この記事では、個人間・家族・友人・法人などのさまざまなケースに対応した借用書テンプレート(Word・Excel形式)を無料配布しています。利息あり/なし、連帯保証人付き、一括返済・分割返済など目的別のひな形を見やすくまとめています。

すべてのテンプレートが無料・登録不要でダウンロード可能です。実務で使える書き方の注意点や失敗例、カスタマイズのコツもあわせて解説します。

※ 本ページは「借用書(簡易書式)」の配布と解説に特化します。契約書・公正証書は別ページで解説。

【実務経験コメント】
この記事では、中小企業の業務支援・契約文書の作成支援に10年以上携わってきた筆者が、個人間・法人・物品・利息の有無などさまざまな状況に対応した借用書テンプレートをご紹介します。
【更新情報|個人間は全点フォーム化】
個人間向けの借用書テンプレートに、フォーム入力できるPDF版(記入欄が入力可能)を追加しました。
PC/スマホで直接入力→保存・印刷が可能です。(署名は手書き or 電子署名運用)

借用書テンプレート(Excel・Word)

個人間

友人・知人など個人同士の金銭貸借向けです。全テンプレートでPDFフォーム入力(入力保存・印刷)が可能になりました。スマホ/PCで直接入力し、確定後に印刷またはPDF保存してください(署名は手書き or 電子署名で運用)。

個人間|無利子・分割返済
返済回数・各期日・最終期日を表で明記
PDFフォーム入力可
  • 分割表に回数/各期日/最終期日/間隔を固定
  • 本文に年利0%(無利息)支払方法(振込先)を特定
  • 期限の利益喪失通知方法は簡潔な条項で追記可
個人間|無利子・一括返済
一括返済日に合わせ、支払方法(振込先)を本文で特定
PDFフォーム入力可
  • 返済日を特定日で明記(「月内」など曖昧表現は避ける)
  • 年利0%を本文に記載し、遅延時の扱いは遅延損害条項で補完
  • 原本部数や保管方法(各1通)を明記し、受領確認を残す

個人間|利息あり・一括返済
利率・起算日・計算方法を本文で特定
  • 利率・起算日・計算方法(年365日/単利等)を本文に記載
  • 返済日遅延は遅延損害金で明確化(年◯%など)
  • 利息制限法の上限に配慮(高利はNG)

個人間|利息あり・分割返済
利率・起算日・計算方法を本文で特定
PDFフォーム入力可
  • 分割表に回数/各期日/間隔/最終期日を明記
  • ボーナス月加算など可変返済は備考欄に
  • 利息の課金ルール(単利/複利)と遅延時の扱いを記載

個人間|連帯保証人あり
保証人の署名・押印・住所・生年月日・連絡先を明記
PDFフォーム入力可
  • 保証人欄を複数人に対応(署名欄の複製可)
  • 保証の範囲(元本・利息・損害金・費用)を本文で包括特定
  • 保証人の本人確認(運転免許等)の取得・保管を推奨

友人間(合意文例つき)

友人関係間での借用書は、信頼関係を保ちつつ、返済条件を明確化します。連絡ルールや返済確認の方法も記載しておくと安心です。

推奨の文例:
返済計画の変更がある場合は、返済期日の7日前までに協議の上、書面(メール可)で定める。
LINEやメールの送受信記録、送金履歴のスクリーンショットを保管する。
友人間|合意文例あり
分割返済・利息なし
  • 連絡手段(メール/LINE)と合意の残し方を本文に明記
  • 柔軟な変更は書面合意の前提で運用(期日7日前の協議)
  • 返済の受領確認(領収欄/受領書)で後日の齟齬を防止

家族間(贈与とみなされない書き方)

親子・兄弟間でも書面化しておいた方が安心です。利息や返済期日を明示し、贈与と誤解されないようにします。

No.4420 親から金銭を借りた場合 - 国税庁

家族間でも書式は個人間と同様です。特に金額・返済期日・利息・返済方法を明示し、可能なら年1〜5%程度の利息を設定して返済実態を残します。

家族向け|利息明記・分割返済
利息(目安 年1~5%)・返済期日・返済方法を明記
  • 本文に贈与ではなく貸付である旨を明記
  • 返済スケジュール表で実態を可視化(通帳記録の保存推奨)
  • 印紙税受領確認の運用をページ内リンクで案内

【家族】贈与誤認を避ける書き方(親子・兄弟)

  • 利息明記:
    目安 年1~5%(年利0%=無利子の場合も「利息なし」と明記)
  • 返済期日:
    最終期日と分割表(回数・各期日)を表で記載
  • 振込記録:
    返済の都度、日時・金額を残す運用に
記載サンプル
利息:年3.0%
返済方法:毎月25日、均等分割×12回
最終期日:2026年3月25日

無利子(利息なし)|年利0%の注意点

利息0%でも、返済期日や遅延時の扱いは明確にします。贈与と誤解されないよう本文で0%を明記します。

  • 表記:
    本文に「利息なし(年利0%)」と明記
  • 遅延損害:
    無利息でも遅延損害は別途規定可(年◯%/1日◯円)
  • 分割時:
    回数・各期日・最終期日・間隔を表で固定
無利子・連帯保証人あり
利息なしで連帯保証人をつける設定
  • 本文に年利0%を明記し、遅延損害は別条項で定義
  • 保証人の署名・押印・住所・連絡先・生年月日を必須化
  • 保証の範囲(元本・利息・遅延損害・諸費用)を包括記載

無利子・無担保
無利息・無担保で貸し付ける記載
  • 本文に年利0%無担保を明記(贈与誤解の回避)
  • 返済方法(口座/手渡し)と受領確認のルール化
  • 一括/分割いずれも期日を特定し曖昧な言葉にしない

無利子(利息なし)の借用書|年利0%の注意点

  • 表記:
    「利息なし(年利0%)」を本文に明記
  • 遅延損害金:
    無利息でも遅延損害は別建てで規定可(年◯%/1日◯円)
  • 分割時:
    回数・期日・最終期日・間隔を表で固定

物品・鍵借用書

物品や鍵などの借用書は、金銭用とは必要項目が異なります。返却期限・使用目的・物品名・鍵番号などを確実に記載しましょう。

物品用
借用期限や物品名、使用目的
  • 返却日・物品名・台数・付属品・特記事項を記載
  • 破損・紛失時の負担や無断転貸禁止を本文に明記
  • 受渡・返却の署名欄で引継ぎの証拠を残す

鍵用
鍵番号・返却期日・管理者署名
  • 鍵番号・用途・返却期日・無断複製禁止を明記
  • 受渡/返却で二重署名(貸出者・借受者)
  • 紛失時の交換費負担などの取決めを追記

法人・会社向け

会社などの法人相手の貸借では宛先と印紙の扱いに注意。会社名+代表者名、社判欄の追加で信頼性を高めます。

法人・会社用
宛先は会社名+代表者名。社判欄の追加で信頼性UP
  • 宛先を会社名+代表者名で明記(部署・役職も可)
  • 収入印紙の要否と消印の運用を注記
  • 社内稟議・回覧のため控え欄/社判欄を追加

借用書の基礎知識:借用書/契約書/公正証書・利息・印紙税の要点

借用書を作成する際には、基本的な用語や制度を理解しておくと役に立ちます。ここでは実務でよく登場する要点を整理しました。

  • 借用書
    借り手中心の簡易書面。少額・短期向け
  • 金銭消費貸借契約書
    貸し手・借り手双方が署名する正式契約
  • 公正証書
    裁判不要で強制執行できる契約書
  • 利息・遅延損害金
    必ず数値・条件を明確にする
  • 印紙税
    契約金額帯で異なるため最新表を確認
  • 保証・担保
    保証人の署名や押印の有無が大きな違いに

ひと目で分かる比較表(用途別:金額・期間・保証)

借用書か契約書か、公正証書まで必要かは、状況によって異なります。以下の比較表で適切に選んでください。

用途 推奨書式 金額・期間 保証/担保 執行力 注意点
個人間少額 借用書 短期・小口 任意 なし 返済期日や利息を特定
大口・長期 契約書 中~大口 保証推奨 なし 条項粒度に注意
確実に回収したい 公正証書 大口・長期 保証推奨 あり 費用・本人確認が必要

実務で多いミスとトラブル事例(防止策付き)

実際の現場でよくある失敗やトラブル事例です。防止策と合わせて参考にしてください。

よくあるミス

  • 返済期日の曖昧記載(「月内」など)日付を特定し、支払方法・口座も本文で明示
  • 利息・遅延損害金の抜け。計算根拠・起算日・上限に配慮して条文化
  • 連帯保証人の署名・押印抜け。住所・氏名・押印・連絡先・生年月日まで記載
  • 家族間で条件が曖昧。利息・返済実態がないと贈与疑義を招く
  • 印紙の貼り忘れ・消印漏れ。金額帯ごとに貼付額を確認

 

再発防止の編集ポイント

  • 冒頭で金額・返済期日・方法・利息・遅延損害金・保証の有無を一覧化
  • 分割は「回数・各期日・支払間隔・最終期日」を表形式で明記
  • 期限の利益喪失・通知方法・振込手数料負担・反社会的勢力排除等の条項を整備
  • 原本部数と保管方法(各1通)を明示。写しの扱いも定義

参考:公式ガイド・法令リンク集

最新の正確な情報については、以下より取得することはできます。

 

借用書のよくある質問

借用書と金銭消費貸借契約書の違いは何ですか?
借用書は借り手が「借りました」と記載する簡易的な書類です。一方、金銭消費貸借契約書は貸し手・借り手双方が署名し、契約内容を詳細に記載する正式な契約書です。高額や長期の貸し借りでは契約書の方が安心です。
借用書には収入印紙は必要ですか?
1万円以上の金銭の貸借契約を証明する借用書には収入印紙が必要です。1万円未満は不要ですが、貼り忘れると過怠税が課されるため注意してください。
借用書に実印や印鑑証明は必要ですか?
通常の借用書では認印や署名だけでも有効です。ただし、公正証書にする場合は実印と印鑑証明書が必要になります。強制執行力を持たせたい場合は公正証書化がおすすめです。
借用書を後から作成しても効力はありますか?
はい、後日作成しても効力はあります。ただし、条件の認識違いが生じやすいため、貸すタイミングで作成するのが望ましいです。
借用書はPDF形式でも有効ですか?
PDFでも有効ですが、改変できないため編集が必要な場合はWordやExcel版を使用し、最終版をPDFに変換するのがおすすめです。
借用書に利息や返済方法は必ず書かないといけませんか?
必須ではありませんが、利息・返済日・返済方法を明記することで、贈与とみなされるリスクや返済トラブルを防げます。特に家族間では利息を年5%程度に設定するのが無難です。
借用書を弁護士や公証人に確認してもらうべきですか?
必須ではありませんが、金額が大きい場合や法人間契約では専門家にチェックしてもらうことで法的トラブルの予防につながります。
借用書をカスタマイズしても大丈夫ですか?
はい。金額・返済方法・連帯保証人の有無など契約内容に応じて修正してください。自分用にカスタマイズすることで、より実務的に使える書類になります。
フォーム入力できるPDFはスマホでも使えますか?
多くのスマホ端末で入力・保存が可能です。入力後はPDFのまま保存するか、印刷して署名欄に手書きサインしてください。電子署名を使う場合は対応アプリの署名機能を使います。
WordやExcelを使わずに作成できますか?
はい。フォームPDF版はアプリ不要で入力→保存が可能です。編集や項目の追加が必要な場合はWord/Excel版で編集し、最終版をPDF化してください。
PDFフォームと通常PDFの違いは何ですか?
PDFフォームは各項目に入力欄が設定されており、直接タイピングできます。通常PDFは印刷前提の固定書式です。

まとめ

本記事では、借用書テンプレートを利息の有無、分割・一括、連帯保証人の有無、物品貸借、法人対応など豊富なパターンでご紹介しました。すべて無料でダウンロード可能です。

実務経験に基づいた注意点や、カスタマイズのヒントも紹介しており、初めての方でも安心して借用書を作成できます。ぜひ、契約内容に合わせたテンプレートを活用し、金銭・物品の貸借トラブルを未然に防ぎましょう。

Word/ExcelなしでもOK:
スマホ/PCで直接入力できるPDFフォーム版を配布中。
さらに自由度高く作成したい場合は 借用書PDF作成ツール もご利用ください。
監修・作成者について:
本テンプレートは、企業間契約書や個人間契約支援を長年行ってきた業務サポート専門チームが監修・作成しています。実務上よくあるトラブルや、裁判事例に基づいたポイントを反映しており、日常の金銭貸借や物品のやりとりにも安心して使えます。