この記事では、中小企業の経理実務で日常的に使われる日計表について、現場での運用を踏まえて分かりやすく解説します。
エクセルで使える仕訳日計表テンプレートと売上日計表テンプレートが無料ダウンロードでき、実務の流れに沿ったエクセル 日計表 作り方、入力ルール、チェックポイントまで解説します。
日計表とは|仕訳日計表と売上日計表の違い
- 日計表:
1日に発生した取引を勘定科目別・区分別に集計する一覧表 - 仕訳日計表:
当日の全仕訳を借方・貸方で合計し、総勘定元帳への転記を効率化 - 売上日計表:
その日の売上を現金・カード・その他(QR・振込など)に区分して記録、月次の売上・入金実績を集計
日計表を運用するメリット
- 毎日の取引状況と残高を把握でき、資金繰りや在庫の早期異常検知に役立ちます。
- 月次・四半期の試算表作成がスムーズになり、決算時の修正仕訳が減ります。
- 二重計上・勘定科目誤り・端数処理ミスなどを日次で発見できます。
日計表に含める主な項目
- 日付、伝票番号、勘定科目、補助科目、摘要
- 借方金額、貸方金額、部門・担当者、取引先コード
- 現金残高・預金残高・売掛残高の確認欄
日計表テンプレート(無料ダウンロード)
仕訳日計表(エクセル)
毎日の仕訳を一覧化し、借方・貸方ごとの日計合計と差額をチェックできます。A4縦で1枚に3日分を収め、転記チェック欄と承認欄を備えています。
 
売上日計表(エクセル)
日計売上を現金・カード・その他に区分し、伝票枚数・入金手段別・日別合計を自動集計します。シート左上に年月を入力すると、日付と曜日が自動設定され、月末までの合計欄も自動計算します。
エクセルで作る日計表の基本手順
ここでは、初心者でも簡単に作成できるように、エクセルを使った日計表の基本的な作り方を手順ごとに説明します。
- 表の設計:まず、列に「日付」「伝票番号」「勘定科目」「補助科目」「摘要」「借方」「貸方」「区分(現金/カードなど)」を並べます。
- 選択式入力:勘定科目や補助科目は、別シートにマスタ表を作り、プルダウンで選べるようにします。
- 合計の数式:借方と貸方の合計をそれぞれSUM関数で集計し、差額チェック欄に「借方合計−貸方合計」の数式を入れます。
- 残高チェック:現金や預金の残高は「前日残+入金−出金」の数式を入れ、誤差が出たときは条件付き書式で色が変わるようにします。
- セル保護:数式が入っているセルはロックし、入力が必要なセルだけ編集できるようにします。シート保護を設定すると安心です。
- 印刷の調整:A4に収まるように余白や改ページを整え、タイトル行が毎ページに出るよう設定します。
売上日計表を作るときの工夫
- 「現金」「カード」「その他」の区分を固定し、COUNTA関数でその日の伝票枚数を自動計算します。
- カードやQR決済は入金が後日になるため、売掛金を管理する欄を追加します。
- 店舗が複数ある場合は「店舗コード」の列を作り、店舗ごとの売上をピボットで集計できるようにします。
よくあるミスと対策
- 二重計上:伝票番号の重複チェックをCOUNTIFで実装します。
- 勘定科目の誤り:マスタを最新化し、入力規則を必須にします。
- 端数処理の不一致:税計算の丸め基準(四捨五入/切上げ/切捨て)を共通ルール化します。
- 非現金売上の未回収:カード・QRの回収予定日と入金確認欄を追加します。
よくある質問(FAQ)
日計表は手書きよりエクセルで作成した方がよいですか?
はい。エクセルを使うことで自動計算や差額チェックができ、ミス防止や業務効率化につながります。手書きは小規模事業や簡易的な記録には向いていますが、実務ではエクセルがおすすめです。
仕訳日計表と売上日計表の違いは何ですか?
仕訳日計表は日々の取引を借方・貸方で集計し、総勘定元帳への転記を効率化するものです。売上日計表は現金・カードなど区分ごとの日次売上を管理するものです。用途が異なるため併用すると効果的です。
日計表のデータはどのくらい保管すべきですか?
税務上の帳簿書類と同じく、7年間の保管が推奨されます。電子データで保存する場合は、改ざん防止のための措置も必要です。
売上日計表は複数店舗でも使えますか?
はい。店舗コード列を追加することで、ピボットテーブルを使って店舗別に集計できます。複数店舗の売上管理にも対応可能です。
エクセル以外に会計ソフトで日計表を作成できますか?
可能です。会計ソフトでは自動仕訳や月次集計と連携できるため、仕訳量が多い場合はソフトの利用が便利です。小規模な場合はエクセルでも十分です。
まとめ
毎日の科目別の仕訳を管理する仕訳日計表と現金やカードの売上を管理する売上日計表の2種類のテンプレートを紹介しました。
日計表を作成することで、毎日の伝票を集計することができ、総勘定元帳への転記の手間と転記時のミスを少なくすることができます。