「借りた・貸した」のトラブルを未然に防ぐなら、借用書を正しく作成すべきです。

この記事では、中小企業の業務支援・契約文書の作成支援に10年以上携わってきた筆者が、個人間・法人・物品・利息の有無などさまざまな状況に対応した借用書テンプレートをご紹介します。

すべて無料・登録不要でWord・Excel形式にてダウンロード可能です。実務で使える書き方の注意点や失敗例、カスタマイズのコツもあわせて解説します。

借用書テンプレート一覧

利息なしの借用書

金銭の貸し借りをする場合の借用書テンプレートです。excel、word形式でそれぞれ無料ダウンロードが可能です。項目やレイアウト自体はどれも同じなので使い慣れたファイル形式で利用してください。

分割返済

借用書テンプレート 無利子 分割返済 個人間 Excel Word 無料ダウンロード

借用書テンプレート01(個人間、無利子、分割返済)
家族・知人間での貸し借りに使えるシンプルな借用書。返済期日を具体的に明記することでトラブル防止につながります。
このテンプレートの活用ポイント
  • よくある実務例: 家族や知人から10万円~50万円を数ヶ月に分けて返す契約に多く使われます。
  • カスタマイズ例: ボーナス月に多めに返済するなど、返済額の変動がある場合は、返済スケジュール欄を追記してください。
  • 注意点: 金額は書いたけれど、返済期限が曖昧でトラブルになったケースがありました。返済日付は具体的に書きましょう。

 

一括返済

借用書テンプレート 無利子 一括返済 個人間 Word Excel 無料

借用書テンプレート06(個人間、無利子、一括返済)
個人間で金銭を借用できる書類です。利息なしで一括返済する文言になっています。

 

連帯保証人あり

借用書テンプレート 無利子 連帯保証人あり 個人間 Excel Word

借用書テンプレート07(個人間、無利子、連帯保証人)
個人間で金銭を借用できる書類です。利息なしで連帯保証人をつける設定です。

 

無担保

借用書テンプレート 無利子 無担保 個人間 Word Excel 無料

借用書テンプレート10(個人間、無利子、無担保)
個人間で金銭を借用できる書類です。無利息、無担保で貸し付ける記載です。

 

利息あり

一括返済

利息ありで、借金を一括で返済する場合の金銭借用書テンプレートです。

借用書テンプレート 利息あり 一括返済 個人間 Word Excel

借用書テンプレート02(個人間、利息あり、一括返済)
個人間で金銭を借用できる書類です。利息ありで一括返済用の文言になっています。

 

分割返済

利息ありで、分割返済を行う際の借用書テンプレートです。

借用書テンプレート 利息あり 分割返済 個人間 Excel Word

借用書テンプレート08(個人間、利息あり、分割返済)
個人間で金銭を借用できる書類です。利息ありで分割返済の期限や回数、間隔を記載する内容です。

 

遅延損害金あり

借用書テンプレート 利息あり 遅延損害金 個人間 Word Excel

借用書テンプレート03(個人間、利息あり)
個人間で金銭を借用できる書類で、利息あり・遅延損害金ありの文言になっています。返済方法は自分で設定してください。
このテンプレートの活用ポイント
  • よくある実務例: 利息付きの貸付や、分割返済で「万が一の遅延」に備えて損害金条項をつけるケースが多くなっています。
  • 注意点: 利率が高すぎると利息制限法違反になる場合があります。金額や期間に応じて、法定利率に注意しましょう。
  • カスタマイズ例: 遅延が発生した場合のペナルティ条項(例:「1日あたり〇円加算」など)を明確に記載しておくと安心です。

 

連帯保証人あり

借用書テンプレート 利息あり 連帯保証人あり 個人間 Excel Word

借用書テンプレート04(個人間、利息あり)
個人間で金銭を借用できる書類で、利息あり・遅延損害金ありです。下部の署名欄には、本人と連帯保証人の住所、氏名、押印をする項目が設定されています。
このテンプレートの活用ポイント
  • よくある実務例: 友人同士や親族間でまとまった金額を貸す際に、「保証人がいないと不安」という相談が多く、連帯保証人をつけるケースが増えています。
  • 注意点: 連帯保証人の署名や押印が抜けていたため、後に「保証した覚えがない」と主張されるトラブルも発生しています。
  • カスタマイズ例: 保証人が複数いる場合は、署名欄をコピーして増やすことが可能です。住所・電話番号も併記しておくと、後の連絡がスムーズです。

 

家族間(親子)

家族や兄弟の間であっても借用書を作ることは必要です。身内だからといって借用書をつくらないと大きなトラブルに発展することもあります。

また、税務署から「贈与」とみなされることもあります。家族間であっても年間110万円以上の金銭の移動は贈与税がかかりますので、きちんと借用書をつくっておくと安心です。

No.4420 親から金銭を借りた場合 - 国税庁

家族間であっても借用書の書式は、個人間のテンプレートと同じです。特に金額や返済期日、利息、返済の方法を記述したおかないと贈与ととられることがあるので年5%程度でも利息をつけておくことが望ましいです。

借用書テンプレート 家族間 親子間 学費援助 利息あり Word Excel

借用書テンプレート05(家族間)
個人間と特に変わりはありませんが、利息、返済期限、返済方法を決めて家族間でも使用できる形式になっています。
このテンプレートの活用ポイント
  • よくある実務例: 親からの学費援助や生活費の立替など、家族間での貸し借りは金額が大きくなりがちです。
  • 注意点: 借用書がないと「贈与」とみなされて贈与税の対象になる場合があります。110万円以上の金銭のやりとりは特に注意。
  • カスタマイズ例: 書式は個人用と同じでOKですが、できれば利息(年5%程度)や返済時期も記載して、第三者に見せても不自然でない内容にしましょう。

 

法人用

会社と個人でやりとりする法人用の借用書テンプレートです。個人間のテンプレートとデザインやレイアウトに大きな違いはありませんが、借りる宛先が法人名(代表者名)になっています。

また収入印紙を貼付する欄がありますが、1万円未満の場合は必要ありません。

借用書テンプレート 法人 会社用 社員貸付 Excel Word 無料

借用書テンプレート (法人・会社用)
法人・会社から借金をする場合の借用書テンプレートです。個人間での借用書と大きく違いはありませんが、あて先が会社名、代表取締役となっているところが異なります。
このテンプレートの活用ポイント
  • よくある実務例: 役員からの会社への貸付、または社員への立替金支給など、法人と個人の間で金銭が動く場面で使用されます。
  • 注意点: あて先は「会社名+代表者名」にしないと正式な契約と見なされないことがあります。また、1万円を超える場合は収入印紙の貼付も必要です。
  • カスタマイズ例: 債務者欄や返済条件に「会社名+担当者名」を明記し、社判(角印)を押す欄を追加しておくと、信頼性が高まります。

 

会社と社員間での借用書については以下国税庁のページが参考になります。
国税庁:会社と社員の間で作成される借入申込書、金銭借用証書

 

物品借用書

物品借用書では、金銭の借用書と記入する項目が変わります。使用期間(返却日)、物品名、使用目的などが必要です。特に他の条件がある場合はそれも明記しておきます。

物品借用書テンプレート 使用目的 返却期限あり Excel Word

借用書テンプレート (物品用)
物品を借用するために項目が金銭用とは異なっています。借用期限や物品名、使用目的などの記入欄があります。

 

物品借用書テンプレート 個人間 署名欄あり Excel Word 無料

借用書テンプレート (物品用)
物品を借用するためのテンプレートで、設定されている項目が金銭用とは異なっています。個人間での物品の借用をするためのフォーマットです。署名欄が下部にあるタイプです。

鍵借用書

鍵借用書テンプレート 会社 オフィス 不動産用 Excel Word

鍵を借用するときのテンプレートです。物品の中でも特に鍵を借用するためのフォーマットで、タイトルなども鍵に特化しています。

借用書の基礎知識:借用書/契約書/公正証書・利息・印紙税の要点

借用書を作成する際には、基本的な用語や制度を理解しておくと役に立ちます。ここでは実務でよく登場する要点を整理しました。

  • 借用書
    借り手中心の簡易書面。少額・短期向け
  • 金銭消費貸借契約書
    貸し手・借り手双方が署名する正式契約
  • 公正証書
    裁判不要で強制執行できる契約書
  • 利息・遅延損害金
    必ず数値・条件を明確にする
  • 印紙税
    契約金額帯で異なるため最新表を確認
  • 保証・担保
    保証人の署名や押印の有無が大きな違いに

ひと目で分かる比較表(用途別:金額・期間・保証)

借用書か契約書か、公正証書まで必要かは、状況によって異なります。以下の比較表で適切に選んでください。

用途 推奨書式 金額・期間 保証/担保 執行力 注意点
個人間少額 借用書 短期・小口 任意 なし 返済期日や利息を特定
大口・長期 契約書 中~大口 保証推奨 なし 条項粒度に注意
確実に回収したい 公正証書 大口・長期 保証推奨 あり 費用・本人確認が必要

実務で多いミスとトラブル事例(防止策付き)

実際の現場でよくある失敗やトラブル事例です。防止策と合わせて参考にしてください。

よくあるミス

  • 返済期日の曖昧記載(「月内」など)日付を特定し、支払方法・口座も本文で明示
  • 利息・遅延損害金の抜け。計算根拠・起算日・上限に配慮して条文化
  • 連帯保証人の署名・押印抜け。住所・氏名・押印・連絡先・生年月日まで記載
  • 家族間で条件が曖昧。利息・返済実態がないと贈与疑義を招く
  • 印紙の貼り忘れ・消印漏れ。金額帯ごとに貼付額を確認

 

再発防止の編集ポイント

  • 冒頭で金額・返済期日・方法・利息・遅延損害金・保証の有無を一覧化
  • 分割は「回数・各期日・支払間隔・最終期日」を表形式で明記
  • 期限の利益喪失・通知方法・振込手数料負担・反社会的勢力排除等の条項を整備
  • 原本部数と保管方法(各1通)を明示。写しの扱いも定義

参考:公式ガイド・法令リンク集

最新の正確な情報については、以下より取得することはできます。

 

借用書のよくある質問

借用書と金銭消費貸借契約書の違いは何ですか?
借用書は借り手が「借りました」と記載する簡易的な書類です。一方、金銭消費貸借契約書は貸し手・借り手双方が署名し、契約内容を詳細に記載する正式な契約書です。高額や長期の貸し借りでは契約書の方が安心です。
借用書には収入印紙は必要ですか?
1万円以上の金銭の貸借契約を証明する借用書には収入印紙が必要です。1万円未満は不要ですが、貼り忘れると過怠税が課されるため注意してください。
借用書に実印や印鑑証明は必要ですか?
通常の借用書では認印や署名だけでも有効です。ただし、公正証書にする場合は実印と印鑑証明書が必要になります。強制執行力を持たせたい場合は公正証書化がおすすめです。
借用書を後から作成しても効力はありますか?
はい、後日作成しても効力はあります。ただし、条件の認識違いが生じやすいため、貸すタイミングで作成するのが望ましいです。
借用書はPDF形式でも有効ですか?
PDFでも有効ですが、改変できないため編集が必要な場合はWordやExcel版を使用し、最終版をPDFに変換するのがおすすめです。
借用書に利息や返済方法は必ず書かないといけませんか?
必須ではありませんが、利息・返済日・返済方法を明記することで、贈与とみなされるリスクや返済トラブルを防げます。特に家族間では利息を年5%程度に設定するのが無難です。
借用書を弁護士や公証人に確認してもらうべきですか?
必須ではありませんが、金額が大きい場合や法人間契約では専門家にチェックしてもらうことで法的トラブルの予防につながります。
借用書をカスタマイズしても大丈夫ですか?
はい。金額・返済方法・連帯保証人の有無など契約内容に応じて修正してください。自分用にカスタマイズすることで、より実務的に使える書類になります。

まとめ

本記事では、借用書テンプレートを利息の有無、分割・一括、連帯保証人の有無、物品貸借、法人対応など豊富なパターンでご紹介しました。すべて無料でダウンロード可能です。

実務経験に基づいた注意点や、カスタマイズのヒントも紹介しており、初めての方でも安心して借用書を作成できます。ぜひ、契約内容に合わせたテンプレートを活用し、金銭・物品の貸借トラブルを未然に防ぎましょう。

Wordなどのアプリがなくても借用書がつくれる借用書作成ツールをリリースしました。スマホやタブレットで手軽に使用できます。
借用書PDF作成ツール
監修・作成者について:
本テンプレートは、企業間契約書や個人間契約支援を長年行ってきた業務サポート専門チームが監修・作成しています。実務上よくあるトラブルや、裁判事例に基づいたポイントを反映しており、日常の金銭貸借や物品のやりとりにも安心して使えます。