顛末書の作成は、企業でトラブルやミスが発生した際に求められる重要な業務対応の一つです。私たちは、中小企業や自治体での文書作成支援・社内文書の整備に多数携わってきた経験から「実務で本当に使える顛末書テンプレート」を紹介しています。
このページでは、社内・社外向けにすぐに使える顛末書フォーマットを、実際の業務で起きやすいケース(納期遅延・備品紛失・交通事故など)別に紹介し、書き方のコツや注意点、よくある失敗例なども解説します。
実際に社内のシステムトラブルや納品ミスなどの対応で、何度も顛末書を作成してきました。
特に“何が起きて、なぜ起きたのか”を時系列で整理しながら書くことが、上司や関係部署に正確に伝えるために重要だと感じています。
顛末書テンプレート(例文集)
トラブルごとの顛末書テンプレートです。テンプレートにはサンプル例文が記載されているので、自分が作成する顛末書に近いテンプレートをダウンロードして活用してください。社内向けと社外向け、各トラブル別になっています。
メール不具合
ネットワークの不具合により、メール送受信のトラブルが起こった場合の顛末書です。トラブルの発生期間や状況、原因、現況、対策などを記載します。
・「トラブル発生日時」「復旧日時」「影響を受けた部署・顧客」を追記する欄を追加
・メールログや通信障害の報告書を添付用に
社内システムのトラブル
社内システムがダウンしたことにより、社内ネットワークの調査や原因について報告します。
・「障害の範囲」「復旧までの対応者」「一時的な対応策」の項目を追加
・ネットワーク図などを添付資料として活用
納期遅延
商品の納期が遅延してクレームになった場合の顛末書のテンプレートです。例文では、大規模な地震による物流ストップによる遅延という設定になっています。
・「本来の納期」「実際の納期」「顧客対応の履歴」を追記できる表を挿入
・原因欄に「外部要因」「社内原因」に分けた書き分け
交通事故
自分が社用車で交通事故を起こして車両破損してしまったときの顛末書(交通事故報告書)です。謝罪の文を書きがちですが、あくまでも顛末書は詳細の説明と対策が中心です。
・「発生日時・場所」「警察への届け出番号」「損害の状況」欄を追加
・事故状況図を手書きで添付できるスペースを設ける
部下の交通事故
部下が起こした交通事故について上長が責任者として顛末書を書くこともあります。その場合は、具体的に事実を報告し、今後どのように指導するかという対策を最後に記載します。
・「事故を起こした社員の氏名」「指導内容」「再発防止策(教育計画)」欄を追加
・本人作成の報告書を別紙として添付できる記載を追加
備品の紛失
会社から支給されている備品を紛失した場合の例文サンプルです。鍵や社員証など紛失して困る備品の場合は、再発防止のために顛末書の提出を求められる場合があります。文例を少し修正すれば書類紛失などにも使えます。
・「紛失した物品名」「管理番号」「発見された場合の対応先」などの欄を設ける
・再発防止のためのチェックリスト欄を追加
遅刻
遅刻をしてしまった場合の顛末書の例文です。寝坊や交通渋滞など遅刻理由についてはさまざまですが、遅刻をした原因と対策が上司や会社に納得されるように記載します。
・「遅刻の理由」「予定時刻」「実際の到着時刻」欄を追加
・定期的に遅刻がある場合は「今後の対策プラン」欄を記入形式で用意
器物破損
会社から支給されている携帯電話を水没して破損してしまった時の顛末書の例文です。破損した原因や今後の対策について記載してあります。
・「破損した機器名」「原因(落下・水没など)」「修理または交換の予定」欄を追加
・破損した状況を図で記入できる枠を追加
顛末書の書き方
顛末書の提出を会社から指示されるのは、発注ミスや納品ミス、システムの不具合や交通事故など業務において何らかの不具合が起き、会社に損害を与えてしまった場合です。
顛末書の目的は、謝罪でなく状況の説明や原因と対策といった今後のための記録と考察なので、抽象的な内容ではなく具体的に起こった事実と状況を分析した上での報告者の考えを中心にします。
また、記録として残すという側面も大事なため、なぜその不具合が起こったかの因果関係がわかるように順序だててまとめることも必要です。
社内向けフォーマット
顛末書のフォーマットは、特に決まっているわけではありません。会社に規定のフォーマットがあればそれを使用してください。
一般的な社内向けの顛末書のフォーマットとしては、提出日(作成日)、宛先、提出者、タイトル、内容があればいいでしょう。それぞれの意味について説明します。
提出日
顛末書を提出する日付です。日付の指定がある場合はそれに従います。
宛先
顛末書を提出する人の役職と氏名です。社内向けでは所属(役職)と氏名だけでいいでしょう。
誰宛にするかは、社内規定に従います。
提出者
顛末書を作成した人の所属と氏名です。押印は会社によって違います。
作成時に聞いておきましょう。
タイトル
顛末書とだけ書きます。一般的にはタイトルには何に対する顛末書か書書ないことが多いです。
内容
顛末書のフォーマットとしては、何の顛末書かの概要を書いてから、記~以上に状況や原因を記載していきます。具体的に何を書くのかは、顛末書の種類によってかわるので例文を見て参考にしてください。
社外向けフォーマット
顛末書は、通常は社内向けの文書なので社外に提出するということはあまりありません。(社外へは始末書や謝罪文、改善報告書などの文書を作成する)
しかし、社外へ顛末書を作成する場合もまれにあります。その場合の顛末書のフォーマットは、社内向けとほとんど同じです。
社外向けで大きく異なるのは簡単な挨拶文を入れること、トラブルの内容によってはお詫びの言葉を入れることです。
社内・社外別の顛末書ひな形
内容や例文のない標準的な顛末書のひな形です。書式やレイアウトだけ必要で内容は自分で1から書く場合に利用できます。社内用と社外用は、宛先や自社の情報の違いだけです。
社内への顛末書の場合は、上部に提出先の部署(役職)、自分の所属と氏名、顛末書のタイトルの直下にこの文書の説明、状況や原因、対策などを具体的に記述していきます。
よくあるミス・注意点
顛末の記述が感情的・抽象的で、読んでも状況が伝わらない
宛名や日付の記入漏れ
フォーマットが社内規定と合っていない
よくある質問 FAQ
顛末書まとめ
今回は、不祥事が起こった状況や内容別に顛末書のテンプレートを紹介しました。
自分が顛末書を書く内容と完全に同じ例文テンプレートというのは、まずありません。そのため、ある程度近い内容の例文を探して自分の状況や原因に書き替えて作成するのがいいでしょう。
顛末書や始末書などの反省文は提出を求められたら早く作成した方が評価を得られます。是非テンプレートを参考にして顛末書を作成してください。
また、顛末書に似た文書として始末書があります。ミスに対する謝罪には始末書の方が適しているのでそちらも検討してください。
始末書の書き方やテンプレート