ビジネスや個人取引において、支払いの遅延や納品遅れといったトラブルは避けられません。
当サイトでは、文書作成の専門チームが実務経験を活かして作成した、状況別の督促状テンプレートをご紹介しています。
単なる請求やお願いではなく、正式な催告文書としての「督促状」が必要な場面に対応した、実用的なフォーマットをぜひご活用ください。
督促状とは?意味と法的な位置づけ
督促状とは、支払いや納品など契約の履行が期限内に行われなかった場合に、相手に正式に対応を求める文書です。
ビジネス文書の一種で、感情的な催促ではなく、法的な手続きを見据えた通知として用いられます。
具体的には、以下のようなシーンで使用されます:
- 商品代金の未払い
- 契約済み商品の納品遅延
- 家賃の滞納や貸付金の未返済
- 書類(見積書・契約書など)の未着
催促状との違い
催促状は、比較的ソフトな表現で支払いなどを促す文書で、日常的なやりとりや軽微な遅延の連絡に使用されます。
一方、督促状は「法的手段も視野に入れている」ことを示す、より正式な催告書面です。
文書種別 | 位置づけ | 表現の強さ | 使用タイミング |
---|---|---|---|
催促状 | お願い・通知文の一種 | やや弱い (配慮重視) |
初回の支払い遅延など |
督促状 | 正式な催告文書 | やや強い (次の段階を示唆) |
複数回の遅延・納品トラブル等 |
催告書との違いと送付タイミング
催告書は、督促状よりもさらに強い意味を持つ法的手段に近い通知文です。 一般的な流れとしては以下のような段階を踏みます:
- 軽い注意や連絡(口頭・メール)
- 催促状(お願い文書)
- 督促状(正式な文書)
- 催告書(内容証明で送付、法的措置を示唆)
督促状は普通郵便でも問題ありませんが、催告書は「内容証明郵便」で送付されることが多く、法的効力が強まります。
督促状テンプレート一覧(支払・納品遅れなど)
ワード形式の督促状テンプレートを例文付きでダウンロードできます。督促のパターン別になっているので、自分の状況に近いテンプレートを修正することで簡単にオリジナルの督促状が完成します。
初回の支払督促(柔らかめ文面)
不定期での商品注文を受けたときに、客先から代金が振り込まれないという場合の督促状テンプレートです。はじめての連絡なので、文面は優しめにしてあります。何度か連絡しても、支払いがない場合は徐々に文面を強くしていく必要があります。
定期支払の遅延に対する督促
定期的に毎月商品を提供している取引先から支払いがない場合の未払いを催促する督促状テンプレートです。
何月分が支払われていないのか、いつまでが期限で、いつまでに支払ってほしいのかを明記します。こちらも1回目の督促を想定しているので文面は優しめな内容になっています。
再三の督促に対する強めの再督促状
何度か連絡したのに、商品代金が不払いの相手に対する再督促状テンプレートです。急ぐことを文面から表現するため、挨拶文を省き「前略」~「草々」としています。内容としては、注文した日付や振り込み期限、いつまでに支払うのかを明記しています。
また、再三の督促に対して何の回答もないようなら法的な対応を行う旨を、脅迫にならないように気を付けながら記載します。感情的な文面にならないように何度か読み直して確認することが大切です。
納品遅れに対する督促(発注済)
商品の注文をしたが、納品期限に納品されなかった場合の督促状テンプレートです。
ポイントとしては、いつ発注したか、いつ納品予定だったかを明記し、納品がないとどのように困るのかを説明することで相手に行動を促します。また、こちらが顧客ではありますが行き違いということもあるので、きつ過ぎない表現を心がけます。
貸付金の返済がない場合の督促
融資を行ったが、予定の期日に返済がされなかった場合の督促状テンプレートです。振込が確認できないこと、自社も困っていることを記載します。
見積書の未送付に対する依頼
商品の見積をお願いしたが、見積書が送付されてこない場合に催促する文面です。
いつ依頼したのか、何の見積もりなのかを明記しておくと相手が調べる手間が省けるので早急に手配してもらえる可能性が高くなります。見積りが指定の期日までに届かない場合は、別の事業者に頼むとしてもいいでしょう。
家賃滞納に関する督促状(個人宛)
家賃を滞納した住人がいる場合の個人宛の督促状テンプレートです。初回の督促なので淡々と支払いするように促す文書になっています。
個人宛の支払依頼(ソフトな文面)
個人向けの入金のお願いワードテンプレートです。購入した商品の代金が未入金のため、催促する文例になっています。
督促状の正しい書き方とマナー
基本構成と記載項目
一般的な督促状には以下の項目を含めます:
- 宛先:相手の会社名・部署・担当者名(個人なら住所+氏名)
- 差出人情報:自社の正式名称・担当者名・連絡先
- 件名:「ご請求の件」「商品代金のお支払いについて」など
- 本文:
- 時候の挨拶と趣旨
- 支払い・納品が未了である事実と該当内容(請求書番号・金額・納期など)
- 対応期限と支払方法など
- 行き違いの可能性に配慮する一文
- 結び:「何卒よろしくお願いいたします」などで丁寧に締める
内容証明での送付が必要なケース
以下のようなケースでは、内容証明郵便での送付が有効です。
- 再三の督促にも応じない場合
- 支払いの意思が見られない場合
- 法的手続き(支払督促申立てなど)を視野に入れるとき
内容証明とは、送った書面の「内容」と「送付事実」を郵便局が証明する郵便サービスで、裁判での証拠力が高いのが特徴です。
再督促状・内容証明の送付
再三の督促を行っても支払いが確認できない場合は、文面のトーンをやや強めにし、対応期限を明示した「再督促状」を送付します。さらに、支払いの意思が見られない場合は、内容証明郵便による送付で法的手続きを視野に入れた対応へ移ることが有効です。
再督促状を送るタイミングと目的
初回の督促状から7日〜10日経過しても入金や返答がない場合に、再督促状を送付するのが一般的です。この段階では、単なる依頼文から「正式な催告」に文体を切り替えることがポイントです。
- 「前略〜草々」で頭語・結語を簡略化し、緊急性を示す
- 過去の請求・督促日と金額を明記する
- 期限を明確に設定し、「〇月〇日までにご入金なき場合は〜」と結ぶ
再督促状の文面例
前略
先般、令和〇年〇月〇日付でご請求申し上げました〇〇代金〇〇円につきまして、いまだご入金の確認ができておりません。
つきましては、誠に恐縮ではございますが、〇月〇日(〇)までにお振込みくださいますようお願い申し上げます。
なお、期日までにお支払いがない場合には、誠に遺憾ながら法的手続きも視野に入れざるを得ませんので、あらかじめご了承願います。
草々
内容証明郵便で送るべきケース
再督促を行っても連絡が取れない、または支払いの意思が見られない場合は、証拠を残すために内容証明郵便を利用します。これは、郵便局が「送付日」「送付内容」を証明してくれる重要な法的手段です。
- 支払いの有無や金額、期日を明確に記載
- 感情的な表現ではなく、事実を淡々と伝える
- 送付前に司法書士・弁護士への確認があると安心
内容証明郵便の作成・送付手順
- 文書を3部作成(相手用・自分用・郵便局保管用)
- 最寄りの郵便局窓口で「内容証明郵便」として受付
- 「配達証明」を付けると、相手が受け取った事実も証明可能
督促状に関するQ&A
督促状にまつわる注意点や自分が督促を受けた場合の対処方法などを紹介します。
督促状が届いたらどうすればいい?
督促状が届いた場合は、すぐに支払えば問題はありません。通常は、期限(税金などでは10日ほど)が記載されているので、その期限までに支払うようにします。
お金がなくて支払えない場合は、督促状に記載の連絡先に正直に支払えない理由を相談します。相手や理由によりますが、分割払いや支払期限の延長などを検討してくれることもあります。
無視した場合のリスクとは?
督促状を無視するのは、一番ダメな対処方法です。
1度目の督促状を無視すると、少し強めの督促状や催告書が送付される上に、延滞金なども加算される場合があります。
さらに無視を続けると内容証明や裁判にまで発展することもあります。年金や税金などの場合は、無視を続けると銀行口座の凍結や差し押さえを命じられることもあるので注意してください。
固定資産税の督促状が来るタイミング
固定資産税の督促状も税金と同じように20日間支払いがないと督促状を送るようになっています。
この20日というのは地方税法で決められていますが、行政によっては30日だったり期間は異なることもあります。
納期限と延滞措置の目安
督促状の納期限は、おおむね10日~30日と発行者によって異なります。税金の場合は、地方税法で以下のように定められています。
「督促状を発した日から起算して10日を経過した日までに完納しないとき」は「財産を差し押さえなければならない」
電気料金の場合は、検針から30日以内が振り込み期限で、督促状が届き20日以内に入金しないとその後電気を停められるようです。(あくまで例なので、詳細な期間は電力会社によって異なります。)
まとめ
今回は、督促状テンプレートを紹介しました。
督促状は、相手の不備に対して要求を行う文書ですが、いきなり喧嘩腰で向かっていってしまうと誤解だったときや、相手に特段の事情があるときなどに関係が悪くなってしまうこともあります。
最初は相手を気遣ったりした文面で、相手の非が濃くなってきた段階で徐々に強めの文章にすることが望ましいのです。
しかし、何度か送る督促状がずっと弱い文章だと、相手に悪意がある場合に要求が満たされなくなることもあるのでバランスが非常に難しいです。
そのため、督促状の使用は相手の対応や状況を見ながら慎重に行う必要があります。