研修報告書は、単なる「感想文」ではなく、学んだ内容を組織の成長につなげるための経営資料です。
この記事では、企業研修・新人研修・専門職研修など累計1,000件以上の実務監修を行ってきたビジネス文書専門チームが、「成果が伝わる研修報告書」の書き方と無料テンプレート(Word形式)を公開します。
そのまま社内提出に使えるフォーマットと、実際の報告書例文をセットで掲載しているため、初めて作成する方でも短時間で完成度の高い報告書を作ることができます。
研修報告書とは?目的と役割を簡潔に解説
研修報告書とは、研修を受けたあとに学んだこと・感じたこと・今後の行動計画をまとめる文書です。
「どんな内容を学び、それをどう業務に活かすか」を上司やメンバーに伝えることで、研修の成果を共有し、組織全体の成長につなげます。
なぜ研修後に報告書が必要なのか
研修後に報告書を提出する目的は、学びを行動に変えることにあります。報告書を書くことで、受講者は「何を学び」「どう活かすか」を言語化でき、知識が定着します。
さらに、上司や人事担当者が内容を読むことで、
- 研修効果を定量的に評価できる
- 他の社員への共有・展開がしやすくなる
といった組織的なメリットも生まれます。
社内研修・社外研修での違い
研修報告書は、実施場所や目的によって書く内容の重点が変わります。
- 社内研修の場合
社内で行われるため、業務に直結する内容が多くなります。「学んだことをどう仕事に反映するか」「チームにどう共有するか」を中心にまとめましょう。 - 社外研修の場合
他社の講師や外部機関で学ぶ場合は、自社との違いや新しい視点をどう持ち帰るかがポイントです。「他社で学んだ事例」「社内に取り入れたい考え方」などを具体的に記載します。
どちらの場合も、ただ内容を報告するだけでなく、今後の業務改善につながる学びを明確に書くことが大切です。
研修報告書の書き方5ステップ
研修報告書は「目的 → 内容 → 成果 → 活用提案 → まとめ」の順で書くと、短時間で読みやすく整理できます。以下の5ステップに沿って、テンプレートへ順に入力していきましょう。
① 目的を明確に書く
- 受講の背景や狙いを一文で
- 誰のための研修か、達成したい状態を具体化
- 例文:新人対応力を上げるため、クレーム対応を体系的に習得する
コツ:目的は成果とつながる表現にする。(例:〜を習得し、初動対応時間を短縮する)
② 研修内容を時系列で整理
- 研修名、実施日、主催者・講師、会場・形式(対面・オンライン)
- 午前・午後などの時系列で要点を箇条書きにする
- 演習やロールプレイは目的や学びのポイントも併記する
型:日時 → テーマ → 実施内容 → 使った資料やツール → 重要ポイント。
③ 成果・学びを定量的に表現
- 行動変化や数値で成果を示す(例:応対時間15%短縮)
- 業務KPIとの関係を明確にする(例:一次解決率、提案同意率など)
- 事実と所感を分けて記述する
例:研修前後の数値比較、テストスコア、ロープレ評価、顧客満足アンケート。
④ 業務への活用・改善提案を書く
- 明日から実施する具体的アクションを記載
- チーム展開方法や標準化の提案を入れる(ミニ勉強会、チェックリスト化)
- 必要な支援やリソースも明記する(ツール導入、時間確保、評価軸)
SMARTの要件(具体的・測定可能・達成可能・関連性・期限)で書く。
⑤ 上司が読みやすいまとめ方
- 冒頭に結論要約を3行で置く(目的/成果要点/次アクション)
- 見出しと箇条書きでスキャンしやすくする
- 1〜2ページに収め、別紙に詳細(配布資料、測定データ)を添付
チェック:主語と時制は統一、専門用語は注記、図表はキャプション付き。
研修報告書テンプレート【無料ダウンロード】
実務で使いやすいWord形式の研修報告書テンプレートです。以下のテンプレートをカスタマイズして、すぐに研修報告書を作成できます。
社内研修報告書 汎用テンプレート01
空欄版(記入用)
例文入り見本
社外研修報告書テンプレート02
例文入り見本
空欄版(記入用)
目的・職種別の研修報告書テンプレートと例文集(無料ダウンロード)
以下では、実務で使える職種別・目的別の研修報告書テンプレートを無料配布します。管理職研修・新人研修・医療職・教育職・オンライン研修など、用途に合わせて選べます。
管理職研修用 研修報告書テンプレート(例文付き)
オンライン研修用 研修報告書テンプレート(Web受講対応)
新人研修用 研修報告書テンプレート
栄養士・医療職用 研修報告書テンプレート
保育士・教育職用 研修報告書テンプレート
研修報告書チェックリスト(Word/PDF)
実務で差がつく研修報告書のコツ
「読んだ人がすぐ動ける」ようにするのが、評価される報告書です。数値・具体例・次アクションを明確にし、個人の学びをチームの成果へつなげましょう。
定量的に成果を記述する
- ビフォー/アフターで比較
研修前後の数値を並べる(例:一次対応時間 8分 → 6分/−25%)。 - KPIに紐づける
自部署の主要指標で示す(例:一次解決率、提案件数、応対満足度CS、エラー率)。 - 短期・中期の目標
今週の改善目標/今月の到達目標を分けて記載。
学んだ内容を業務課題に結びつける
- 課題→原因→学び→打ち手の順でつなぐ(ロジックが明快)。
- 業務シーンで具体化:いつ・誰が・どのプロセスで活かすかを明示。
- 前提と制約:実行に必要な権限・時間・ツールを併記し、現実的にする。
現状課題:初回商談でニーズ深掘り不足 → 成約率が低い
原因:質問が表面的で、課題の優先度を特定できていない
研修で得た解法:SPIN質問で“問題→示唆→価値”を段階的に引き出す
適用:毎週火曜の初回商談で質問リストを使用(担当:A・B・C、対象:新規案件)
研修内容をチーム共有資料に活かすポイント
- 1枚サマリ
目的・重要ポイント3つ・実行チェックリストの3ブロック構成。 - 再現可能な形式
質問リスト、手順書、チェックリスト、テンプレ化して配布。 - 小さく回すPDCA
週次で1項目だけ導入→効果測定→改善の順で継続。
タイトル:クレーム初期対応の標準手順(v1.0)
行動チェック:
・3分以内に一次レスを返す/・事実→感謝→解決策の順で返答/・必ず相手の意図を言い換えて確認
測定:一次対応時間、再問い合わせ率/レビュー:金曜夕方の5分MTG







