行政手続きや車の名義変更など、自分に代わって誰かに手続きを依頼したいときに必要なのが「委任状」です。
私たちは、これまで中小企業支援や、中古車販売業向けシステム、自治体向け文書作成のサポート業務で数多くの委任状を作成してきました。このページでは、実際の業務経験をもとに用途別に使えるテンプレートを紹介します。
委任状テンプレート一覧【用途別】
一般用(汎用タイプ)
委任状の使い方が決まっていない場合や、フォーマットの指定がないときに便利な一般的な委任状です。
身分証明・税関連手続き用
行政手続きでよく使われる課税証明書や住民票などの取得時に必要な委任状です。
納税証明・住民票の委任状
納税証明・住民票を請求する場合に使用する委任状テンプレートです。
引っ越し・印鑑登録関連
転入届・転出届や印鑑登録など、転居や公的証明の手続きに使います。
自動車手続き用(名義変更・抹消・車庫証明)
国土交通省のフォーマット準拠。Excel版で行追加や文字サイズ調整もしやすく、実務でも頻繁に使われています。
国土交通省で発行されているPDFの委任状と内容は同じです。
国土交通省:自動車 登録手続き
自治会・町内会用
総会や決議事項で使用する委任状です。会員名簿や議題欄を増やすなど、自治体別のカスタマイズが可能です。
委任状の記入例と解説
委任状には「委任者」「代理人」「委任内容」「日付」などが必要です。書き方を誤ると受理されないこともありますので、記入例を参考に作成してください。

- 代理人(頼まれた人)
- 委任の内容
- 委任日
- 委任者(頼む人)
手続きなどを代行してもらう人の住所や氏名を記載します。役所によっては生年月日や委任者との関係を記載させることもあります。
どのような手続きについて委任するかを記載します。証明書などの「取得」や手続きなど、委任する目的に合わせて記載します。
委任を行った日を記載します。通常は委任状を作成した日になります。
委任を頼む人(本人)の住所や氏名、生年月日を記載します。電話番号が必要な場合と不要な場合がありますが、書類に不備があった場合などに連絡をしてくれる自治体などもあるので念のため記載しておいた方がいいでしょう。
※署名欄は自治体によって自筆必須のケースがあります。
委任状でよく使われる関連キーワード
委任状に関連する用語は行政手続きや契約ごとに若干異なります。検索や実務で混同しやすい用語を整理しておくと役立ちます。
- 委任者:
手続きを依頼する本人 - 代理人:
委任を受けて手続きを行う人 - 委任内容:
住民票取得、課税証明書請求、車庫証明など具体的な手続き - 署名・押印:
ほとんどの機関で自筆署名と印鑑が必須 - 有効期限:
一般的には3か月以内が目安 - 証明書:
住民票、課税証明書、納税証明書など、委任で代理取得する書類
委任状作成時の注意点【トラブルを防ぐために】
委任状は、自分の権限を代理で渡す文書なので、間違って作成すると大きなトラブルになることもあります。そこで、委任状を作成する際の注意点について解説します。
勝手に修正されるリスクがあります
パソコン文字はNGのことも
勝手な追記を防ぐため
内容を自由に書かれる危険があります
改ざんの確認や再発行時に必要
古すぎると無効になることも
実務でよくあるミスとトラブル事例
委任状は記入方法を誤ると受理されないこともあります。以下は実務で実際に起きたケースの紹介です。
- 印鑑欄の不足:
役所で「押印欄が足りない」と差し戻された - 白紙委任状の提出:
記入されていない欄に勝手に内容を加筆された - 委任内容が曖昧:
「証明書の取得」とだけ記載して不受理となった - 古い日付のまま提出:
発行から半年以上経過しており、無効にされた
→ これらの失敗を避けるには、必ず「署名は自筆で」「具体的に手続き名を記載」「余白には『以下余白』と記載」などの基本ルールを守る必要があります。
よくある質問(FAQ)
公式資料・参考リンク
委任状の様式や必要条件は、自治体や行政機関によって異なります。以下の公式ページを確認すると安心できます。
公式資料を確認し、最新情報に基づいて委任状を作成することをおすすめします。
最新制度・電子申請との対応
最近では、マイナンバーカードや電子署名を活用した行政手続きが増えています。特に住民票や課税証明書の取得は、マイナポータルを利用すれば本人がオンライン申請できるケースもあり、委任状が不要になる場合があります。
ただし、すべて電子申請に対応しているわけではなく、車庫証明や自動車登録などは紙の委任状が必要です。最新の情報を確認し、委任状が必要かどうか判断しましょう。
- マイナポータルによる証明書の電子申請
「住民票の写し」や「戸籍謄本」などをマイナポータルで申請し、郵送による交付を受けることができる自治体があります。電子データそのものの交付ではありませんが、委任状が不要になるケースもあります。 - eLTAX(地方税共同機構)の電子委任状対応
法人などが代表者に代わり代理人が電子申請する場合、電子的に委任関係を証明する「電子委任状」で対応可能です。 - e-Gov電子申請における電子署名の要件
代理人が電子申請する際には、本人および代理人両名の電子証明書(電子署名)が求められる制度もあります。 - 戸籍電子証明書の利用による紙提出不要化
行政機関間で電子的に戸籍情報がやり取りされるようになり、紙の戸籍謄本を提出する必要がなくなるケースがあります。
まとめ
委任状は本人に代わって手続きを行える便利な書類ですが、取り扱いを誤ると重大なトラブルの原因になることもあります。
このページで紹介したテンプレートや記入例、注意点を参考に、用途に合った正しい委任状を作成してください。
制作者コメント
このテンプレートは、行政書士事務所や中小企業の業務支援において、実際に使用・改善を重ねて作成しました。特に「印鑑欄が足りない」「行の追加が必要」「自治体によって様式が異なる」といった現場の声を反映しています。
用途に合わせて柔軟に編集できるように、Word/Excel形式のテンプレートも用意しています。今後も必要な場面で安心して使えるよう、わかりやすく・正確なフォーマットを提供していきます。