「借りた・貸した」のトラブルを未然に防ぐなら、借用書を正しく作成すべきです。
この記事では、中小企業の業務支援・契約文書の作成支援に10年以上携わってきた筆者が、個人間・法人・物品・利息の有無などさまざまな状況に対応した借用書テンプレートをご紹介します。
すべて無料・登録不要でWord・Excel形式にてダウンロード可能です。実務で使える書き方の注意点や失敗例、カスタマイズのコツもあわせて解説します。
借用書テンプレート一覧
利息なしの借用書
金銭の貸し借りをする場合の借用書テンプレートです。excel、word形式でそれぞれ無料ダウンロードが可能です。項目やレイアウト自体はどれも同じなので使い慣れたファイル形式で利用してください。
分割返済

家族・知人間での貸し借りに使えるシンプルな借用書。返済期日を具体的に明記することでトラブル防止につながります。
このテンプレートの活用ポイント
- よくある実務例: 家族や知人から10万円~50万円を数ヶ月に分けて返す契約に多く使われます。
- カスタマイズ例: ボーナス月に多めに返済するなど、返済額の変動がある場合は、返済スケジュール欄を追記してください。
- 注意点: 金額は書いたけれど、返済期限が曖昧でトラブルになったケースがありました。返済日付は具体的に書きましょう。
一括返済
連帯保証人あり
無担保
利息あり
一括返済
利息ありで、借金を一括で返済する場合の金銭借用書テンプレートです。
分割返済
利息ありで、分割返済を行う際の借用書テンプレートです。
遅延損害金あり

個人間で金銭を借用できる書類で、利息あり・遅延損害金ありの文言になっています。返済方法は自分で設定してください。
このテンプレートの活用ポイント
- よくある実務例: 利息付きの貸付や、分割返済で「万が一の遅延」に備えて損害金条項をつけるケースが多くなっています。
- 注意点: 利率が高すぎると利息制限法違反になる場合があります。金額や期間に応じて、法定利率に注意しましょう。
- カスタマイズ例: 遅延が発生した場合のペナルティ条項(例:「1日あたり〇円加算」など)を明確に記載しておくと安心です。
連帯保証人あり

個人間で金銭を借用できる書類で、利息あり・遅延損害金ありです。下部の署名欄には、本人と連帯保証人の住所、氏名、押印をする項目が設定されています。
このテンプレートの活用ポイント
- よくある実務例: 友人同士や親族間でまとまった金額を貸す際に、「保証人がいないと不安」という相談が多く、連帯保証人をつけるケースが増えています。
- 注意点: 連帯保証人の署名や押印が抜けていたため、後に「保証した覚えがない」と主張されるトラブルも発生しています。
- カスタマイズ例: 保証人が複数いる場合は、署名欄をコピーして増やすことが可能です。住所・電話番号も併記しておくと、後の連絡がスムーズです。
家族間(親子)
家族や兄弟の間であっても借用書を作ることは必要です。身内だからといって借用書をつくらないと大きなトラブルに発展することもあります。
また、税務署から「贈与」とみなされることもあります。家族間であっても年間110万円以上の金銭の移動は贈与税がかかりますので、きちんと借用書をつくっておくと安心です。
家族間であっても借用書の書式は、個人間のテンプレートと同じです。特に金額や返済期日、利息、返済の方法を記述したおかないと贈与ととられることがあるので年5%程度でも利息をつけておくことが望ましいです。

個人間と特に変わりはありませんが、利息、返済期限、返済方法を決めて家族間でも使用できる形式になっています。
このテンプレートの活用ポイント
- よくある実務例: 親からの学費援助や生活費の立替など、家族間での貸し借りは金額が大きくなりがちです。
- 注意点: 借用書がないと「贈与」とみなされて贈与税の対象になる場合があります。110万円以上の金銭のやりとりは特に注意。
- カスタマイズ例: 書式は個人用と同じでOKですが、できれば利息(年5%程度)や返済時期も記載して、第三者に見せても不自然でない内容にしましょう。
法人用
会社と個人でやりとりする法人用の借用書テンプレートです。個人間のテンプレートとデザインやレイアウトに大きな違いはありませんが、借りる宛先が法人名(代表者名)になっています。
また収入印紙を貼付する欄がありますが、1万円未満の場合は必要ありません。

法人・会社から借金をする場合の借用書テンプレートです。個人間での借用書と大きく違いはありませんが、あて先が会社名、代表取締役となっているところが異なります。
このテンプレートの活用ポイント
- よくある実務例: 役員からの会社への貸付、または社員への立替金支給など、法人と個人の間で金銭が動く場面で使用されます。
- 注意点: あて先は「会社名+代表者名」にしないと正式な契約と見なされないことがあります。また、1万円を超える場合は収入印紙の貼付も必要です。
- カスタマイズ例: 債務者欄や返済条件に「会社名+担当者名」を明記し、社判(角印)を押す欄を追加しておくと、信頼性が高まります。
会社と社員間での借用書については以下国税庁のページが参考になります。
国税庁:会社と社員の間で作成される借入申込書、金銭借用証書
物品借用書
物品借用書では、金銭の借用書と記入する項目が変わります。使用期間(返却日)、物品名、使用目的などが必要です。特に他の条件がある場合はそれも明記しておきます。
鍵借用書
借用書の基礎知識:借用書/契約書/公正証書・利息・印紙税の要点
借用書を作成する際には、基本的な用語や制度を理解しておくと役に立ちます。ここでは実務でよく登場する要点を整理しました。
- 借用書:
借り手中心の簡易書面。少額・短期向け - 金銭消費貸借契約書:
貸し手・借り手双方が署名する正式契約 - 公正証書:
裁判不要で強制執行できる契約書 - 利息・遅延損害金:
必ず数値・条件を明確にする - 印紙税:
契約金額帯で異なるため最新表を確認 - 保証・担保:
保証人の署名や押印の有無が大きな違いに
ひと目で分かる比較表(用途別:金額・期間・保証)
借用書か契約書か、公正証書まで必要かは、状況によって異なります。以下の比較表で適切に選んでください。
用途 | 推奨書式 | 金額・期間 | 保証/担保 | 執行力 | 注意点 |
---|---|---|---|---|---|
個人間少額 | 借用書 | 短期・小口 | 任意 | なし | 返済期日や利息を特定 |
大口・長期 | 契約書 | 中~大口 | 保証推奨 | なし | 条項粒度に注意 |
確実に回収したい | 公正証書 | 大口・長期 | 保証推奨 | あり | 費用・本人確認が必要 |
実務で多いミスとトラブル事例(防止策付き)
実際の現場でよくある失敗やトラブル事例です。防止策と合わせて参考にしてください。
よくあるミス
- 返済期日の曖昧記載(「月内」など)日付を特定し、支払方法・口座も本文で明示
- 利息・遅延損害金の抜け。計算根拠・起算日・上限に配慮して条文化
- 連帯保証人の署名・押印抜け。住所・氏名・押印・連絡先・生年月日まで記載
- 家族間で条件が曖昧。利息・返済実態がないと贈与疑義を招く
- 印紙の貼り忘れ・消印漏れ。金額帯ごとに貼付額を確認
再発防止の編集ポイント
- 冒頭で金額・返済期日・方法・利息・遅延損害金・保証の有無を一覧化
- 分割は「回数・各期日・支払間隔・最終期日」を表形式で明記
- 期限の利益喪失・通知方法・振込手数料負担・反社会的勢力排除等の条項を整備
- 原本部数と保管方法(各1通)を明示。写しの扱いも定義
参考:公式ガイド・法令リンク集
最新の正確な情報については、以下より取得することはできます。
借用書のよくある質問
まとめ
本記事では、借用書テンプレートを利息の有無、分割・一括、連帯保証人の有無、物品貸借、法人対応など豊富なパターンでご紹介しました。すべて無料でダウンロード可能です。
実務経験に基づいた注意点や、カスタマイズのヒントも紹介しており、初めての方でも安心して借用書を作成できます。ぜひ、契約内容に合わせたテンプレートを活用し、金銭・物品の貸借トラブルを未然に防ぎましょう。
借用書PDF作成ツール
本テンプレートは、企業間契約書や個人間契約支援を長年行ってきた業務サポート専門チームが監修・作成しています。実務上よくあるトラブルや、裁判事例に基づいたポイントを反映しており、日常の金銭貸借や物品のやりとりにも安心して使えます。