFで共有してください。
ガントチャートと工事工程表の違いは何ですか?
ガントは一般タスク向け、工事工程表は工種・検査・出来形・天候など現場要素を扱う点が異なります。
工程表の遅れやトラブルが発生した場合、どう対応すればいいですか?
遅れが出た場合は「原因の分類(天候・資材・人員)」を行い、関連工種の日程を再調整します。Excelやスプレッドシートでは、進捗率を色で表示し、遅延部分を赤系などに統一すると関係者が認識しやすくなります。
現場ごとに作業内容が違う場合、テンプレートはどうカスタマイズすればいいですか?
工種の行追加・削除で対応できます。基本レーン(仮設・基礎・躯体・仕上げなど)は維持しつつ、現場固有の作業(防水・塗装・外構など)を挿入すると分かりやすくなります。進捗率や検査欄の数式は削除せずに残すのがポイントです。
進捗状況をリアルタイム共有するおすすめの方法はありますか?
Googleスプレッドシート版の活用が最適です。スマホやタブレットで直接更新でき、現場と事務所の両方で常に最新情報を共有できます。コメント機能で指示・是正通知も可能です。
Excelで工程表を印刷すると文字が小さくなります。見やすく出力する方法は?
A3横向きを基本に、印刷範囲を「選択範囲を1ページに収める」に設定してください。また、グリッド線を非表示にして凡例やヘッダを太字にすると、現場配布用の見栄えが良くなります。
工程表をもとに日報や週報を自動で作る方法はありますか?
Excelではマクロを組み込むか、スプレッドシートの関数連動で自動転記が可能です。1行1作業形式にすれば、WEEK関数で「週ごとの集計」も簡単に作成できます。
クラウド共有時のセキュリティ対策は必要ですか?
はい。閲覧権限を制限し、「閲覧のみリンク」または「特定ユーザーのみ編集可能」と設定してください。また、履歴管理・変更ログの活用で改ざんや誤更新を防止できます。
スマートフォンで現場から工程表を確認するときの注意点は?
画面幅に合わせた表示を推奨します。スプレッドシートは自動的にレスポンシブ対応しますが、Excelの場合は「読み取り専用 PDF版」を同時に配布すると閲覧性が向上します。
進捗報告を効率化するおすすめの書式はありますか?
工程表と週報Excelをリンクさせる運用が効果的です。セルに=HYPERLINK("週報.xlsx","週報を開く")のように設定すれば、工程表から直接週報へ遷移できます。
工事DX(デジタル化)に対応した工程管理の進め方を知りたいのですが?
スマホ対応のスプレッドシート工程表をベースに、写真台帳・報告書・出来形検査へリンク構造を持たせると、DX型の進捗管理が可能です。工程データを共有クラウドで一元化するのがポイントです。

工事工程表を作成・運用する際に役立つ、公的機関のガイドラインや関連テンプレートをまとめています。国土交通省・農林水産省が発行する公式資料は、信頼性の高い工事管理の指針として参照可能です。

土木工事書類作成マニュアル(国土交通省)

工事発注者・受注者が作成・提出すべき書類の統一・簡素化を目的としたガイドライン資料です。契約図書・施工計画書・工程表・報告書の構成も掲載されています。

PDFダウンロード(令和5年12月版)

施工管理基準の手引き(農林水産省)

農林水産省管轄の土木・農村整備工事における「工程管理」「出来形管理」「品質管理」の基準を示す資料です。工程表作成・進捗管理を行う上で参考になります。
PDF等ダウンロードページ

併用すると効果的なテンプレート・帳票類のリンク集です。例えば「進捗管理表」「月次報告書」「施工体制台帳」など、現場管理を補うフォーマットを揃えています。

追加の公式参考リンクとして、以下も有効です: