業務委託契約書は、業務の一部を別の会社や個人に行ってもらうときに交わす契約書です。委託する業務は、システム開発、営業、コンサルティング、運用保守、事務作業などがあります。

実務経験にもとづく業務委託契約の作成ポイント
  • SI・Web制作・コンサル案件での契約レビュー経験を踏まえ、現場で揉めやすい条項(知財・成果物の帰属、検収、再委託、秘密保持、解除・違約)を解説
  • 準委任/請負の使い分け雇用との境界(労働者性)を明確化
  • Word版の無料テンプレートと条項チェックリストを配布。案件の特性に合わせて編集できます。
※法務・税務判断は案件により異なります。最終判断は専門家にご相談ください。

業務委託契約書テンプレート(無料DL)

汎用(Word版)
  • 想定:個人事業主/小規模ベンダーとの一般的な委託
  • 収録:目的/業務範囲/委託期間/報酬・支払/再委託/知的財産/秘密保持/成果物の検収/報告/解除/不可抗力/裁判管轄 など
業務委託契約書テンプレート(汎用)Word雛形のプレビュー画像|目的・業務範囲・委託期間・報酬・秘密保持・検収を収録

業務委託契約書テンプレート01
業務委託契約書テンプレート(検収強化版)プレビュー画像|成果物の受入基準・瑕疵修補・責任範囲の条項例

業務委託契約書テンプレート02

業務別テンプレート

コンサルティング業務委託契約書テンプレートのプレビュー画像|業務範囲・成果定義・報告様式・守秘義務

コンサルティング業務委託契約書
ホームページ制作業務委託契約書テンプレートのプレビュー画像|著作権・ライセンス・素材の権利帰属・検収条項

ホームページ制作業務委託契約書

準委任と請負の違い|雇用との違い

  • 準委任:
    成果ではなく作業の遂行を約する(例:運用保守・調査・コンサル)。検収は作業報告中心。
  • 請負:
    完成物(成果物)の引渡しを約する(例:システム納品・サイト公開)。検収は合否判定が明確。
  • 雇用との違い:
    指揮命令・勤務時間管理・専属性が強いと労働者性の認定リスク。作業指示の頻度や社内規程の拘束に注意。

使い分けの目安

  • 要件が固まっており、成果物と検収条件を定義できる
    請負が適切。
  • 要件探索・運用支援・継続改善のように成果が変動
    準委任が適切。

必須条項とサンプル文

知的財産の帰属

成果物に関する著作権(著作権法第27条及び第28条を含む)は甲に帰属する。乙は当該成果物について第三者の知的財産権を侵害しないことを保証する。

検収・瑕疵対応

甲は成果物の引渡し後◯営業日以内に検査を行い、適合しない場合は修補を請求できる。乙は合理的期間内に無償で修補する。

再委託(下請)

乙は甲の事前書面承諾なく本契約に基づく業務の全部又は一部を第三者に再委託してはならない。

秘密保持(NDA)

乙は本契約に関連して知り得た甲の技術・営業その他一切の情報を第三者に開示・漏えいしてはならない。

解除・違約金

重大な債務不履行が是正期限内に是正されない場合、甲は本契約の全部又は一部を解除できる。損害が生じたときは乙はこれを賠償する。

成果報酬の定義

  • 成果報酬型:契約件数・売上額・達成指標(KPI)を客観指標で定義。
  • 時給・月額:工数見積・稼働上限・超過時の単価・報告フォーマットを明記。
  • マイルストーン:中間成果と支払イベント(設計完了・β公開・本番リリース)を段階定義。

印紙税の扱いと電子契約

紙の契約書(印紙)

  • 「請負に関する契約書」に該当する場合は収入印紙が必要(金額区分により税額が変動)。
  • 少額・準委任等でも記載内容によっては課税対象になり得るため最新の税務情報を確認。

電子契約

  • 一般に電子契約は印紙税の課税文書に該当しないと解される(紙の課税文書を作成しないため)。
  • クラウドサイン等の電子署名・タイムスタンプで改ざん防止・証跡管理を確保。
※税務の取り扱いは案件・記載内容により異なります。税理士等にご確認ください。

トラブル事例と予防策

  • 範囲不明確→追加作業の無償要求:
    業務範囲・除外事項・追加見積のトリガーを明記。
  • 検収基準なし→完了認定の遅延:
    受入基準・期日・サイレント承認の可否を規定。
  • 著作権の帰属誤解:
    ソース・素材・ライセンス(フォント・写真)の扱いを区分。
  • 再委託のガバナンス:
    個人情報・機密情報取り扱いを再委託先にも順守義務づけ。

チェックリスト(保存版)

テンプレートに当てはめる前に、範囲・検収・報酬・知財・再委託などの齟齬を防ぐため、下記を順に確認してください。

  • 契約類型は適切か(準委任/請負/混在時の優先条項)
  • 業務範囲・納期・成果物・検収基準・報告方法の定義
  • 報酬形態(固定/時給/成果報酬)と上限・支払サイト
  • 知財・二次利用・オープンソース・サードパーティ資産の扱い
  • 再委託の可否・条件・責任分界点
  • 秘密保持・個情法・情報セキュリティ要件
  • 瑕疵担保・損害賠償・責任上限(上限額・除外項目)
  • 契約期間・解除事由・途中終了時の精算
  • 準拠法・裁判管轄・紛争解決手続

よくある質問(FAQ)

個人事業主との業務委託で特に注意すべき点は?
労働者性の認定リスクを避けるため、指揮命令・勤務時間管理・専属性を抑え、成果物や業務範囲を明確化します。源泉徴収や消費税の取扱いも事前に確認してください。
支払いを成果報酬にできますか?
可能です。KPI(契約数・売上・CVなど)を客観指標で定義し、測定方法・検収・不確実性の配分(最低保証や上限)を合わせて規定します。
時給契約は違法になりませんか?
違法ではありませんが、実態が雇用的(常時の指揮命令・勤務時間拘束など)だと労働者性の認定リスクが高まります。タスク単位の成果・報告・稼働上限を明記すると良いでしょう。
電子契約の場合、印紙は不要ですか?
一般に電子契約は印紙税の課税文書に該当しません。ただし内容により取扱いが異なる場合があるため、最新情報を確認し専門家に相談してください。

まとめ

今回は、業務委託契約書テンプレートをword雛形で紹介しました。テンプレートには、汎用的なサンプルの文書が書かれているので、参考にしながら適時自社に合うように修正して使用してください。

業務委託契約書のテンプレートは、いろいろなサイトで紹介していますが、業務の委託はその会社や相手によって様々です。テンプレートをそのままで使用できることはほとんどないので、弁護士や行政書士などの専門家にチェックを依頼した方が確実です。